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第3章 神都の覇者

3ー2 やりすぎ?

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 3ー2 やりすぎ?

 的をかすった?
 俺は、驚いていた。
 その程度でそんなに誉められるのか?
 俺が見ていると次の受験生が前に進み出た。
 受験生は、試験官の号令に従い的へと炎の矢を飛ばした。
 が。
 はるかに離れた場所に炎の矢は落下した。
 はい?
 俺は、目が点状態だった。
 いやいやいや!
 入学試験ってこんなレベルだっけ?
 俺は、かつての母国の魔法学園のことを思い浮かべていた。
 確か、あのときは、俺は、父親が金を積んだからか魔法の実技は、免除されたのだ。
 もしかしてみんなレベル低い?
 ぼんやりしていると試験官に名前を呼ばれた。
 「ロイド・ヘルレイザ-?」
 「はい!」
 俺は、返事をすると前へと進み出た。
 試験官は、うんざりした様子だった。
 「君がヘルレイザ-か?」
 「そうですが」
 俺が答えると、試験官が気まずげな表情を浮かべた。
 「準備は、いいか?」
 「大丈夫です」
 俺が言うと試験官は、合図を出した。
 俺は、手の平から小さな火の玉を出すとそれを的へと放った。
 どん、と音がして的が燃え落ちる。
 あっ!
 俺は、舌打ちした。
 もしかしてやりすぎたか?
 試験官は、驚愕の表情を浮かべて俺をまじまじと見つめていた。
 魔法の実技の試験が終わった後、俺は、一人ぼんやりと結果の発表を待っていた。
 「ヘルレイザー様」
 名前を呼ばれて俺が振り向くとそこにはあの神族の血族とやらの少女が立っていた。
 「失礼。私は、ユーリス・ローサンダーと申します。お見知りおきを」
 少女の丁寧な物言いに俺は、無言で頷いた。
 なんで神族の血族とやらが俺に話しかけてくるんだ?
 俺は、いぶかしげに少女を見つめていた。
 少女は、少し頬を赤く染めて俺を見上げる。
 「ヘルレイザ-様は、魔界からの留学生だとお聞きしました」
 「そうだけど」
 俺は、そっけなく答えた。
 「それが何か?」
 「いえ、その、魔界の、というか龍人族というのは、みな、あなたのように貫禄があるのですか?」
 「貫禄?」
 俺が聞き返すと、少女は、慌てて答えた。
 「いえ、決して、あなたが老けているとかいっているわけではないんです。ただ、年上に見えるなあ、と思って」
 はい。
 俺は、肯定していた。
 その通りです。
 俺は、どう答えたものかと考えていた。
 まあ、ここは、無難にいく方がいいかな。
 「龍人がみな俺のように年上に見えるということではない。俺は、老けてみられるんだ」
 そのとき、前方の掲示板に試験の合格者が張り出された。
 俺とユーリスは、のんびりと前へと進んだ。
 たぶん、俺たち、合格してるよね。
 予想通り、俺もユーリスも合格していた。
 「これから4年間、よろしくお願いします」
 ユーリスが俺に手を差し出したので俺は、それを握り返した。
 「こちらこそ、よろしく」
 
 
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