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45話 俺、魔王となる
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いざ転移者同士が争っている場所に来てみれば……もう大乱闘状態で手足が出せない状態が続いていた。
「おい姉ちゃんこれどうするよ?」
「どうするって……お姉ちゃん対処できませ~ん」
「あっそ、だったら俺死んでもいいんだ」
「それはお姉ちゃんが許しませ~ん」
対処できないって言ったり、許さないと言ったりほんと姉ちゃんって感情豊かだよな。
さて、でもどうするか……幸いにもルイハムさんはまだここにはいない様子。衝撃波が飛んでは、地面がエグれて爆発を起こしたり無茶苦茶な戦い方をしてる転移者の側にいなくて。
しかしほんとあの戦いに交わりたくないんだよな。だってあんなの喰らったら間違いなく俺死んじゃうよ。痛いとかそういう次元の話じゃないみたいだし……あ、いいこと思いついた。
陰ながら全員まとめて葬ってしまおう。
うん、我ながらいいアイデアだ。
よし、そうと決まれば早速有言実行だ。
「姉ちゃんさっき魂がどうの言ってたよな」
「え? 言ってないけど」
「いや、言ってた! とぼけても無駄だ」
「ふふふ、バレてたのねお姉ちゃんの真の目的を!」
「な、何を企んでるんだ姉ちゃん」
そうそうこうやって芝居に付き合えばきっと真の目的とやらの力を見せてくれるはず。
姉ちゃんって目立ちたがりだし、調子のいいタイプだからな。
「お姉ちゃんの力にビックリするのよネオ君」
「マ、マジかそんなにもすごい力を隠し持っていたのか」
「死人の魂ほど美味な物はないの。それを召喚の供物にして捧げると」
突然に起きた地響き。その激しさといったら立つのも困難なほどだった。そして天より現れた一筋の黒き光。
落ちた場所に目を凝らすと、あれ何もいない?
ついとんでもない存在が降臨してあの転移者達を根絶やしにしてくれるかと思ったが……俺の予想はハズレたのか。
いや、待てよ何だ?
あのちっさい人形の軍隊は。
「もしかして姉ちゃんあれが?」
「あれがお姉ちゃんの真の目的――ヘルナイト・デスの召喚よ」
「あれがそのヘルナイト・デス……ね。あれが……って、絶対弱いだろ。足でキックされたら飛ばされる小ささだぞ! 終わった、ほらもう転移者に俺たちの姿モロバレしてるし」
「ネオ君見た目で判断しちゃいけないのよ。行きなさいヘルナイト・デス皆殺しよ!」
ちっこい人形の軍隊が転移者に向かって進軍する。もちろん結果は予想通りというか、足で蹴飛ばされ終了。
でもその大群には転移者は苦労している様にも見える。まあ、単に小さすぎて攻撃が当たらないだけだけど。
ヘルナイト・デスは手に握った小さい剣を転移者の足に必死に突き刺しているが、全然ビクともしない。おまけに一度刺した剣は曲がっちゃってるし戦力になってないじゃないか!
