【完結】【R18】妹に乗り換えた婚約者にとあるスキルをかけられた令嬢は、ワケありエージェントに助けられとっても可愛がられるようです。

にじくす まさしよ

文字の大きさ
12 / 32

助けてくれた、とってもカッコよくて優しい人は世界一の紳士でした

しおりを挟む
 何から何まで至れり尽くせりで、これまで傷ついて、これからの事が不安で怖かった思いがあったかくなる。

 
 やはり彼は思った通りの紳士だった。小さい体だからかもしれないが、浴室のドアを開けた先には裸のわたくしがいたのに、見ないようにしていてくれたなんて……。彼のそんな誠実な言動に対して、なんだか嬉しくなる。

 丁寧に折りたたまれた着替えは肌触りがとてもいい。なぜこんなものがあるのか少々違和感を感じるが、急な来客に対して細やかな気遣いを見せてくれる。

 ただ、彼はわたくしのサイズがわからなかったのだろう。
  それもそうかと着用するが、思った通り胸がきつくって苦しい。腰は随分余っている。ブラはきつかったのでつけれないから、恥ずかしかったけれどノーブラだ。
 下はサイドが紐だったからなんとかつける事ができた。

 一緒に置いてあったフリルのエプロンがあったので、トップ部分から下のスナップはつけても息を吸うだけで外れてしまったけれども、エプロンでそこが隠れていてほっとした。

 ハイストッキングもなぜかあるがずり落ちたため素足に靴下だけを着用したものの、スカートの丈は膝より少し下だから、ふくらはぎなどが無防備にさらされていて心もとなく恥ずかしい。

 脱衣所で着替えをしながら、とっても素敵な彼を思い浮かべる。

 大きな体はとっても鍛えられているのだろう。彼の名は有名で社交界では知らないものはない。

 きりっとした太い眉に情熱的な赤い瞳は理知的。神秘的な黒髪はさらっとしていてとっても素敵だ。大きめではあるけれど、それがよく似合っている鼻や唇はほんのり色気すら感じる。
 27歳で地位も力もあるのに特定の女性を作らないと聞いていた。

  すごくモテて、毎日のように女性が騎士団の訓練所に詰め寄せているというイケメン魔法使いは彼に違いない。

 特筆すべきは彼の容姿ではない。とにかくすごく優しい。小さな体を壊れ物のように大切に守ってくれて、お風呂の時の彼の言動もだが、リビングに行った後、自ら髪を乾かしてくれた。しかも、風量に気を使ってくれているのがわかる。大きな指がわたくしの頭を乱暴にしないように慎重にしてくれているのがわかってうっとり目を閉じた。

 そして今、目の前にならべられたフィギュア用の家具や食器たちは、わたくしが居心地がいいようにセットされている。

──ザムエル様は、ああおしゃっていたけれども、本当にわたくしを国に報告なさらなくていいのかしら……?

 笑顔で応えてくださって心配しなくていいときっぱり伝えて安心させてくれる。きっと、誰に対しても優しいのだろう。

──はぁ。なんて素敵な方なのかしら……。シモン様も優しかったけれど礼節と一定の距離があったし、なんせ彼は最初からゾフィアに惹かれていた。それでも政略結婚をするからにはと、わたくしを大切にしてくれていた。わたくしの出自が平民だと知られなければきっと一生大切にしてくれていたに違いないほどの人だけどこんな風に思うなんて事はなかった。

 自分を助けてもメリット一つなく、初対面だというのに細かなひとつひとつに気にかけてくれる。照れ屋で不器用そうな彼の赤い瞳を見つめてドキンドキンと胸が高鳴り呼吸が苦しく感じた。

──わたくし、ザムエル様に惹かれ始めているのだわ……。シモン様やゾフィアもこんな気持ちだったのかしら? あったかくて、苦しくて、幸せで、切なくて……。母が平民で〈呪い〉と〈隷属〉にかけられたわたくしなんてザムエル様には釣り合わない。彼が優しいからといって勘違いしてはいけないわ……。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

結婚式に代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
美希は平日派遣の事務仕事をしているが、暇な土日に便利屋のバイトをしている。ある日、結婚式の友人の代理出席をする予定で式場にいたのに!? 本編は完結してますが、色々描き足りなかったので、第2章も書いています。

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...