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身分も立場もわきまえず、どうしても彼に惹かれてしまう気持ち
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胸の中に芽生えた気持ちを感じながら、一言交わす度、視線が合う度に急速に育っていくそれをなんとか抑えようとしながら彼と会話を続けた。
「では、黒猫がシルヴィア嬢をあそこに?」
「はい。初めは食べられるかと恐れていたのですが、体を傷つけないように優しく咥えてくれて……。あの女性のカバンに放り込まれたあと黒猫は去って行ったのです。そのまま暫くすると床にカバンが床に降ろされたのでそこからやっと出たところ、ザムエル様が助けてくださったのですわ」
そう言って、小さくされたクッキーをいただく。優しい味はまるで彼自身みたい。
「その、味はどうだ?」
「甘すぎず、口の中でほろっと崩れてとっても美味しいです」
「そ、そうか。もう少し甘く作れば良かったかと心配していた」
「え? まさか手作りですか?」
「う……。男なのにおかしいだろう?」
思わず手作りだと言ってしまったのだろう。ばつが悪そうにしていているけれど、彼の気持ちがこもっているクッキーはとても嬉しい。
「いえ、料理のできる男性って魅力的です。優しい気持がたくさん詰まっていて嬉しいです」
本心からそう言うと、目を丸くしたあと照れくさそうに笑う彼に、わたくしは目を奪われた。
ドキンドキンと、シモン様には感じたことのない胸の高なりがどんどんひどくなる。身体中が飛んでいるみたいにふわふわして、さっきよりも世界がなんだか煌めきだしたかのよう。
彼の髪も、瞳も、たくましい上半身も武骨かと思えば繊細な指先も何もかもが素敵に見えてしまう。
──ああ、これが恋なのね……
平民の母を恥じたことはないが、この人には不相応な身分が悲しい。しかも今は小さな人形だから彼だってこんなに優しいに決まっている。
チクリチクリと心が傷みを感じるけれど、優しく彼が見つめてわたくしを気遣ってくれるこの時が嬉しくて幸せだと感じる。
「よかったら、君にかけられたスキルを詳しく話してくれないか? 俺は騎士団といっても魔法の部門にいるし、ある程度資料室や研究室なども自由に使える。特殊なスキルに詳しい他の優秀な魔法使いもいるから、ひょっとしたらなんとか出来るかもしれない。勿論、君の事はあいつらには言わないから安心してくれ」
──一生このままかと諦めていたのに、今でも甘えているのに。彼にこれ以上すがって頼っていいのかな? でも、ほんの少しの可能性があるのなら、せめて彼の隣に立てる大きさに戻りたい。
「お願いいたします……。何から何までご迷惑おかけしてすみません」
「迷惑などではない。俺がそうしたいんだ」
「ザムエル様……優しすぎます……素敵でかっこいいし……。その、貴方には彼女さんがいらっしゃいますよね? 誤解のないよう、わたくしからきちんと説明いたします……」
見た事もない綺麗な大人の女性が彼と微笑み合う姿を思い描くとズキンと胸がナイフで刺されたみたい。一方的に彼に恋し始めただけだというのに、こんな風に傷つくなんてと涙があふれそう。
「彼女さん? 俺には彼女などいないから。ずっとここにていいって言っただろう?」
ニッコリ照れながら笑ってくれる彼がいて。彼女の存在は今はいないようでとっても嬉しくなった。わたくしは胸が熱くなり感情が抑える事ができずに、先ほどまでの悲しみに満ちた物ではない、温かな涙が溢れてきた。
突然泣き始めたわたくしを見て慌てて立ち上がり、おろおろとそっと手の中に包み優しく撫でてくれる。まるで全てを守られて過ごしている愛らしいハムスターになった気分。
泣き出したわたくしは、彼の温度の高い手のひらと指で、そうっとそうっと慰めるようにさすられていくうちに、目がとろんと閉じていった。
──こんなわたくしでは彼の恋人になるなんて身の程知らずもいいところだ。無理なのは分かっている。でも、ずっとでなくていい。ほんの少しでいいから、この人と一緒にいたい……
「では、黒猫がシルヴィア嬢をあそこに?」
「はい。初めは食べられるかと恐れていたのですが、体を傷つけないように優しく咥えてくれて……。あの女性のカバンに放り込まれたあと黒猫は去って行ったのです。そのまま暫くすると床にカバンが床に降ろされたのでそこからやっと出たところ、ザムエル様が助けてくださったのですわ」
そう言って、小さくされたクッキーをいただく。優しい味はまるで彼自身みたい。
「その、味はどうだ?」
「甘すぎず、口の中でほろっと崩れてとっても美味しいです」
「そ、そうか。もう少し甘く作れば良かったかと心配していた」
「え? まさか手作りですか?」
「う……。男なのにおかしいだろう?」
思わず手作りだと言ってしまったのだろう。ばつが悪そうにしていているけれど、彼の気持ちがこもっているクッキーはとても嬉しい。
「いえ、料理のできる男性って魅力的です。優しい気持がたくさん詰まっていて嬉しいです」
本心からそう言うと、目を丸くしたあと照れくさそうに笑う彼に、わたくしは目を奪われた。
ドキンドキンと、シモン様には感じたことのない胸の高なりがどんどんひどくなる。身体中が飛んでいるみたいにふわふわして、さっきよりも世界がなんだか煌めきだしたかのよう。
彼の髪も、瞳も、たくましい上半身も武骨かと思えば繊細な指先も何もかもが素敵に見えてしまう。
──ああ、これが恋なのね……
平民の母を恥じたことはないが、この人には不相応な身分が悲しい。しかも今は小さな人形だから彼だってこんなに優しいに決まっている。
チクリチクリと心が傷みを感じるけれど、優しく彼が見つめてわたくしを気遣ってくれるこの時が嬉しくて幸せだと感じる。
「よかったら、君にかけられたスキルを詳しく話してくれないか? 俺は騎士団といっても魔法の部門にいるし、ある程度資料室や研究室なども自由に使える。特殊なスキルに詳しい他の優秀な魔法使いもいるから、ひょっとしたらなんとか出来るかもしれない。勿論、君の事はあいつらには言わないから安心してくれ」
──一生このままかと諦めていたのに、今でも甘えているのに。彼にこれ以上すがって頼っていいのかな? でも、ほんの少しの可能性があるのなら、せめて彼の隣に立てる大きさに戻りたい。
「お願いいたします……。何から何までご迷惑おかけしてすみません」
「迷惑などではない。俺がそうしたいんだ」
「ザムエル様……優しすぎます……素敵でかっこいいし……。その、貴方には彼女さんがいらっしゃいますよね? 誤解のないよう、わたくしからきちんと説明いたします……」
見た事もない綺麗な大人の女性が彼と微笑み合う姿を思い描くとズキンと胸がナイフで刺されたみたい。一方的に彼に恋し始めただけだというのに、こんな風に傷つくなんてと涙があふれそう。
「彼女さん? 俺には彼女などいないから。ずっとここにていいって言っただろう?」
ニッコリ照れながら笑ってくれる彼がいて。彼女の存在は今はいないようでとっても嬉しくなった。わたくしは胸が熱くなり感情が抑える事ができずに、先ほどまでの悲しみに満ちた物ではない、温かな涙が溢れてきた。
突然泣き始めたわたくしを見て慌てて立ち上がり、おろおろとそっと手の中に包み優しく撫でてくれる。まるで全てを守られて過ごしている愛らしいハムスターになった気分。
泣き出したわたくしは、彼の温度の高い手のひらと指で、そうっとそうっと慰めるようにさすられていくうちに、目がとろんと閉じていった。
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