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依頼とアロカシア

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    久しぶりにみんなで食肉採取をする事になった。
「やっとみんなの都合がついたのかな?何にせよ嬉しい」
「卒業までもう間がないからな。トールには悪いが、協力はここまでだ」
「エレン?トールに何の協力していたの?」
    むしろ二人で活動している時に魔法の扱い方でコツを教えたりと、協力していたのは私もだ。
「本当に、成果が出せなくて、申し訳ない」

「本当にな」
「何か分からないけど、私も協力するよ?」
「それは、意味がないんだよね」
    私では力になれない事なのか…私には全く関係ない事なのかな?

「ねえ、メイには好きな人はいないの?」
「どうしたの?アルマ、唐突に」
「唐突…でもないんだけど」
「メイにはにゃーがいるのにゃ!番はにゃー!」
「はいはい、仲良し姉妹だもんね」
「まあ…今まで全く考えた事なかったかな」
    子供でもそういう話題はあるって事かな…私の小学生の頃ってどんな感じだったかな?
「身近な男子とか」
「だから、急に言われても困るよ。それに私、まだ6歳だよ?」

「そっか…しっかりしてるし、大人びた話し方もしたりするけど、メイはクラスで一番の年下だもんね…」
「お姉ちゃんのシュガーより、しっかりしてるよね?」
    まあ実際、私の方が年上だし、中身は大人?かもしれない。

    その後、何故か落ち込んだトールをみんなが慰めるなんて場面も見られたけど、どうしたのかな?

    いい獲物も居なかったけど、蜂蜜入りのホットミルクを飲んで、やっとトールにも笑顔が見られたから、良かった。
    あと何回、みんなと依頼を受けられるかな?

    あ…雪だ。いよいよ最後の月だ。

    ギルドに行っら、何故か私はシュガーと一緒に二階にあるギルドマスターの部屋に呼ばれた。シュガーも一緒に。何で?

「実は、少々早いが、ランクを一つ上げる事にした。でないと受けて欲しい依頼が受けて貰えないからな」
「…は?」

「王都南の山に住み着いた魔熊を倒して欲しい…本来Aランクの仕事だから、限定Bランクとして、護衛依頼以外は受けられるようになったんだ」
「それって、私限定?」
「そうだな。他に例はない…頼む!他に空いてる奴がいなくてな!」
「それは、フレイムも行ってもいいんですか?」
「それは…リーダーの判断になる…ただし、ランクA単体で行った者は魔熊にやられたと思われる」
    危険な依頼か。

「にゃー達はもう少し学校にゃ?」
「卒業資格は渡す。王都に近い事もあって、非常に危険なんだ。可及的速やかに頼む」
「分かった。すぐにみんなには伝えるよ」

    アロカシアは…まだエルドさんの所か。ヤブランにも伝えないと、拗ねるだろうな。…種族名は不明なのかな?

    下に降りると、みんな待っていた。
「ごめんね?…ちょっと厄介な依頼を受けちゃったから、もしかするとみんなと一緒に卒業出来ないかも?」

    急げば行って戻れるし、王都の近くにゲートは開いているから、山で時間を取られなければ…でも近くというけれど、どれ程なのか。それに、亜空間移動の事は出来れば知られたくない。

「それは…メイが行かないといけないの?危険なんでしょ?」
「私、リーダーだからね。それに、シュガーも含めて、パーティーメンバー全員強いから」

    それに、私が動かないなら、ギルマスからお願いされても動かないだろう。

「メイ…大丈夫、だよね?」
「うん?勿論。うちのメンバーは強いし。それに私も結構強いのはトールも知ってるじゃん?」
    流石に6歳の私のいるパーティーに依頼が来るのはあり得ない話しだけど。
「大丈夫にゃ。作戦はいのちだいじに、にゃ」
 
「戻ったら…連絡貰える?」
「そうだね…アルマのお店か、リリーなら確実にいるよね?」
「勿論。私も会いたいし!」
「分かった。じゃあ、またね!」

    亜空間の中には、ランスとフレイムがいた。
「ただいまー!」
    ゴロンとお腹を見せて転がるランスのお腹を撫でながら、胸の所のふさふさの毛に顔を埋める。フレイムにも充分もふもふして、アロカシアの姿はやはりないなと思った。
「ずっと帰ってないのかな?」
(一度も姿を見せてないな。俺も気にはなっていたんだが)

    パスを通してだと、ずっと元気だという事しか分からない。
    ここからなら念話も通じるし、話しかけてみるか。
(アロカシア?用事が出来たからちょっと早く帰って来たんだけど…何か用事があるのかな?)

(…!!あ、主…申し訳ない。明日には戻る)
(切羽詰まった用事でもないけど…アロカシアが大丈夫なら?あ、久しぶりだし、私もエルドさんに挨拶したいな)
(あ…いや。それは…)
    様子がおかしい。何か私に隠している?

    亜空間移動で、世界樹の麓にゲートを開く。
「…!アロカシア?!何で…どうして!」
    広場の片隅に、ボロボロになった銀竜の姿が。

(メイ様…我は頼まれて稽古を付けてやっていたのだ)
(これは…パスの偽装?!何で!)
(その…心配させない為に)
(どうして!パスまで偽装されたら、私は何を信じればいいの…こんな事は、二度とやめて!)
(申し訳ない…)
    フレイムに再生を使って貰うと、剥けた鱗も元に戻った。
(頼む…泣かないでくれ。もう二度としない)

(ボクとランスも、結構頑張って訓練してたの。…メイの怪我は、ボク達には堪えたの)
「にゃーも…ショックだったけど、何も出来なかったにゃ」
    
    情けない…こんなに心労をかけていて、分からなかったなんて。
「ごめんね?私…大丈夫だから、本当に気を付けるから」

    亜空間移動で元の場所に戻り、改めてアロカシアの事を確認する。スキルが幾つか増えているみたいだ。特訓の成果?
「絶対にもう、無茶は駄目だよ?私も無理はしないから」
「でも、強い魔物を倒す依頼を受けたにゃ?」

    そうだった…舌の根も乾かぬうちから。
「実はね、アロカシア。王都の近くの山に、魔熊が住み着いたみたいで、その討伐依頼を受けたんだけど…いい?」
「我に気を使うな。我は主の眷属だ。主が望むなら、最強のもふもふも…いや」
「心配しなくても、もう従魔は要らないってば」
    メタルが変化した時、凄く嫉妬してたもんね。…アロカシアのも変化だけど、もふもふにはなれないのかな?
「訓練次第では…だが、そこまでするのは…」
「いいよ。そのままで充分。頼りにしてるよ」





    
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