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伝統
伝統破り
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志綾も荼泉も六歳になった。今日から学校に通い始める。
「良いですか・・・・?」
学校の入学式前日に茅鶴は志綾の腕を握って悔しそうに何かを言おうとしていた。
「お母様?大丈夫ですか?苦しそうですよ・・・」
「大丈夫です。志綾に言わないといけないことがあるのです。志綾。学校で絶対に着替えないでください。着替えたい場合は先生に言うのです。分かりました?」
「な、何でですか?」
「それは・・・貴方は繋家の子供ですから。人前で肌を晒さないでください。お願いします。」
「お母様・・・」
こんなにも悔しそうで苦しそうに話している茅鶴を見たことがなかった志綾は「お母様・・・守ります。だからそんな苦しそうに言わないでください。私は・・・お母様のそんな姿、悲しくて・・・」
涙を流した志綾を見て茅鶴も涙が溢れてきてしまった。
「ごめんなさい、志綾ちゃんと守ってくださいね。もし何かあったら先生に言って私が薫さんに連絡してもらってください。」
ズッと鼻を鳴らして茅鶴は志綾の頭を撫でた。
温かくて嬉しくて子供のように大泣きだった。
「荼泉。俺に迷惑をかけるな。俺を呼べと言われてもお前が代わりに片付けろ。良いな?」
「・・・・」
相変わらず何も喋ろうとしない荼泉に黒凪も何も言わない。
ただ、人間なのかいつも疑問に思う。
もしかしたら時咲はロボットを産んでしまったのではないかと時々思う。
自分の子じゃないのかもと・・・
昔はもっと喋っていた。誰かと仲が良かった。でもその誰かを追い払った・・・殺した日から何も言わない、動かない。ただの人形に成り果ててしまった。
俺が・・・俺が悪いのだろうか?
だってその『誰か』とは繋家の死んだ兄なのだから・・・繋家なのに男を不要としている家系なのにどうして男が産まれた?伝統に反している。これは要家、繋家の代表である
要 黒凪がちゃんとしなければ・・・・・・それの何が悪い?俺は正しい。
俺は正しい。たとえ俺が昔伝統に反していたとしても俺は今の要家当主なのだから・・・
俺がまだ17歳ぐらいの時。俺には荼泉と同様、婚約者がいた繋家、そう時咲だ。
でも俺は違う人が好きだった。子供だったから、そん風に言ってしまえば恋なんて簡単に終わる。俺は本気だった。実際、俺は親にバレないように付き合っていた。
誰かと言うと・・・委員会の先輩でよくお世話になっていた。
「凪!よく頑張ったな!後輩の中で一番誇らしいよ。」
そう言われて褒められるのが好きだった。あの時の俺の親は褒めてくれることなんかない、当たり前。出来て当然。そう言う家だった。
「先輩、稚隼先輩!俺、ずっと憧れていて・・・いや、あの!好きです。俺、ずっと先輩のこと好きで・・・婚約者いるのにダメですよね・・・すみません、これだけ伝えたかっただけなので・・・失礼します。」
俺はその場を逃げようとした。そしたら先輩が俺の手を掴んだんだ。
「待って、待ってくれ!俺もお前のことが・・・でもお前には婚約者がいて、俺には到底届かないと思った!でもお前も・・・俺のこと・・・」
初めて先輩の赤くなっている頬を見た。
俺はこの時親と時咲には隠し続けようと思った。でも、二年経ったある日、俺の元に一通の電話がきた。
『要様のお宅ですか?』
「は、はい。」
『初めまして・・・稚隼君の親戚の者です。』
掠れた声だった。時々鼻をするような音がする。
「どうかしましたか?」
『・・・稚隼君が亡くなって・・・』
「・・・・・・何かの冗談ですか?」
『そうよね・・・そう思いたいよね。私達もそうだから・・・でも、こんなこと冗談でも言えないわ。だから・・・会いに来て・・・最後に・・。』
そう言って女の人は電話を切った。
俺は、あの時誰が稚隼先輩を殺したのか知っていたのかもしれないただ知らないふりをした。だって、だって実の親が人殺しなんて・・・それに・・・もし、ここで親に追い詰めたところで付き合っていたことがバレてしまう。
いや・・・もうバレているから殺したのかもしれない・・・俺は伝統違反をした婚約者を除け者にし、男と付き合った。女ではなく稚隼と言う男と。
