10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護

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3章 異世界交流

33話 困った時のお母さん *咲耶視点

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やった、やった‼︎

スキル[異世界交流]を発動して光希を選んだら、タブレットが出現した。そこから1個しかないアプリを起動させたら、掲示板の中で光希と連絡を取り合うことができたわ。おまけに、間接的にお母さんとも話し合えた。扱い方も日本で販売されている物と同じだったから、みんなで写真を撮ろうとしたら、何故かカメラが作動しなかった。よく見ると、左上の項目欄に交流レベル1とあるし、スキルの説明欄の方でも、レベルが上がれば、様々な機能が実装されていきますと記載されているから、光希と交流を重ねていけば、写真だって撮れるようになるし、日本側へ送れるようにもなるんだわ。

このスキル、凄いわ‼︎
その分、原点回帰同様、友達以外の前では使用を控えよう。

「このタブレット…というもの、凄いな。文章を綴っただけで、相手とすぐに連絡が取り合えるのか。地球の日本、どんな場所なのかな? 行くことは不可能だとわかっているけど、せめて写真を見たい」

ユウキが、日本に興味を持ってくれて嬉しいわ。こうして光希と連絡を取り合えたのは嬉しいけど、どんな原理で通信を可能にしているのかな?

「フリード、これって交流が中断されることとかないのかな?」

日本だと、アンテナのおかげで、友達が何処にいても電話できるし、メールだってできる。でも、ここは異世界なのだから、当然アンテナはない。

「まあ、大丈夫でしょう。おそらくですが、この交流の1番のポイントは、互いの持つ絆の深さです。その絆が深く太いからこそ、互いの連絡を取り合えるのですよ」

「え、そうなると、家族以外の人を選んでしまったらどうなるの?」

説明欄には、異世界にいる誰かと連絡を取り合えるとなっていたわ。

「あくまで仮定の話ですが、絆の深さに依存するのであれば、絆の薄い友人を選んでしまった場合、その時点でスキルそのものが消滅していたかもしれません。スキルの中にはスキル所持者に選択を要求するものもあり、実際に消滅した実例もあります」

危なかった~~~。
光希を選んだことで、感度も良好なんだね。

悠太の夢を聞かされて、一つ懸念事項があった。私が風邪を引いた時、病院に行ってお医者様に診てもらったことがある。その時は女性だったけど、凄くカッコ良く感じたから、どうやったら医者になれるのと聞くと、先生は私を馬鹿にすることなく、医者になるための方法を簡単に教えてくれたから、難易度も凄く高いことだけはわかった。悠太が必死に勉強しているということは、その分光希とも遊べる時間が少なくなるということだ。悠太たちが構えない分、私がこのアプリで光希と交流を図り、少しでも寂しさを和らげていきたい。

「なあ、最新の文章を読んだ限り、咲耶の前世の母親がキャットウォーク用の材料を何とかしてくれるような内容だったが、母親たちはこっちの常識を知らないだろ? どうやって、アドバイスをくれるんだ?」

「それは……わからないわ」

ユウキの疑問も当然だよね。
お母さんは、どうやって解決手段を教えてくれるのだろう?

「あ、咲耶、メッセージが!?」

嘘、もう何か方法を思いついたの!?

《お姉ちゃん、お母さんがね、材料に関しては木材でいいんだって。問題は木材をコーティングする物、よくわかんないけど、それに気配や存在感を薄ませる性質を持つ何かを添加すれば、半透明なものが出来るかもしれないって言ってる。『魔法のある世界なんだから、そんな植物も存在するでしょ』だって》

なんか軽くない? 
気配や存在感を薄ませる植物って存在するの?

「ほう、咲耶の母上は、中々良い着眼点をお持ちのようですね。そういった植物は、確かに存在します。それも、かなり身近な場所にです」

私の横で見ていたフリードは、その植物のことを知っているんだ。

「フリード、どこに生えているの?」
「どこにでも生えていますよ。植物というものは、外敵から身を守るために、様々な手段を用いて、この世界を生きています。[棘][食虫][毒]などなど、数多くの手段があるのです。あなたの母は、スキル[隠密]を持った植物をすり潰し、それをコーティング剤に添加すればいいと言っているのでしょう」

植物も、スキルを持っているの!?
初めて知ったわ。

「私の知る限り、該当する植物は1種類だけですね。名称は[コバートノギル]、厳しい自然環境を生き抜くため、進化する過程でスキル[隠密]を発現させた稀有な植物です。私自身、魔物を倒す過程で偶々見つけたのですよ」

「そんな、植物をどうやって見つけ出すの?」

「あの植物は、外敵が自分の警戒距離に入った瞬間、隠密を発動させますから、見つけ出すことは、至難の業でしょうね。自分自身を人から上手く隠せるからこそ、世界中に群生するようになったのですよ。咲耶もユウキも、コバートノギルが生えていても気づかず、その近くを素通りしたり、踏んだりしています」

踏んでいるって、全然わからなかったわ。
そんな、植物をどうやって見つけるの?

「フリード、人はその植物のことを知っているのか?」

あ、ユウキの言う通りだ。群生しているのなら、植物学者の人たちが発見方法を知っているかもしれない。

「ほほほほ、現在でもコバートノビルを知る者は、少数ながらいますよ。ただ、この草花の使用用途は食用だけとなっているため、誰も採らないのです」

それっておかしくない?
食用として役立てるのなら、栽培すればいいのに。

「咲耶、顔に出ていますよ。あの植物は、葉からほんの少し甘い成分を放出させています。その量が微量であるため、人は地面を這いながら匂いを嗅がないとわからないレベルなのです。おまけに、姿も認識しにくいので、労力やコストを考えたら栽培する魅力を感じないのですよ。そういった理由もあり、あの植物は世界中に蔓延ることに成功したのです。今の時期であれば、30センチほどの背丈になっているでしょうね」

草花で30センチって結構大きいのに、人は気づいていないんだ。

「フリード、この近辺にもあるの?」
「街外れにけば、入手可能ですよ」
「よし、それなら今から採取に行こう!!」

甘い芳香を頼りに、自分で見つけ出して、色々と実験してみよう。
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