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7 領地開拓ですか?

7ー6 交易

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 7ー6 交易

 俺は、二週間ほどかけてバサーラ王国への街道を開いた。
 山のバサーラ王国側には、山村があった。
 俺とロタは、身を隠して山村の様子を覗き見た。
 なんとも貧しい村だ。
 俺は、村の長を訪ねることにした。 
 だが、その前にしなくてはならないことがある。
 俺は、バサーラ王国側の横穴にうすく土壁を作るとエルガーナへと戻った。
 長期休暇ももう終わりだ。
 俺は、そろそろ魔法学園へと戻らなくてはならない。
 俺は、母上と家令に勝手に森を開拓したことを話し、現場を案内した。
 森を開拓したことにも驚かれたが、なによりもバサーラ王国へと続く横穴に母上の目付きが変わった。
 「これを使えば簡単にバサーラ王国へと侵攻できるな」
 でも、俺は、それを望んでこの横穴を作ったのではない。
 俺は、母上と家令にバサーラ王国との交易を提案した。
 もともとバサーラ王国との商人レベルでの行き来はあるのだが、安全な街道がないため、それほどの交易は行われていなかった。
 バサーラ王国は、好戦的な国だが、それだけではない。
 バサーラ王国は、山が多く鉱石に恵まれた国だ。
 ただ、他国への街道がないためにほぼ輸出は、されていない。
 そして、山地が多いために穀物は、輸入に頼っている。
 それがバサーラ王国が他国への侵攻を考える理由でもあった。
 農地が少なく、国民を養うのに十分な食料が得られない。
 だから、豊かな農地の拡がるルシナードの地に侵攻しようとするのだ。
 「もし、バサーラ王国から鉱石を輸入することができればルシナード王国の経済は、潤うでしょう」
 ルシナード王国は、現在、鉱物のたぐいは全て輸入に頼っている。
 それも、海を渡ってくる遠い国との交易だ。
 当然、値段も高くなる。
 それが、近くで手に入るのだ。
 ルシナード王国にとっても悪い話じゃない。
 「俺は、この地にバサーラ王国との交易の門戸となる町を作ろうと思っているんです」
 俺の話をきいた母上が低く唸った。
 「それをバサーラ王国が承諾するかどうか。仮に承諾したとしても誰が蛮国との交渉をするというのか?」
 
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