「姉ちゃんこんな物のために魂を?」
「まだまだ序章よ。ヘルナイト・デス自爆モード発動」
姉ちゃんがそう命令を下すと転移者の身体全体にまとわりついた。そして赤く目を光らせると膨張し、大きな爆発を起こしたのだ。
これで木っ端微塵になったに違いない。そう思っていた。
しかし転移者は想像以上に厄介だったようで大きな傷を負っても立ち上がる。まるでゾンビのように。意識はとうに途絶えているに違いない。だったらと姉ちゃんがトドメを刺そうと命令を出した。
すると残りの人形すべてが転移者に密着した。
再び起きる大きな爆発。
これでようやく争いは終わりを迎えた、そう思った。
だが両軍の衝突は収まることを知らない。
まだまだ流れる血に呆れる俺と姉ちゃん。この争いを止めるにはやはりもうあの方法しか残されていないらしい。
「姉ちゃん学園長に連絡を」
「本当にいいの?」
「ああ、もう覚悟はできたよ。争いを止めるには俺の理想を叶えるにはこの方法しかないみたいだ。共通の敵を作る、この方法しか」
姉ちゃんは学園長に連絡を取り一言だけ告げた。「魔王が決断した」と。
それから数10分も経たずに両軍は進行を止め、不可侵条約を結び停戦となった。しかしサラと接触しこの争いを引き起こした張本人であるシンシアの行方は不明。
この争いを停戦へと導いたその方法――それは魔国を共通の敵と認識させること。よって前もって準備させていた宣戦布告が役に立ったというわけだ。
問題はこれから俺が魔王としてどう振る舞うかということ。民の声も聞かずして他国に宣戦布告し、平和だった魔国を他国の攻撃対象として転落させた。
その責任はどう取る? 決まっている。
真の平和を目指すのなら多少の犠牲は必要。
だからこそ俺は今宵玉座に座る。
「皆の者、魔王ネオ・マルカスに服従を」
「えっと姉ちゃんそういうのやめてもらって……」
「ダメよネオ君はもう一国の王の立場。服従されるのもそろそろ慣れないと」
「そんなこと言ってるけど、何で姉ちゃんは俺の横に立ってるんだ?」
「お姉ちゃんは代々魔王の血を引く種族。それにネオ君の妃でしょ」
「え? そうなの?」
「そうだよ。今更何言ってるの」
「ええ~」
そんな姉ちゃんとの生活は壮大なものへと変わった。魔王になり、姉ちゃんの旦那?になり、他国に宣戦布告し脅威の対象にもなった。幸い魔王が俺だと言うことは広まってはいない。
だからまあ、学園生活は普通に送れるはず、だ。
そんな俺がこの世界で何を成し遂げ、何を招くのかはまだわからないが、必死に足掻き必ずこの世界を――皆が平等に暮らせる世界、理想郷を実現する。
そう心に誓った。
「おい姉ちゃんこれどうするよ?」
「どうするって……お姉ちゃん対処できませ~ん」
「あっそ、だったら俺死んでもいいんだ」
「それはお姉ちゃんが許しませ~ん」
対処できないって言ったり、許さないと言ったりほんと姉ちゃんって感情豊かだよな。
さて、でもどうするか……幸いにもルイハムさんはまだここにはいない様子。衝撃波が飛んでは、地面がエグれて爆発を起こしたり無茶苦茶な戦い方をしてる転移者の側にいなくて。
しかしほんとあの戦いに交わりたくないんだよな。だってあんなの喰らったら間違いなく俺死んじゃうよ。痛いとかそういう次元の話じゃないみたいだし……あ、いいこと思いついた。
陰ながら全員まとめて葬ってしまおう。
うん、我ながらいいアイデアだ。
よし、そうと決まれば早速有言実行だ。
「姉ちゃんさっき魂がどうの言ってたよな」
「え? 言ってないけど」
「いや、言ってた! とぼけても無駄だ」
「ふふふ、バレてたのねお姉ちゃんの真の目的を!」
「な、何を企んでるんだ姉ちゃん」
そうそうこうやって芝居に付き合えばきっと真の目的とやらの力を見せてくれるはず。
姉ちゃんって目立ちたがりだし、調子のいいタイプだからな。
「お姉ちゃんの力にビックリするのよネオ君」
「マ、マジかそんなにもすごい力を隠し持っていたのか」
「死人の魂ほど美味な物はないの。それを召喚の供物にして捧げると」
突然に起きた地響き。その激しさといったら立つのも困難なほどだった。そして天より現れた一筋の黒き光。
落ちた場所に目を凝らすと、あれ何もいない?
ついとんでもない存在が降臨してあの転移者達を根絶やしにしてくれるかと思ったが……俺の予想はハズレたのか。
いや、待てよ何だ?
