神様はいない Dom/Subユニバース

np03999

文字の大きさ
21 / 114
小話系

あばれ馬ならし 1

しおりを挟む
※ ハピエン中毒者が、メリバ展開もありかもーという気持ちのときに書いたもの。同じ世界線のようでちょっと違うかも。トンデモ系メリバです。




 「”跪け”」
 「はい、”ご主人さま”…」
 吉継が部屋の端でペタリと座る。厚木は、無意識に”ご主人さま”と呼ぶ吉継を好きにさせ、アンティークのソファに座ったまま吉継から向けられる視線を受けて流す。
 さっきまで、吉継は裸のまま壁に向かって”反省”させられていた。タイムアウトは終わったが、まだ欲しいものは渡さない。いつもは厚木の足の間で腹に顔を埋めて撫でてもらうが、今はそれを許さなかった。吉継が膝の上で拳を固く握っていたが、怒りではなく、悲しみと焦りと渇望が入り交ざって複雑に絡まっている。厚木は吉継の透けている心を見据えていた。
 「言いたいことはあるか」
 「厚木さん以外は嫌です」
 何度聞いても、吉継は判で押したように同じことばを繰り返す。
 吉継が通院でプレイを拒否したのは昨日のこと。それを聞いたときに厚木は、抜けられない会議のあとに、一泊の出張が入っていた。やましいことがあるから何度電話しても吉継が通話に応じることはなく、運が悪いことに秘書の笠井も同行していたので、吉継の様子を見に行くことはできなかった。しかし、次の日は普通に出勤していたので、マンションで籠城はしていない。厚木はできるだけ早く仕事を終わらせて、会社帰りの吉継を捕まえたのだ。一瞬気まずそうな表情をしたが、おとなしく厚木の運転する車に乗り込んだ。
 吉継は、月2回通院しており、その時に療法士とダイナミクスを安定させるためのロールプレイをする。プレイ時間は約三十分ほどだが、吉継には耐えられなかった。
 厚木とのプレイだけでは、Domから偏った支配しか受けてこなかった吉継を安定させることができない。厚木が吉継の望むように命令コマンドをあげるだけの関係では、根本的に満たされることなく、お互いに疲弊してしまう。
 吉継は、Subとしての土台が作られないまま、命令コマンドだけの支配を受けていた。褒められることはなく、満たされない欲求を常に抱えたまま、命令コマンドに執着するようになった。次第に命令コマンドをくれる”ご主人さま”にも。満たしてくれない相手とご褒美のない命令コマンドにひたすら執着し、貪欲に命令コマンドのみを求め、心身からの警告であるサブドロップの仕方もわからないのが今の吉継だ。
 療法士とのプレイは、軽いコマンドで大いに褒めることが基本で、ダイナミクスが発現したばかりのティーンが受けるような初歩のプレイだ。”Sub”としての欲求をDomに掬い上げてもらい、命令コマンド通りに動き褒められる喜びを感じて、良いプレイ経験を積み重ねていく。プレイを通してDomを信頼することを憶えて、ダイナミクスが安定していく。Subとしての育ち直しをしている段階だ。
 吉継にそのような治療方法を説明しても通じない。厚木に言われて渋々受け入れているが、納得はしていないからだ。普段は渋々でも通院しているが、こうして我慢ができなくなったら、通院をボイコットして厚木から”お仕置き”されていた。
 厚木は、Subとして未熟な吉継に、濃密なパートナーとのプレイだけを教え込むことに躊躇がある。まして、厚木の望むプレイは、今まで吉継をいいようにしてきたDomたちと近いところにある。痛みが伴うこともあるからだ。同じ”痛み”を扱うが、根本的には違う。しかし、土台のない吉継がどこまで違いがわかるだろうか。厚木は、今まで吉継をいいようにしてきたDomと同じ立ち位置なのは許せない。
 パートナーである厚木とのプレイは深くて濃密だ。療法士からは得られない喜びがある。吉継は厚木とのプレイで、Subとしての喜びを感じるよりも、執着からくる渇望を厚木に満たしてほしいのだ。それが吉継のSubとしての生き方で、出会った頃からなにも変わっていなかった。
 「”来い”」
 吉継が立ち上がり、裸足の足をフローリングにペタペタつけながら厚木の前まで歩いていく。手を伸ばせば届くところまで近づいて止まる。吉継は、やっと厚木のテリトリーに入れてもらえたと思ってホッとしたことが伝わってきたが、厚木にとってはまだ序の口だった。
 聞き分けの悪いSubには、いい加減腹が立っていた。
 「ここに、”腹ばいになれ”」
 ここだというように、吉継に膝から太ももへと視線を誘導する。
 吉継は、まだこがもらえないことに、困惑した表情を見せたのも一瞬、厚木の眼前に隠すことなく晒している性器は、重なっていく命令コマンドを喜び、ヒクヒクと震えていた。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...