59 / 73
ライアン達の子
新たな火種
【 リリアンの視点 】
あの後、また学園でいろいろと噂されるのかと思ったら、
“大変でしたわね。パトローヌ侯爵令嬢が全ての引き金だったと聞きましたわ”
“もう除籍されてビクトリアさんよ”
“ご自分の友人を巻き込んでおいて平然としていたなんて”
“せっかく円満解消と発表されたのに逆恨みで刺そうとしたなんて”
と、私に好意的だった。
一方で、一度お父様がシャルール伯爵と会った。
「あれは誤解です」
「君の言葉を本人がしっかり聞いている。娘の耳が悪いとでも?」
「いえ、そうではなく。
あれは本気で言ったのではありません。リリアン嬢に興味を持ち始めた友人達から興味を無くさせるために“子供だ”と言ったのです。
それに、確かに昔関係を持った女性達に声をかけられましたがその場で断っております」
「確かに16歳の学生だが、“その気になれない”などという言葉は、成人した令嬢に対してほぼ侮辱だ。
興味を持たれても“交際中だから手を出すな”と言えばいいじゃないか。
前向きに心を開いたというのに。
許可した私に対する裏切りでもある」
「方法を間違えました。申し訳ございません」
「今後君とリリアンを付き合わせる気はない。
友人としても無理だ。縁は無かったとして潔く身を引いてくれ」
「リリアン嬢に会わせてください」
「顔が腫れるまで泣いて、旅に出て気持ちの整理が終わっている。リリアンには過去の出来事だ。
もう君とどうこうなることは無いよ」
「公爵」
「リリアンに君への気持ちは無い。
無傷でいれるうちに手を引き、別の女を探せ」
「別の女など」
「伯爵家や事業に関わる者たちを路頭に迷わす気か?」
「っ!」
「身を引け。二度と個人的にリリアンに会うな。手紙も駄目だ。何も贈るな」
隠れてエフ先生と話を盗み聞きしていた。
エフ先生は抱きしめて背中を摩ってくれた。
安心するな。
兄様は領地でお勉強。
私は毎週土曜のティータイムにゼイン様と交流することになった。
あの時は、あまり覚えていない振りをしたけど本当は覚えている。
場の雰囲気を察したのと、恥ずかしかったのと。
演技だということは エフ先生にはバレていた。
「リリアン、欲しい物はないのか」
「特には」
「そう…」
「…靫が欲しいです」
「矢をいれるやつ?」
「はい。軽くて丈夫なのが欲しいです」
「そうか」
誕生日のことなんだろうな。
無いって言えば殿下は悲しそうな顔をするし、絞り出せば嬉しそうにニコニコしてるし。
この人は何で私なんだろう。
そんなことを思っていると来てしまうものだ。
学食でラナとカトリーヌと食事をしていると、後ろの席から話が聞こえた。
「聞いた?ゾードから王女が来るらしいわ」
「まさか、婚約しては破棄しちゃう第二王女!?」
「そう、それそれ。だけどすごーく美人らしいの」
「そんなのがうちの未来の王妃なんて嫌だわぁ」
「ええ!?縁談なの!?」
「殿下より一つ下みたい。
婚約解消を聞き付けて狙いに来たんじゃないかしら」
そっか。
また同じことにならないように気をつけなくちゃね。
その日に私は土曜日の交流は止めたいと手紙を出した。
何故かと返事が来たので、お互い時間を有効に使った方がいいと思うと書いて送ったら、王妃殿下から呼び出しを受けた。
これにはお母様が付き添ってくれた。
あの後、また学園でいろいろと噂されるのかと思ったら、
“大変でしたわね。パトローヌ侯爵令嬢が全ての引き金だったと聞きましたわ”
“もう除籍されてビクトリアさんよ”
“ご自分の友人を巻き込んでおいて平然としていたなんて”
“せっかく円満解消と発表されたのに逆恨みで刺そうとしたなんて”
と、私に好意的だった。
一方で、一度お父様がシャルール伯爵と会った。
「あれは誤解です」
「君の言葉を本人がしっかり聞いている。娘の耳が悪いとでも?」
「いえ、そうではなく。
あれは本気で言ったのではありません。リリアン嬢に興味を持ち始めた友人達から興味を無くさせるために“子供だ”と言ったのです。
それに、確かに昔関係を持った女性達に声をかけられましたがその場で断っております」
「確かに16歳の学生だが、“その気になれない”などという言葉は、成人した令嬢に対してほぼ侮辱だ。
興味を持たれても“交際中だから手を出すな”と言えばいいじゃないか。
前向きに心を開いたというのに。
許可した私に対する裏切りでもある」
「方法を間違えました。申し訳ございません」
「今後君とリリアンを付き合わせる気はない。
友人としても無理だ。縁は無かったとして潔く身を引いてくれ」
「リリアン嬢に会わせてください」
「顔が腫れるまで泣いて、旅に出て気持ちの整理が終わっている。リリアンには過去の出来事だ。
もう君とどうこうなることは無いよ」
「公爵」
「リリアンに君への気持ちは無い。
無傷でいれるうちに手を引き、別の女を探せ」
「別の女など」
「伯爵家や事業に関わる者たちを路頭に迷わす気か?」
「っ!」
