【完結】王命婚により月に一度閨事を受け入れる妻になっていました

ユユ

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お兄ちゃん

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「アンジェリーナ様、起きてください。もうすぐ昼食のお時間ですよ」

マリーの声を聞いて目覚めると太陽は高い位置にいた。

「おはよう」

「お顔を洗いましょう」

夜遅くマルトー商会のパーティから戻り、寝支度をした。時刻は1時を過ぎていた。
その後、ローランドが部屋に来てキスを始めた。

“泣いたから、気分を変えないとぐっすり眠れないだろう?”

そう言って私の体の準備を整えるとナカに入ってきた。そうなるとローランドの思うがままだ。
途中から記憶がない。

「ローランドは?」

「お仕事をなさっています。リーナ様には昼食まで寝かせておくようにと」

「元気なのね」

「はい、とても機嫌が良さそうでした」

「……」

「セルビー男爵家から花束付きで贈り物が届いております」

手紙を読むと、謝罪と感謝が綴られていた。

「あとはヤンヌ子爵とプラジール侯爵様からお手紙を預かっております」

プラジール侯爵ってアンジェリーナの父親だよね。

「閣下の手紙から読むわ」

“虐められていないか?遠慮せず帰ってきなさい”といった内容と、スキップができるようになったと書かれていた。
滞在中、スキップを教えていた。閣下にとって まだ難易度の高い課題だと思う。

次に、プラジール侯爵の手紙を読んだ。

“王太子殿下の婚約者が来国するから、ローランドと歓迎会に参加しなさい。ドレスを処分したのは知っている。こちらで何着か作ってあるから心配するな。一度戻って来なさい。明日迎えの馬車を送る”

「こわっ」

「アンジェリーナ様?」

「パパに ドレスの処分のことがバレてる。何で?」

「わ、私ではありませんっ」

「監視カメラでもあるわけ?」

「えっと?」

「何でもない。この手紙をローランドに渡して」

「かしこまりました」


直ぐに手紙を持ってローランドが現れた。

「一緒に行く」

「多分だけど、ローランドにとっては敵陣かもよ?」

「それは俺のせいだ。受け入れて貰えるようにするよ」

「無理しなくていいからね」

「叔父上は何て?」

「リハビリ頑張っているみたい。様子見に行かないと」

「俺も行く」

「忙しいんじゃないの?」

「絶対に行く」



翌日、プラジール家の馬車が到着し、降りて来たのはアンジェリーナに似ていないけど色が同じの男性だった。

「ねえ、マリー。誰?」

「ご長男のイアン様です」

「似てない気しかしないけど」

「紛れもなくアンジェリーナ様とご兄妹です。イアン様はエリザベス大奥様似、アンジェリーナ様は侯爵様似です」

「ふうん」


「アンジェリーナ、久しいな」

「お兄ちゃん、こんにちは」

「……」

少し驚いた顔をしているじゃない。

「マリー。違うじゃない。人違いよ。
失礼しました。アンジェリーナ・ミュローノと申します。お会いしたことがあるようですが、記憶を失くしてしまい覚えておりません」

「お前の兄であっている」

「お久しぶりです、イアン殿」

「ローランド…元気そうだな。
アンジェリーナ、中を案内してくれないか」

「屋敷の中? どちらかというと、私も一緒に案内されたいかな。ウィル、お願いできる?」

「リーナ、俺が案内するよ」


ローランドが屋敷内の案内をしてくれた。

「で、ここがお前の部屋か」

「そうです」

イアンは勝手に引き出しやクローゼットを開けて見始めた。

「ちょっと!何するの」

「お前の暮らしの確認だ」

バチッ

私はイアンの手の甲を叩いた。

「ここはミュローノ侯爵家なの。妹とはいえ女の子の部屋を勝手に物色するなんて非常識よ」

「そうさせるお前が悪い」

そう言って違う引き出しを開けた。

「いい加減にして。1年近くもアンジェリーナを放っておいたくせに、他所の家にきて家族面しないで。
マリーから、普通の家族だって聞いていたけど違うよね。無関心なのか何なのか知らないけど、手紙の一つも送って来たことが無いらしいじゃない。
アンジェリーナが独りでこの部屋でずっと引きこもっていたのによ?マリーが居なかったらどうなっていたか。

部屋から出て。
さっさとプラジールに行きましょう」

「……」


馬車の中は気まずかった。

イアンは外を見ているし、会話もない。

ローランドが手を握った。
チラッと見ると“大丈夫だ”と囁いた。


到着した屋敷も全く覚えがない。
中に入り、居間らしき部屋に通されると直ぐにイアンに似た女性とアンジェリーナに似た男性が現れた。

「ローランド。久しぶりだな」

「侯爵、侯爵夫人、お久しぶりです」

「アンジェリーナ、…少し痩せたか?」

「さあ、元が分かりませんので」

「本当に記憶を失ったの?」

「はい」

「私達のことは?」

「覚えておりません」

「アンジェリーナは俺のことさえ分かりません」

「何故その様なことになったんだ」

「それさえ覚えていません」

「ローランド」

「自分にも分かりかねますが、理由さえ分からないのは申し訳なく思っております。
ご存知の通り、記憶を失くす前のアンジェリーナとは不仲でした。だとしても俺が彼女にしたことは不誠実で男らしくありませんでした。
メイドをひとり連れていたとしても、令嬢がひとり他家に嫁いで心細かったはずです。なのに酷い対応をしました。申し訳ありません。
リーナには既に謝罪しました。これから良き夫婦となれるよう、リーナと向き合い大事にします」

「ローランド。
ヴァイオレット・バリヤスとの最初は、女の虚偽だ。酒に睡眠薬を混ぜて、フラつき始めたローランドを支えて個室に連れ込んだ。
あたかも何かあったように細工したようだ。
だがそれ以降は覚えがあるだろう」

「はい」

「浮気相手とパーティに出るのは良くない」

「二度としません」

その後、私が記憶を失くしてからの行動や考えを伝えた。
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