【完結】平民として慎ましやかに生きようとするあいつと僕の関係。〜平民シリーズ③ライリー編〜

華抹茶

文字の大きさ
24 / 34

23 学園に戻れば

しおりを挟む



編入手続きをして僕とヴィンはもう1度学園へ入る事になった。簡単な試験もあったけど、もちろん問題はなかった。

僕がまた通う事になった時は担任に泣いて喜ばれた。…別にアンタの為に戻ってきたんじゃないんだけど。


僕の寮の部屋は以前のままだった。ヴィンの部屋も同じ平民部屋。でもヴィンを平民部屋で過ごさせるつもりは無い。僕の部屋に住まわせる。

だって無駄に広い部屋で僕1人なんて勿体無いし、ヴィンと少しでも一緒にいたいからそうさせた。

学園側から何か言われても無視するつもりだ。

「ライリーさん、それはちょっと良くないのでは?」

ヴィンは真面目だからそれはダメだろうと。

「僕と離れてもいいの?ヴィンは寂しくないの?」

「…そんな言い方ずるいです。」

ごめんね。だって僕が離れたくないから仕方ないよね。


でもヴィンはこうやってはっきり自分の意見を言うようになった。それが本当に嬉しいと思う。どんな学園生活になるかな。楽しみだ。

あ。でもヴィンの魅力に気づいて変なやつが群がってきそうでそれは嫌だ。


うん。僕がちゃんと側にいて目を光らせておこう。



王都での一件から1ヶ月。ヴィンの目は元に戻った。視力だけじゃなくて魔力が視えるのも。色も綺麗な金色にちゃんと戻ってくれた。

「もうあんな無茶な事しないでよ。…あんな事もそうそうないとは思うけど。」

「はい。心配かけさせたくないので無理はしません。」



「今日からまた学園生活が始まるけど、ご飯は絶対一緒に取るから。あと何かあったら絶対僕に言って。」

心配でそう言うとヴィンがくすくすと笑い出した。
なんか面白い事言った覚えはないんだけど??

「なんだか初めの頃を思い出して。同じ事を言われたなぁと。」

あ。確かに。言ったね僕。

「『友達としてのお願い』でしたね。」

「…今は『恋人としてのお願い』。」

「はい。わかりました。」


寮を出てそれぞれの棟へ向かう。ヴィンは笑顔で手を振ってくれた。

お昼の時にでもどうだったかちゃんと聞こう。


教室へ入ると一斉にクラスメイトが群がってきた。

「ライリー様!お帰りなさいませ!」

「お会いしたかったです!」

「是非今日のランチご一緒させてください!」

「おい!俺がライリー様と一緒にランチするんだ!お前は退いてろ!」

「はぁ!?お前こそ引っ込んでろよ!」


うるさい。なんなのお前たち。本当にウザい。


全員無視して自分の席に座る。それでもしつこくしてくるから流石にキレた。

「ねぇ!…静かにしてくれる?僕はもう予約済みなの。ランチはその人と取るから君達とは一緒に取る事はないよ。諦めて。」

そう言うと「えええ!? なんでですかっ!」とまたうるさくなった。…戻ってくるの失敗だったかな。
でもヴィンを1人で学園に戻すなんて出来ないし我慢我慢。

はぁ…。ヴィンに会って癒されたい。


午前の授業が終わって僕はすぐに食堂へ向かった。クラスメイトに巻き込まれるなんて嫌だし早くヴィンに会いたいし。


食堂でしばらく待っていたらヴィンの姿が見えた。

「ヴィン!」

「ライリーさん。お待たせしてしまいましたね。すみません。」

ああ癒される。ヴィンが可愛くて抱きしめた。
すると「きゃぁぁぁ!」だの「うわぁぁぁ!」だの一気にうるさくなった。

何、何かあったの??

と周りを見れば皆僕達を見ていた。何、ヴィンに抱きついたのがそんなに騒ぐ事なの?

