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チーフマネジャーは、しゃがみ込んだままで涙目の私に触れる事無く自分のコートを被せると
「おい!メシ食い行くぞ!」
オフィスに残る全員に声をかけました
残業していた社員が、全員男性だった事がその理由だと思います
「直ぐに俺だけ戻るから勝手に帰るな」
小声で言われたそれに返事がない事を気にしたのか
「いいな?」
頷いて応えると、納得したのか、オフィスを出て行きました
ゆっくりと立ち上がると、振動を止めた異物が白濁した汁気に塗れてコロンと転がっています
ゆっくりチーフマネジャーのコートを畳んで彼のデスクに置き、ゆっくりゆっくりモップを取り、床を拭き、異物をティッシュに包み家まで帰る途中の知らないコンビニのゴミ箱に破棄する事を決めました
勝手に帰るつもりで自分のコートを着たのですが、躰が重いのに加え、ボー然という状態に近く、思考も動きません
そんな中
【オメデトウ】
怒りに近い感情が沸き立つ前に、オフィスのドアをノックする音が我に返してくれました
「はい…」
ぼんやりとした感覚が、恥じらう思考も気力さえも無くしていたのが、ただ1つだけ救われた事かもしれません
入って来たチーフマネジャーは、私の気を和ませようとしていたのだと思います
「大丈夫か?アイツらに、オレがオマエにセクハラしたんだろって怒られて来たぞ」
「そっ…そんな…すみません!」
いつも読み取りにくい表情は、少しだけ穏やかに思えました
「冗談だ、気にするな。今日はオレの判断で送らせてもらう、家はどの辺りだ?」
「○○駅の近くです…すみません…お願いします」
車内では、私の最寄り駅に着くまでチーフマネジャーが私へ伝えたい事を、ゆっくりと1人事のように言葉を選んで話してくれました
「何があったのか知らないが、ムリはするな…」
「……」
「大丈夫だ…不安定な時なんて誰にでもある…」
「……」
「気まずさで1度休んだら、オマエはそのまま出社出来なくなるだろ…」
「……」
「そのまま辞めるなんて事になりかねない…」
「……」
「体調不良でないなら、明日は絶対出社しろ」
返事をしない私に
「まさかとは思うが…本当にオレに手を貸されるのも嫌なのか?」
「ちっ…違います!そうじゃなくて…」
「まぁいい、オマエが話したいなら理由は明日聞く、家まで送ってやりたいが…」
「ここで大丈夫です!すみません、本当にご迷惑を…」
「それも明日聞かせてもらう、気をつけて帰ってゆっくり休め」
「はい…すみません、ありがとうございました」
1人でない時間に気を紛らわせてもらい、あまり使わないコンビニ前のゴミ箱に、ティッシュに包んだ異物を投げ入れて帰宅した時には
チーフマネジャーへの感謝と罪悪感の方が大きくなっていて
翌日出社しなければ、彼にはもっと迷惑をかけることになると自覚していました
それでもシャワーを浴びようと服を脱いた時に、破れたストッキングと足りない下着にその日を思い返させられ、出社への躊躇いが再び過ぎります
唯一の救いは、車内の会話から知れた
1番近くにいたチーフマネジャーが、私の状況を完全に把握していた訳ではなかったということだけでした
そんな寝付けずにいた私の迷いは最後を告げるメールの文字で
【我慢出来ないだらしのないマンコが簡単にイッたから、コレで終わり】
(終わった…)
屈辱よりも解放された安堵で、眠りに落ちたのだと思います
「おい!メシ食い行くぞ!」
オフィスに残る全員に声をかけました
残業していた社員が、全員男性だった事がその理由だと思います
「直ぐに俺だけ戻るから勝手に帰るな」
小声で言われたそれに返事がない事を気にしたのか
「いいな?」
頷いて応えると、納得したのか、オフィスを出て行きました
ゆっくりと立ち上がると、振動を止めた異物が白濁した汁気に塗れてコロンと転がっています
ゆっくりチーフマネジャーのコートを畳んで彼のデスクに置き、ゆっくりゆっくりモップを取り、床を拭き、異物をティッシュに包み家まで帰る途中の知らないコンビニのゴミ箱に破棄する事を決めました
勝手に帰るつもりで自分のコートを着たのですが、躰が重いのに加え、ボー然という状態に近く、思考も動きません
そんな中
【オメデトウ】
怒りに近い感情が沸き立つ前に、オフィスのドアをノックする音が我に返してくれました
「はい…」
ぼんやりとした感覚が、恥じらう思考も気力さえも無くしていたのが、ただ1つだけ救われた事かもしれません
入って来たチーフマネジャーは、私の気を和ませようとしていたのだと思います
「大丈夫か?アイツらに、オレがオマエにセクハラしたんだろって怒られて来たぞ」
「そっ…そんな…すみません!」
いつも読み取りにくい表情は、少しだけ穏やかに思えました
「冗談だ、気にするな。今日はオレの判断で送らせてもらう、家はどの辺りだ?」
「○○駅の近くです…すみません…お願いします」
車内では、私の最寄り駅に着くまでチーフマネジャーが私へ伝えたい事を、ゆっくりと1人事のように言葉を選んで話してくれました
「何があったのか知らないが、ムリはするな…」
「……」
「大丈夫だ…不安定な時なんて誰にでもある…」
「……」
「気まずさで1度休んだら、オマエはそのまま出社出来なくなるだろ…」
「……」
「そのまま辞めるなんて事になりかねない…」
「……」
「体調不良でないなら、明日は絶対出社しろ」
返事をしない私に
「まさかとは思うが…本当にオレに手を貸されるのも嫌なのか?」
「ちっ…違います!そうじゃなくて…」
「まぁいい、オマエが話したいなら理由は明日聞く、家まで送ってやりたいが…」
「ここで大丈夫です!すみません、本当にご迷惑を…」
「それも明日聞かせてもらう、気をつけて帰ってゆっくり休め」
「はい…すみません、ありがとうございました」
1人でない時間に気を紛らわせてもらい、あまり使わないコンビニ前のゴミ箱に、ティッシュに包んだ異物を投げ入れて帰宅した時には
チーフマネジャーへの感謝と罪悪感の方が大きくなっていて
翌日出社しなければ、彼にはもっと迷惑をかけることになると自覚していました
それでもシャワーを浴びようと服を脱いた時に、破れたストッキングと足りない下着にその日を思い返させられ、出社への躊躇いが再び過ぎります
唯一の救いは、車内の会話から知れた
1番近くにいたチーフマネジャーが、私の状況を完全に把握していた訳ではなかったということだけでした
そんな寝付けずにいた私の迷いは最後を告げるメールの文字で
【我慢出来ないだらしのないマンコが簡単にイッたから、コレで終わり】
(終わった…)
屈辱よりも解放された安堵で、眠りに落ちたのだと思います
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