個人授業は放課後に

須藤慎弥

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 計四日に渡って行われた予習の成果は充分に出ている。

 橘から慣らされている最中、「そこはイジるとこじゃない、指を挿れないで」と由宇はもう言わなくなった。

 そこを凝視しながらいやらしい音を立てている橘の、悪魔の笑みが絶えない。

 指の本数が増えた事にも敏感に反応し、リアルに感じ取っているためか無意識に臀部に力が入る。


「……っ……っ……、……っ……」


 恥ずかしくて、慣れなくて、気持ちいいと快楽を追うまでにまだ相当時間が掛かる。

 洗浄と称して慣らされ始めた時から、由宇の頬は上気したまま、ベッドに居る今も全身に渡った熱は一向に治まらない。

 ここへ着いてすぐにバスルームへと連れ込まれ、この四日間では見た事のないほど欲情した橘に何度も何度もキスをされた。

 首筋から耳の後ろにかけてを優しく唇で愛撫をする橘の巨砲は、とてもじゃないが直視出来ない。

 中をぐちゅぐちゅと掻き回す動作が慣れてきたせいか、橘は由宇の体の至る所を嬉しそうに攻める。


「……ふっ……っ……っっ……!」
「お前何してんの?」
「…………っっ?」


 乳首をカリッと噛まれ、痛みによる快感が下腹部を襲ってしまいつい自身の手のひらを食んで声を殺していた。

 それがどうやら気に食わなかったらしい。


「今日ずっとそうやってるつもりか?  あんあん言えよ。  俺を怒らせてぇの?」
「そ、んなはず……ないだろ……っ」
「じゃあ我慢すんなよ。  お前の声無いと盛り上がんねー」
「……わわっ、待って、ダメ!  それはダメ!」


 由宇が必死で押し殺していた声が無い事に苛ついた橘が、中で指先を蠢かせながら小さく反り立つ由宇のものを口に含んだ。

 イってしまうと眠気がくる由宇は、一度目の射精をずっと我慢させられている。

 絶頂間際、息を詰めて喉を仰け反らせる度に根元をぎゅっと握られ、「まだ我慢しろ」と睨まれて微かに泣いた。

 由宇の中心部も一心同体で、なかなか吐き出せない性が内で燻ってしまい、我慢汁しか溢せない事に泣いていた。

 それが、急に温かな口腔内にすっぽり収まってしまうと、知らず腰が浮いて足先に力が入る。


「んっ……ん、やっ、……せん、せ……っ、だめ……出そ……になるから……っ」
「ギリギリで止める」
「むりっ……も、イかせ、て……!  くるし、い……っ!」
「そうそう、その顔。  やべぇくらいゾクゾクすんだよな」
「……んやっっ、こわ、い……っ、先生っ、意地悪……こわい……!」
「ふっ……もっと啼け」


 咥えたまま喋る橘の歯と舌が、絶妙な刺激を与えてきて息も絶え絶えだ。

 射精を促してくれていると思いきや、由宇の指先に力が入ると途端に愛撫をやめる。

 その意地悪な焦らしに、体が変になってしまいそうな恐怖に涙が止まらなかった。


「……ん……んっ、……っ……っ!」
「初セックスはやっぱ俺と同時イキしてぇだろ?」
「な、にっ?  やっ……やだ、も、う……っ、イかせて、おねが……っ」
「我慢しろ」
「……むり、だって、言ってんじゃん!」
「こんだけ中いじられてイってねーんだから自信持て」
「……っっ!  うぅぅぅ~っっ」


 やっと、橘が我慢させようとしてくる意図が分かった。

 橘と繋がり、彼の巨砲で目一杯中を擦られた後の同時射精を望まれている。

 だとしても、上がったり下がったりの熱に下半身が麻痺してき始めていた。

 腰が浮いてしまうほど気持ちいいのに、あとほんの少しの刺激をくれたらすぐにでも吐き出せるのに、それを断固として許してくれない橘は鬼だ。

 今日は橘の瞳がいつも以上に濡れていて、それを見ると由宇も感化されてしまいそうでまともに見る事が出来なかったけれど、あまりに意地悪過ぎて泣きながら由宇は橘を睨み付けた。


「唸ってる唸ってる。  その目もゾクゾクするな」
「えぇ……っ」
「泣いてんのもそそる。  もっと泣いて。  嫌だ、やめろって叫べ」
「……っ……!?  お、おかしい……っ、先生、おかしいよっ!  あぅぅっ……っ」
「お前だけだ。  こんな事言ってんのはお前にだけ。  俺をこんな風にしたのはお前だろ、由宇」
「………………っっ!」


 名前を呼ばれて胸がときめいた瞬間、亀頭をベロ、と舐められてイきかけた。

 根元を握られてしまい、射精に至れなかったそれが悲しげに次々と涙を零す。


「嫌だったら全力で暴れろ、いいな」
「……っ?」
「挿れる」
「………ヒッ──」


(どうしよう、ほ、本気……っ?  先生、本気でそれ挿れようっての……!?)


 慄く由宇の表情を見た橘は、彼なりの満面の笑みを寄越した。

 気が紛れない。

 下手くそな笑顔は好きだが、巨砲が迫ってきている今、見惚れている場合でもなかった。


「初めてだとどの体位が楽なんだろーな。  聞いときゃ良かった」
「んむぅっっ……!」


 橘はフッと笑みを絶やさぬまま、後孔にぴと、と、自身をあてがう。

 ビビり上がって恐れ慄く由宇の唇に噛み付いてきた橘の巨砲の先端が、わずかに挿入された。


「んんん──ッッ!」
「うわ、……すげ……」



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