父はそれを知った時何を思っただろうか・・・きっと世間の目を気にしていたんだろうな・・・私より世間を
「良いですか・・・・?」
学校の入学式前日に茅鶴は志綾の腕を握って悔しそうに何かを言おうとしていた。
「お母様?大丈夫ですか?苦しそうですよ・・・」
「大丈夫です。志綾に言わないといけないことがあるのです。志綾。学校で絶対に着替えないでください。着替えたい場合は先生に言うのです。分かりました?」
「な、何でですか?」
「それは・・・貴方は繋家の子供ですから。人前で肌を晒さないでください。お願いします。」
「お母様・・・」
こんなにも悔しそうで苦しそうに話している茅鶴を見たことがなかった志綾は「お母様・・・守ります。だからそんな苦しそうに言わないでください。私は・・・お母様のそんな姿、悲しくて・・・」
涙を流した志綾を見て茅鶴も涙が溢れてきてしまった。
「ごめんなさい、志綾ちゃんと守ってくださいね。もし何かあったら先生に言って私が薫さんに連絡してもらってください。」
ズッと鼻を鳴らして茅鶴は志綾の頭を撫でた。
温かくて嬉しくて子供のように大泣きだった。
「荼泉。俺に迷惑をかけるな。俺を呼べと言われてもお前が代わりに片付けろ。良いな?」
「・・・・」
相変わらず何も喋ろうとしない荼泉に黒凪も何も言わない。
ただ、人間なのかいつも疑問に思う。
もしかしたら時咲はロボットを産んでしまったのではないかと時々思う。
自分の子じゃないのかもと・・・
昔はもっと喋っていた。誰かと仲が良かった。でもその誰かを追い払った・・・殺した日から何も言わない、動かない。ただの人形に成り果ててしまった。
俺が・・・俺が悪いのだろうか?
だってその『誰か』とは繋家の死んだ兄なのだから・・・繋家なのに男を不要としている家系なのにどうして男が産まれた?伝統に反している。これは要家、繋家の代表である
要 黒凪がちゃんとしなければ・・・・・・それの何が悪い?俺は正しい。
俺は正しい。たとえ俺が昔伝統に反していたとしても俺は今の要家当主なのだから・・・
俺がまだ17歳ぐらいの時。俺には荼泉と同様、婚約者がいた繋家、そう時咲だ。
でも俺は違う人が好きだった。子供だったから、そん風に言ってしまえば恋なんて簡単に終わる。俺は本気だった。実際、俺は親にバレないように付き合っていた。
誰かと言うと・・・委員会の先輩でよくお世話になっていた。
「凪!よく頑張ったな!後輩の中で一番誇らしいよ。」
そう言われて褒められるのが好きだった。あの時の俺の親は褒めてくれることなんかない、当たり前。出来て当然。そう言う家だった。
「先輩、稚隼先輩!俺、ずっと憧れていて・・・いや、あの!好きです。俺、ずっと先輩のこと好きで・・・婚約者いるのにダメですよね・・・すみません、これだけ伝えたかっただけなので・・・失礼します。」
俺はその場を逃げようとした。そしたら先輩が俺の手を掴んだんだ。
「待って、待ってくれ!俺もお前のことが・・・でもお前には婚約者がいて、俺には到底届かないと思った!でもお前も・・・俺のこと・・・」
初めて先輩の赤くなっている頬を見た。
俺はこの時親と時咲には隠し続けようと思った。でも、二年経ったある日、俺の元に一通の電話がきた。
『要様のお宅ですか?』
「は、はい。」
『初めまして・・・稚隼君の親戚の者です。』
掠れた声だった。時々鼻をするような音がする。
「どうかしましたか?」
『・・・稚隼君が亡くなって・・・』
「・・・・・・何かの冗談ですか?」
『そうよね・・・そう思いたいよね。私達もそうだから・・・でも、こんなこと冗談でも言えないわ。だから・・・会いに来て・・・最後に・・。』
そう言って女の人は電話を切った。
俺は、あの時誰が稚隼先輩を殺したのか知っていたのかもしれないただ知らないふりをした。だって、だって実の親が人殺しなんて・・・それに・・・もし、ここで親に追い詰めたところで付き合っていたことがバレてしまう。
いや・・・もうバレているから殺したのかもしれない・・・俺は伝統違反をした婚約者を除け者にし、男と付き合った。女ではなく稚隼と言う男と。
父はそれを知った時何を思っただろうか・・・きっと世間の目を気にしていたんだろうな・・・私より世間を
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