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コイのよかん…?

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    級友と再会を喜びあい、やっぱり殆ど一緒に冒険者として活動出来なかったと反省。
「というかメイ、ちょっと大きくなってない?ほら、リアさんの身長超えてる!」
「えへへ。成長期だからね!」
「べ、別に気にしてませんことよ!」
    ちょっとは悔しかったみたいだ。今回は抹茶の事もあって、スマホ滞在時間が長かったっていうのもあるかも?
    まあ、単なる成長差だろう。

    空納から荷物を出す子も多い。空納は、開く時に魔力を使うけど、あとの使用時には殆ど魔力を使わない。それは収納庫も一緒だ。
    折角の便利魔法なんだから、属性考えないでみんな使えたらいいなと思う。

    結局、ヤブランは帰って来なかった。私が学校を終える迄には戻ると念話が届いたけど、それきりだ。
    真面目な性格だから、修行しているのかもしれない。していなくても、親子の触れあいは大切だし、プライベートな詮索まではしないよ?

「メイ!…久しぶり、だね」
「トール。どうしたの?」
「放課後、空いてる?」
「あ、久しぶりに腕前を見たい?いいよ。じゃあ、訓練場で」

「ちょっとメイ、今のは絶対そんな雰囲気じゃないじゃん!だってトールだし!」
「?トールだから、レベルを確かめたいんじゃないの?」
「あー…まあ、メイはそれでいいよ」
「何なの?アルマ」
「やる奴ですけど、メイには通じてませんわ」
「何がにゃ?」
「…あなた方姉妹は…」

    夏休みの間に習った事を忘れてないかのテスト。私なりに復習はしていたから、出来たと思う。
    明日は戦闘と魔法の成果を確かめるけど、私は一度も本気は出した事はない。相手がシュガーだとつい、やり過ぎちゃうけど。

「ねえ、相手がシュガーの時みたく、本気出してよ」
    トールもレベルが上がったみたいで、攻撃が素早くはなってるけど、本気は出せないかな…

「やっぱり…メイの本気は、引き出せないな」
「ごめんね?トール。怪我させたくないし」
    後で治せても痛いのには代わりない。
「そうだね…そんなメイだからこそ、好きなんだし…!」

    あれ?トールが固まっちゃった?

「今年で終わりだけど、トールはみんなの事ちゃんと見てるから、本当はトールの方が級長に向いていたと思うよ?…どうしたの?」

「え、あ…気にし、ないで?」
「?いや…充分気になるよ?何でか急に様子がおかしいし」
「メイー!帰るにゃ!お腹空いたにゃ!」
「うん…トール?また明日ね!」
「あ…明日はギルドに…」
「そうだね!みんなで何か依頼を受けようか。テスト明けだし」

    物陰からこちらを覗いていたアルマとリリーを見つけた。
「どうしたの?」
「え、えへへ…何でもないよ?また明日ね!」
    そんなに急いで帰るなら、何で私が打ち合っている所見てたのかな?

    フレイムは必死だった。このままみんなとのランク差が開いたら、一緒に冒険出来ない。それでなくても人化出来たのが一番遅く、このままではみんなの…メイの足を引っ張りかねない。

    ランスと二人で組んで依頼をこなしても、ランク差が開いているから、評価点はそんなに上がらないだろう。
    
「はぁ…ボクは冒険者には向いてないのかな…」
    火や聖の魔法なら、その辺の冒険者に負けないレベルだし、当然無詠唱だから実戦向きだ。
    経験値のシェアだけで強くなった所が大きいから、本当の経験が出来ていない。

    やっぱり、一人で依頼を受けていこう。


    いつもの友人達と、ギルドに向かうけど、平日の午後にろくな依頼は残っていない。
「やっぱり常設依頼にする?」
「ね?荷物の運搬依頼、トールと受けたら?私達は薬草採取してるから」
「ちょっと…変な気使いしないでよ!」
「にゃーもメイと行くにゃ!」
「シュガーは、私達の護衛もかねて…ね?」
「…うにゃ?」

