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第14章 光の乙女

14ー9 運命の地

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 14ー9 運命の地

 『光の乙女』?
 我々は、みな顔を見合わせた。
 なんのことなのか話が見えない。
 だが、クロノフさんは、頷いた。
 「そうです。彼女こそ間違いなくこの世界を救うために光の神が遣わした乙女に間違いありません」
 わたしは、ちらっとキルハ様のことをみた。
 おそらく彼らがいっているのは聖女のことだ。
 キルハ様は、確かに聖女の資質を持つ方だ。
 「このカイラ様が『光の乙女』に間違いありません」
 はい?
 わたしは、クロノフさんの言葉にぎょっとしていた。
 何を言い出したのか。
 「クロノフさん、わたしは」
 「カイラ様こそ、我らの求める『光の乙女』に間違いありません」
 クロノフさんは、きっぱりと言い放った。
 わたしは、戸惑いを隠せなかった。
 マオの方をみる。
 だが、マオも驚いている様子だった。
 「カイラが『光の乙女』?」
 「カイラ殿、こちらへ」
 ルチアーノ様が壇上から手を伸ばされる。
 わたしがどうしたらいいかとちらっとうかがうとセシリア様がこくりと頷かれた。
 ううっ。
 わたしは、仕方なくルチアーノ様の方へと歩みよった。
 ルチアーノ様の手に手を重ねる。
 その瞬間、玉座の間に光が満ちた。
 まばゆい光の中、わたしは、精霊たちが降り注ぐように舞っているのを見た。
 『おかえり、カイラ』
 精霊たちが囁く。
 どういうこと?
 わたしの体を光が包み込んでいく。
 なんだろう。
 体の奥から熱い何かがふつふつと沸き上がってくる。
 「あぁっ!」
 わたしは、悲鳴をあげた。
 光は、まだわたしをとらえ続けていたがこれ以上は、耐えられそうにない。
 わたしは、光の中で溺れそうになっていた。
 手を伸ばしてルチアーノ様の腕にすがりつく。
 ルチアーノ様は、わたしの手を掴んでわたしを支えてくださった。
 「カイラ様、いや、イーシュア姫よ」
 ルチアーノ様の低い声が耳元で響く。
 わたしは、光に包まれてその膨大な力の前に意識を手放そうとしていた。
 『カイラ』
 精霊王の声がきこえる。
 『我が愛しき姫騎士よ』
 遠ざかる意識の中、お父様の声が告げた。
 『ついに運命の地へと戻ってきたのだね、お前は』
 
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