「身を引け。二度と個人的にリリアンに会うな。手紙も駄目だ。何も贈るな」
隠れてエフ先生と話を盗み聞きしていた。
エフ先生は抱きしめて背中を摩ってくれた。
安心するな。
兄様は領地でお勉強。
私は毎週土曜のティータイムにゼイン様と交流することになった。
あの時は、あまり覚えていない振りをしたけど本当は覚えている。
場の雰囲気を察したのと、恥ずかしかったのと。
演技だということは エフ先生にはバレていた。
「リリアン、欲しい物はないのか」
「特には」
「そう…」
「…靫が欲しいです」
「矢をいれるやつ?」
「はい。軽くて丈夫なのが欲しいです」
「そうか」
誕生日のことなんだろうな。
無いって言えば殿下は悲しそうな顔をするし、絞り出せば嬉しそうにニコニコしてるし。
この人は何で私なんだろう。
そんなことを思っていると来てしまうものだ。
学食でラナとカトリーヌと食事をしていると、後ろの席から話が聞こえた。
「聞いた?ゾードから王女が来るらしいわ」
「まさか、婚約しては破棄しちゃう第二王女!?」
「そう、それそれ。だけどすごーく美人らしいの」
「そんなのがうちの未来の王妃なんて嫌だわぁ」
「ええ!?縁談なの!?」
「殿下より一つ下みたい。
婚約解消を聞き付けて狙いに来たんじゃないかしら」
そっか。
また同じことにならないように気をつけなくちゃね。
その日に私は土曜日の交流は止めたいと手紙を出した。
何故かと返事が来たので、お互い時間を有効に使った方がいいと思うと書いて送ったら、王妃殿下から呼び出しを受けた。
これにはお母様が付き添ってくれた。
あなたにおすすめの小説
死ぬまでに叶えたい十の願い
木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」
三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。
離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する——
二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】あなたのいない世界、うふふ。
やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。
しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。
とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。
===========
感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。
4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。
今更ですか?結構です。
みん
恋愛
完結後に、“置き場”に後日談を投稿しています。
エルダイン辺境伯の長女フェリシティは、自国であるコルネリア王国の第一王子メルヴィルの5人居る婚約者候補の1人である。その婚約者候補5人の中でも幼い頃から仲が良かった為、フェリシティが婚約者になると思われていたが──。
え?今更ですか?誰もがそれを望んでいるとは思わないで下さい──と、フェリシティはニッコリ微笑んだ。
相変わらずのゆるふわ設定なので、優しく見てもらえると助かります。
縁の鎖
T T
恋愛
姉と妹
切れる事のない鎖
縁と言うには悲しく残酷な、姉妹の物語
公爵家の敷地内に佇む小さな離れの屋敷で母と私は捨て置かれるように、公爵家の母屋には義妹と義母が優雅に暮らす。
正妻の母は寂しそうに毎夜、父の肖像画を見つめ
「私の罪は私まで。」
と私が眠りに着くと語りかける。
妾の義母も義妹も気にする事なく暮らしていたが、母の死で一変。
父は義母に心酔し、義母は義妹を溺愛し、義妹は私の婚約者を懸想している家に私の居場所など無い。
全てを奪われる。
宝石もドレスもお人形も婚約者も地位も母の命も、何もかも・・・。
全てをあげるから、私の心だけは奪わないで!!
【完結】クズ男と決別した私の未来は輝いている。
カシスサワー
恋愛
五年間、幸は彼を信じ、支え続けてきた。
「会社が成功したら、祖父に紹介するつもりだ。それまで俺を支えて待っていてほしい。必ず幸と結婚するから」
そう、圭吾は約束した。
けれど――すべてが順調に進んでいるはずの今、幸が目にしたのは、圭吾の婚約の報せ。
問い詰めた幸に、圭吾は冷たく言い放つ。
「結婚相手は、それなりの家柄じゃないと祖父が納得しない。だから幸とは結婚できない。でも……愛人としてなら、そばに置いてやってもいい」
その瞬間、幸の中で、なにかがプチッと切れた。
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」