……ふぅん。なら。


「ヴィン。愛してるよ。」

そう言ってヴィンにキスをした。

ヴィンは僕のだってちゃんと伝えなきゃね。皆僕達を見てるんなら丁度いい。

すると「きゃぁぁぁ!」とか「うわぁぁぁぁ!」とかまた凄い騒ぎになった。

その騒ぎを無視してヴィンと手を繋いでランチを取る。

ヴィンてば真っ赤になって可愛いなぁ。


「おい!ライリー!お前やりすぎだろ!」

「アーロン久しぶり!」

あの騒ぎで僕達を見つけたアーロンが近寄ってきた。

「あのなぁ。確かにお前の苦労も分かるし、恋人が可愛くて仕方ないってのも分かった。分かったけどこんな公衆の面前でキスとか!恥ずかしくないのか!?」

「なんで?可愛いヴィンを愛でてるだけだし。ね、ヴィン。」

「……いえ、あの。なるべくならやめて頂けると…。」

がーん!! ヴィンに拒否された…。

「そりゃそうだろう。ヴィンセントが可哀想だ。ヴィンセント、コイツの事で嫌な事があったら俺に言って。叱っとくから。」

「はぁ!? ヴィンは僕のだ!」

「誰も取ろうとなんかしてねぇよ!俺には大事な婚約者がいるから安心しろ!……本当にお前、変わりすぎだろ。」

本当かな?コイツもヴィンの魅力にやられてないだろうな?不安になってヴィンをぎゅっと抱きしめる。絶対誰にもやらないからな!!

「だーかーらー!ヴィンセントが恥ずかしがって可哀想だからやめろっ!」

「なんでお前がヴィンの事知ってるみたいに言うんだよ!ヴィンは僕の!」

「ぷはっ!あははははは!」

「「あ。」」

ヴィンにめちゃくちゃ笑われた。あーもう!そんな可愛い顔他に見せちゃダメだってば!

隠すようにしてヴィンを腕の中に囲った。それでもヴィンはくすくすと笑いが止まらないようで笑い続けてた。

「くすくす。ライリーさん、大丈夫です。私もライリーさんだけですから。何処にも行きません。」

うぐっ!可愛すぎてツラいっ!

堪らなくなってまたヴィンにキスをしてしまった。そしたらアーロンに頭を叩かれた。

「だからっ!やめろって言ってんだろ!いい加減にしろっ!」

そしてまたヴィンがくすくす笑って。


楽しいねヴィン。今度は楽しい学園生活が送れるよ。卒業まで一緒に楽しもうね。



食事をしながら午前の授業がどうだったかを聞いた。

「そうですね。今までと変わりありませんでした。遠巻きにされてる感じです。ですので静かに過ごすことが出来ました。」

なんて事ないように言うヴィン。ま、そんな簡単には周りの目は変わらないか。…変わってほしいと思うけど、それと同時にヴィンの魅力に気づいてほしくないから変わってほしくないとも思ってしまう。

僕って心の狭い人間だよなぁ。


「でも午後からは変わるだろうな。…ここでこんな事やったんだから。」

「…かもしれません。その時はその時です。」

「心配だな…。僕もついて行こうかな。」

「やめとけ。ヴィンセントはしっかりしてるから大丈夫だろ。」

「なんでお前がヴィンの事知ってるみたいに言うんだよ!」

「……またこれかよ。もうヤダ…。」


アーロンの奴、要注意だな。


それから午後の授業を受ける為に教室へ戻った。

「ライリー様!あの文官科の人との関係はなんなんですか!?」

またかよ…。

「ヴィンの事?ヴィンは僕の恋人。いずれ結婚する予定。だからもう僕には構わないでよ。わかった?」

結婚したいなんてまだ言ってないけどこう言っとかないと。もうめんどくさいのは嫌だし。

するとまた「うわぁぁぁぁ!!」と叫び出した。


うるさい!コイツら叫ばないと生きていけない生き物なのか!?



……あぁ、早くヴィンに会って癒されたい。
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。 性表現は一切出てきません。

【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~

TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】 公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。 しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!? 王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。 これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。 ※別で投稿している作品、 『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。 設定と後半の展開が少し変わっています。 ※後日譚を追加しました。 後日譚① レイチェル視点→メルド視点 後日譚② 王弟→王→ケイ視点 後日譚③ メルド視点

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか

まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。 そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。 テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。 そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。 大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。 テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。 ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。

贖罪公爵長男とのんきな俺

侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。 貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。 一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。 そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。   ・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め ・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。 ・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。 ・CP固定・ご都合主義・ハピエン ・他サイト掲載予定あり

陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)

ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。 僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。 隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。 僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。 でも、実はこれには訳がある。 知らないのは、アイルだけ………。 さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪

処理中です...