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71 俺だけの雇い主 ※R要素あり

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 思った通り、問題のある人物でなければ、フェルミの相手は彼女が選んだ男性で良いと言っておきながら、それは建前でしかなかったようだ。

「お義父様、私、カインと結婚……」
「折角、こうしてグリーン国の家に帰ってきたんだ。出発までは、ゆっくりするといい」

 フェルミがカインを紹介しようとすると、あからさまに言葉を遮り、別の話に持っていこうとする。

(俺はたしかに身分は低いが、身元は確かなのに、どうして公爵は話を嫌がるんだ。フェルミが産んだ子にも、彼女と同じようなスキルを期待されているから、結婚したくないと言っていたことを考えると賛成すると思ったんだが。もしや、騎士では不足なのか? 俺がフレイム国出身だからか? さっきの男のように、公爵が監視できる男と結婚させるつもりなのか?)

 カインは、公爵の胸の内を読もうとした。だが、次のやり取りで肩をがっくり落とす。

「あの、お義父様? 喜んではくださらないのでしょうか?」
「生涯を過ごしたいと思える相手と巡り合ったことは、喜んであげたい。だが、聞きたくもない。……孫娘に続いて、義娘まで、だと? フェルミを義娘として迎え入れるから、どれほど首を長くして今日という日を待っていたと思っている。やっと一緒に暮らせるようになったというのに、この国のためとはいえ、すぐに国内を巡回しなければならん。そのうえ、よその男になど……。絶対に許さんからな!」

 どうやら、公爵はただ単に、フェルミと親子水入らずで暮らしたかったようだ。次から次へと、フェルミと家族としてしたかったことをつらつら話し始める。

(なんともまあ、鉄壁の公爵と言われた男も、こうなるとただの父親ということか。一線を退いた、時間を持て余した寂しい年寄りの話しは長いな……。フェルも、よくまあ優しく付き合ってるな。ま、俺の妻なら当然か)

「では、出発までの間、お義父様のしたいことをいっぱいしませんか? 私も、お義父様と時間を過ごすことに憧れていたんです」

 小二時間ほど続いた年寄りの嘆きは、フェルミの言葉でようやく止まった。

 公爵邸にいる間、フェルミはゲブリオ公爵が満足するまでつきあった。だが、無理はしてなさそうだ。それどころか心から楽しんでいるようだった。

「フェル、同じ話を何度も何度も聞かされて、疲れてないのか?」
「ふふふ、私ね、家族といえばファーリだけだったから。ロキソ伯爵だったお父様は、小さな頃の記憶だけで、しかもおぼろげで、逆らってはいけない絶対権力者のような存在だったの。でも、シングリクスお義父様は、私を尊重してくださる。正直、父親というよりもおじさまという感覚なのかもしれないけれど、とても嬉しいわ。あ、これからは、カインが一番の家族になってくれるけど」
「フェル……!」

(なんて可愛いんだ。フェルは、俺を喜ばせる天才か? もうがまんできない!)

 カインは、フェルミを思いっきり抱きしめた。最高級の薄いシルクの寝衣は、彼女の曲線を隠していない。

 部屋は別々に用意されたが、そんなものは関係ない。毎晩、カインはフェルミの部屋に入り浸っていた。睡眠時間まで公爵が邪魔できるはずはない。

 激しい睦み合いは遠慮していたが、カインが彼女と何をしていたのか使用人たちから筒抜けだっただろうが、カインもフェルミと結ばれて間もないのだ。当然のように一緒のベッドで同じ夢を見ていた。

「カイン? ちょっと待って」
「もう待たない。巡回には、俺も行くが、今よりも邪魔が多いだろ? 静かにするから」
「ちょ、カイン、あんっ!」
「フェル、声を抑えて」