あのちっさい人形の軍隊は。
「もしかして姉ちゃんあれが?」
「あれがお姉ちゃんの真の目的――ヘルナイト・デスの召喚よ」
「あれがそのヘルナイト・デス……ね。あれが……って、絶対弱いだろ。足でキックされたら飛ばされる小ささだぞ! 終わった、ほらもう転移者に俺たちの姿モロバレしてるし」
「ネオ君見た目で判断しちゃいけないのよ。行きなさいヘルナイト・デス皆殺しよ!」
ちっこい人形の軍隊が転移者に向かって進軍する。もちろん結果は予想通りというか、足で蹴飛ばされ終了。
でもその大群には転移者は苦労している様にも見える。まあ、単に小さすぎて攻撃が当たらないだけだけど。
ヘルナイト・デスは手に握った小さい剣を転移者の足に必死に突き刺しているが、全然ビクともしない。おまけに一度刺した剣は曲がっちゃってるし戦力になってないじゃないか!
「姉ちゃんこんな物のために魂を?」
「まだまだ序章よ。ヘルナイト・デス自爆モード発動」
姉ちゃんがそう命令を下すと転移者の身体全体にまとわりついた。そして赤く目を光らせると膨張し、大きな爆発を起こしたのだ。
これで木っ端微塵になったに違いない。そう思っていた。
しかし転移者は想像以上に厄介だったようで大きな傷を負っても立ち上がる。まるでゾンビのように。意識はとうに途絶えているに違いない。だったらと姉ちゃんがトドメを刺そうと命令を出した。
すると残りの人形すべてが転移者に密着した。
再び起きる大きな爆発。
これでようやく争いは終わりを迎えた、そう思った。
だが両軍の衝突は収まることを知らない。
まだまだ流れる血に呆れる俺と姉ちゃん。この争いを止めるにはやはりもうあの方法しか残されていないらしい。
「姉ちゃん学園長に連絡を」
「本当にいいの?」
「ああ、もう覚悟はできたよ。争いを止めるには俺の理想を叶えるにはこの方法しかないみたいだ。共通の敵を作る、この方法しか」
姉ちゃんは学園長に連絡を取り一言だけ告げた。「魔王が決断した」と。
それから数10分も経たずに両軍は進行を止め、不可侵条約を結び停戦となった。しかしサラと接触しこの争いを引き起こした張本人であるシンシアの行方は不明。
この争いを停戦へと導いたその方法――それは魔国を共通の敵と認識させること。よって前もって準備させていた宣戦布告が役に立ったというわけだ。
問題はこれから俺が魔王としてどう振る舞うかということ。民の声も聞かずして他国に宣戦布告し、平和だった魔国を他国の攻撃対象として転落させた。
その責任はどう取る? 決まっている。
真の平和を目指すのなら多少の犠牲は必要。
だからこそ俺は今宵玉座に座る。
「皆の者、魔王ネオ・マルカスに服従を」
「えっと姉ちゃんそういうのやめてもらって……」
「ダメよネオ君はもう一国の王の立場。服従されるのもそろそろ慣れないと」
「そんなこと言ってるけど、何で姉ちゃんは俺の横に立ってるんだ?」
「お姉ちゃんは代々魔王の血を引く種族。それにネオ君の妃でしょ」
「え? そうなの?」
「そうだよ。今更何言ってるの」
「ええ~」
そんな姉ちゃんとの生活は壮大なものへと変わった。魔王になり、姉ちゃんの旦那?になり、他国に宣戦布告し脅威の対象にもなった。幸い魔王が俺だと言うことは広まってはいない。
だからまあ、学園生活は普通に送れるはず、だ。
そんな俺がこの世界で何を成し遂げ、何を招くのかはまだわからないが、必死に足掻き必ずこの世界を――皆が平等に暮らせる世界、理想郷を実現する。
そう心に誓った。
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悪魔ちゃんが可愛すぎます
雪鈴らぴなさんありがとうございます!
悪魔っていうと、悪くて恐ろしい、そんなイメージがあると思いましたので、この際可愛くしちゃえと思ってしちゃいました
でもヒロインの性格とか色々と悩んだので、コメントで可愛いと言っていただけて嬉しいです