春の明日になりたい

襲撃(挿絵あり)

--数時間後--

ドゴォッ!!という轟音が響いた。

「なんだ！今の音！」

「トラックが突っ込みやがった！！」

過激派集団"グランギニョール"の構成員達は騒ぎ狼狽え、慌てて外に出た。

男達が目にしたのは、大型トラックが建物に深くめり込んだ状態だ。

中から顔を出したのは、黒パーカー姿のハルだった。

「てめぇ！ブラフェアか！？」

男の一人が声を荒げた。

ブラフェアとは、ハルが所属する組織"ブラッディフェアリー"の略称だ。

ハルは、ゆっくりとトラックの上に立った。

両手をパーカーのポケットに突っ込み、冷徹な目をして男達を見下した。

「…ガキじゃねーか。あんなガキがブラフェアなのか？」

「おい、見た目で油断すんな！門ごとトラックで突き破ってきたんだぞ！」

「それにあの殺気、ただのガキじゃねぇ。」

男達は、銃を手に持ち、トラックを取り囲んだ。

「人間の底辺がゴミクズのように群がってるな。マジで気持ち悪いよ、アンタら。」

ハルは男達に辛辣な一言を言い放つ。

「はぁ！？ふざけんなてめぇ！」

「クソガキ！殺してやる！」

男達がトラックに近付くと一斉に銃をハルに向けた。

すると、ハルは手首に仕込んでいたワイヤーを伸ばし、建物の上階の窓にひっかけた。

そして、男達の目にも止まらぬ速さで建物に飛び移り、窓を体当たりで割ると、いとも簡単に構内に侵入した。

「な…ッ！待ちやがれクソガキ！」と慌てる男達を他所に、「もうおせーよ。」と小さく呟いたハルは、ポケットから取り出したスティック型のボタンを押下した。

トラックがドゴォォォォン!!というけたたましい音をあげて爆発した。

男達は爆風で吹き飛ばされ、爆炎が立ち上がり、炎は建物に燃え移った。

「どうせなら派手にやんねーとな。」

ハルは吐き捨てるように言うと、ブラウンからひったくった構内図を見ながら司令室へと走った。