    荷物の運搬と言っても、私もトールも空納があるから楽々だ。
    そうしたら、重い荷物もお願いされたけど、追加料金も払って貰えるので、勿論喜んで引き受けた。
「メイのお陰で空納を覚えられて、両親からも褒められたよ…まあ、そのお陰で夏休みの冒険中は僕が荷物持ちになったけど」
「魔法を覚えられたのは、本人の努力だよ。レイリー先生とか、Bクラスのみんなにも教えているから、暇も少なくなったけどね」

    どんなに教えても理解してくれない人もいるし、中には領主様を通して貴族の子息に教えるように頼まれた時は流石に閉口した。
    最初から上から目線で、覚えられないのは私が悪いみたいに言われたら、教える気もなくなるじゃん?中には魔法よりも目的がリアの人もいて、そういう不届きな輩は伯爵様に出入り禁止にされてたけど。

「お陰で放課後とか休みの日、依頼を受ける事も出来ないよ」
「それを利用して、メイを何とかしようとする人はいないの?」
「…私、お父さんが獣人でしょ?だから私の子供が獣人が産まれる可能性があるんだって。だからか、そういう事はあんまりないかな…」

「そっか…良かった」
「本当だよ。もふもふの魅力が分からない人は嫌!」
「え…そこなの?」
    別に間違った事は言ってないよね?…正確には私はランスの子供じゃないけど、眷属達は私の家族だから、それを否定されたら誰だって頭に来る。

    でも、依頼を断らないのは、正確な魔法知識を持って欲しいからかな。折角魔法がある世界なのに、間違った認識で有効活用しないなんて勿体無い。

    けど、空納は広まりつつあるけど、収納庫や亜空間はさっぱりなのが、ちょっと残念。
    時間が経過する空間なんだから、亜空間を覚えるのはそんなに難しくないはずなのに、空納だけでみんな満足しちゃうんだよね…そこまで時間使って教える義理もないけど。

「みんなメイの事、魔法の天才だと認識しているみたいだね」
「…ま、お陰で野生児とかいう人もいなくなったから、そこはいいんだけどね」

    最近の気になっている事はもう一つ。私の友人達が何故か私とトールを一緒に行動させたがる事。一緒に冒険活動しても気がつくと何となくトールといるし。
    まあ、トールは面白い子だし、気も合うからいいんだけど、みんなの意図が分からない。
    私…知らないうちにみんなに嫌われるような事したかな?

「ねえ…シュガーは何か知ってる?この前の薬草採取の時もみんなと一緒に行ったじゃん?」
「にゃーはメイの春の幸せの為に協力してるにゃ…良く分からないけどにゃ…もう秋にゃ?」
「というか、もうすぐ冬だよね…薬草採取も終わりだね」
「そうにゃ。学校も終わりにゃ?」
「そうだね…チョエコットの原料はアスール国みたいだから、雪が溶けたら出発だね!」


「「「外国?!」」」
    友人達の声に振り返るけど、いるのは分かるけど、私の方には来ないみたいだし、いいや。

「まあ…冒険者ですし、当然かもしれませんが…というか、微妙に会話が噛み合ってませんわね」

「そこはメイとシュガーだし…で、どうするのよトール!折角私達との友情よりも優先してあげたのに、情けない」
「そうだな。我々も残り少ない時間、メイ達と過ごしたい」
「エレンの言う通りだよ…これもメイへの恩返しになると思ったから協力したのに…」

「うん…でも言っても分からないのは、スルーされているからかも」
「メイの事だもの。分かってないだけですわ!」
「だよね。メイって頭いいのにどこか抜けてるよね…」
「そこは姉妹だし、似ているのだろう」
「シュガーはシスコンだからじゃない?」

「僕…自信なくなってきた」
「「「トールはしっかりしなさい!」」」

    好きな人でもいれば、メイもこの町に残るかもと思ったんだけど、無理ね…メイは人を引っ張っていく側の人だもの。
「…ヘタレ」
    トールが普段、みんなに合わせる側の私、リリーの呟きにぎょっとして、引く。

「なかなかいい事言うじゃない?感心しましたわ!」
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