 カインの唇と手が、正確にフェルミの快楽の芽を引き当てる。そっと触れるだけで、ぴくんと震える彼女の反応に、瞬時に自身の熱が天を向いた。

「は、はぁ……ああ、あっ!」
「こんなに濡れて。フェルも期待してた?」
「もう、知らないっ……あんっ!」

 周囲に気取られないようにする秘密の時間の共有がそうさせるのか。あるいは、着衣のままだからなのか、胸元をはだけた彼女がやけに艶めかしい。
 くちゅ、くちゅりと、足の付根にある花びらは、甘い蜜を出している。

 胸元と膝をシーツにつかせると、眼の前には丸いおしりと、カインしかしらない場所が露わになっている。おしりにそっとキスをして、思わせぶりにそこの周囲を指でなぞる。すると、早く触れて欲しいと、彼女の腰が揺れた。

「フェル、かわいい」
「あまり見ないでぇ」

 くいっとおしりを左右に広げると、淫らな液がシーツに落ちそうなほど溢れていた。それを、自身の高ぶりにまとわせるように、上下に腰を動かした。切っ先が、彼女のひくつきの中に少し差し入れては出し、赤い粒までの短い距離を移動させる。

「は、はっ、ああ、カイン、もう……」

 焦らされた彼女が、真っ赤な顔でカインを振り向いている。目が涙で潤み、濡れて軽く開いた唇がカインを強請っていた。

 たまらず、一気に熱壁の中の奥まで腰を差し出す。彼女が嬌声をあげるとひときわ力が入り、杭を締め付けてきた。
 反り返った肉の薄い背にキスを落とすと、ぶるりと彼女がが震える。

 声を抑えてようとしても、どうしても漏れる彼女の淫らな声に誘われるがまま腰を打ち付けた。ぱんぱんと互いの肌を打つ音が響く。

「か、カイン、わた、し……もう……」

 中が、きゅんきゅん締め付けてきた。一滴残らずしぼりとられるように、奥に誘われる。

「ああ、あっ、ああああっ!」
「フェル、フェルッ!」

 息がつまり、彼女が果てたと同時に腰を押し付けて最奥で出したいのをこらえて欲望を出す。白く清らかな曲線が、ひどく邪なモノで穢された。

「は、はぁっ……」

 数回に分けて全てだしきっても、まだ足らないと彼女を欲してやまない。汚れを拭き取りながら、続きをしようかどうしようか考えた。

「カイン……」

 脱力し、夢の続きを見ているような彼女の髪を撫でる。すると、彼女が起き上がった。

 ねっとりとした液にまみれたそれが、白く細い指で包まれる。
 いとも簡単に、か弱い彼女の力だけで仰向けになり、期待を込めて彼女を見つめる。彼女もまた、うっとりとした表情で、その小さな唇に、先端を隠していった。

「うぅ、フェル……」

 道の中に残っている白濁を、全部吸い出そうと吸い付かれてた。果てたばかりのそこは、強すぎる刺激に大きく膨らむ。
 とても、このような淫らな行為をしなさそうな彼女が、汚れきったそこを咥えて美味しそうにしゃぶる姿に腰が震えた。根本まで差し込みたいが、ぎりぎりのところで止めた。
 一番吐き出したい場所とは別の、彼女の中に、再びせり上がってきた欲望を放つ。

「んんっ!」

 勢いよく放たれたそれらが、彼女の喉を通り抜けた。半分力をなくしたそこから、彼女が唇を離して手でそこを隠す。

「フェル、無理しなくていいから……」
「無理なんかじゃないわ。あのね、カインにも気持ちよくなって欲しいから……」

 散々してもらってから、こんなことを言うのは卑怯だろう。だが、彼女は微笑んで、必ず望む答えをくれる。

 カインが、彼女を抱き寄せると甘えてくる。だが、本当に甘えているのは自分のほうだろう。

「フェル、愛してる。絶対に公爵に認めさせるから。ああ、早く妻にしたい」
「ええ、頼りにしてます。私の騎士様」

 互いに、こつんと額を合わせて笑う。世界中を探しても、彼女ほどの女性はいるまい。これほどの幸せは、どこにもないと確信するのであった。
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