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貴族ばかりが通う学園で
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わたくしは、いつものように、彼からのえっちしようという爽やかなお誘いをお断りする。左手でちょんっと服の裾を持って、わたくしよりも高くなった胸板に右の人差し指で恥ずかしそうに、のの字を書いた。
頬を赤らめて、期待に満ちた瞳で、わたくしを見下ろす婚約者には申し訳ないとは思う。
本当なら彼ととっくに初体験して当たり前のところを、お預け状態のまま待ってもらっているから。彼の言い分がごもっともなんだと思う。
でも。やっぱ無理。
「 わたくしのフィーノなら、もっと強くなれると信じてますの。あのね……わたくし、初めての夜は、もっと強くて逞しくなったフィーノと過ごしたい……だから、ね……? ダメぇ?」
インストラクター時代に、やんちゃで言う事を聞かないクソガ……愛らしいおぼっちゃま、おじょうちゃまたちにも叱ったり拒絶したり、命令するよりも、天高く誉めて誉めて誉めて誉めて誉めて誉めておねだりするほうが効果的だったのは実証済みだ。
「か……、かわいいっ! ダメじゃない。ダメじゃないけど~……! うう、その顔は反則。余計ディリィちゃんといちゃいちゃしたくなるじゃないかー。うー……。僕はもっと強くてカッコいい男になれる? そうしたら、ディリィちゃんは、絶対に一緒に一晩中過ごしてくれる? 朝になっても? お昼を過ぎても? ううん、一週間くらいずっと離さないから楽しみにしていてね」
わたくしに甘えながら煽てられて、嬉しそうに、デレっと鼻の下を伸ばしたフィーノ。とりあえずの危機は去ったと安堵する。
内容は、ぞぞっとするけど、こうして素直にわたくしの意思を尊重してくれる。はじめてでそんな長時間とか死んじゃうから、ちょっと手加減してもらいたい。
できれば、天使のようだった幼児期に戻れるものなら戻りたい。彼がこんな事を会うたびに言ってくる日が来るなんて思ってもみなかった。わたくしが彼に抗えないほど弱くて、断らなければさっさとベッドに連れ込まれるだろう。
フィーノはわたくしにベタボレだし、優しい性格だから無理やり強引にはしないだろうけど。フィーノじゃなかったらとっくに無理やりヤられているかもしれない。そう考えると、彼はとても理想的な婚約者なのだ。
「うん……素敵な婚約者を持って、わたくしは幸せだわ。フィーノだから、世界一のお嫁さんになれるのね。嬉しい」
「うん。僕、一日も早くディリィとベッドで愛し合えるように頑張るね!」
若干、頑張る理由にモヤる。名残惜しそうに、何度もわたくしが帰ろうとするのを引き留めようとしてくるフィーノの頬にキスをして、家に帰ったのだった。
※※※※
「ごきげんよう、ディリィさん。少々よろしいかしら?」
「ごきげんよう、皆様……」
夏休みが明け、わたくしは学園の廊下を歩いていると、4人の女の子たちに囲まれた。この学園は、貴族籍を持つ者しか入れない。一応学生のうちは多少の無礼講が許される。だが、王家に嫁ぐ事も可能な伯爵家とはいえ、目の前にずらりと並んだ、公爵、侯爵、隣国からの留学生であるお姫様には到底敵わない。
あれよあれよという間に、人気のない裏庭に連れていかれた。
大好きな海の波音がするが、わたくしの心は穏やかになることはない。
こういう事は初めてではない。不快だが、前世のいじめのほうがよっぽど凶悪だった。この世界の小中学生の集団いじめなんてかわいいものだ。
魔法の実力も、わたくしのほうが上だ。恐れる事はない。彼女たちが何を言いたいのか聞かなくてもわかる。ここで俯いたり口撃に負けるわけにはいかない。
囲まれながらも、胸を張り、堂々と対峙するのであった。
頬を赤らめて、期待に満ちた瞳で、わたくしを見下ろす婚約者には申し訳ないとは思う。
本当なら彼ととっくに初体験して当たり前のところを、お預け状態のまま待ってもらっているから。彼の言い分がごもっともなんだと思う。
でも。やっぱ無理。
「 わたくしのフィーノなら、もっと強くなれると信じてますの。あのね……わたくし、初めての夜は、もっと強くて逞しくなったフィーノと過ごしたい……だから、ね……? ダメぇ?」
インストラクター時代に、やんちゃで言う事を聞かないクソガ……愛らしいおぼっちゃま、おじょうちゃまたちにも叱ったり拒絶したり、命令するよりも、天高く誉めて誉めて誉めて誉めて誉めて誉めておねだりするほうが効果的だったのは実証済みだ。
「か……、かわいいっ! ダメじゃない。ダメじゃないけど~……! うう、その顔は反則。余計ディリィちゃんといちゃいちゃしたくなるじゃないかー。うー……。僕はもっと強くてカッコいい男になれる? そうしたら、ディリィちゃんは、絶対に一緒に一晩中過ごしてくれる? 朝になっても? お昼を過ぎても? ううん、一週間くらいずっと離さないから楽しみにしていてね」
わたくしに甘えながら煽てられて、嬉しそうに、デレっと鼻の下を伸ばしたフィーノ。とりあえずの危機は去ったと安堵する。
内容は、ぞぞっとするけど、こうして素直にわたくしの意思を尊重してくれる。はじめてでそんな長時間とか死んじゃうから、ちょっと手加減してもらいたい。
できれば、天使のようだった幼児期に戻れるものなら戻りたい。彼がこんな事を会うたびに言ってくる日が来るなんて思ってもみなかった。わたくしが彼に抗えないほど弱くて、断らなければさっさとベッドに連れ込まれるだろう。
フィーノはわたくしにベタボレだし、優しい性格だから無理やり強引にはしないだろうけど。フィーノじゃなかったらとっくに無理やりヤられているかもしれない。そう考えると、彼はとても理想的な婚約者なのだ。
「うん……素敵な婚約者を持って、わたくしは幸せだわ。フィーノだから、世界一のお嫁さんになれるのね。嬉しい」
「うん。僕、一日も早くディリィとベッドで愛し合えるように頑張るね!」
若干、頑張る理由にモヤる。名残惜しそうに、何度もわたくしが帰ろうとするのを引き留めようとしてくるフィーノの頬にキスをして、家に帰ったのだった。
※※※※
「ごきげんよう、ディリィさん。少々よろしいかしら?」
「ごきげんよう、皆様……」
夏休みが明け、わたくしは学園の廊下を歩いていると、4人の女の子たちに囲まれた。この学園は、貴族籍を持つ者しか入れない。一応学生のうちは多少の無礼講が許される。だが、王家に嫁ぐ事も可能な伯爵家とはいえ、目の前にずらりと並んだ、公爵、侯爵、隣国からの留学生であるお姫様には到底敵わない。
あれよあれよという間に、人気のない裏庭に連れていかれた。
大好きな海の波音がするが、わたくしの心は穏やかになることはない。
こういう事は初めてではない。不快だが、前世のいじめのほうがよっぽど凶悪だった。この世界の小中学生の集団いじめなんてかわいいものだ。
魔法の実力も、わたくしのほうが上だ。恐れる事はない。彼女たちが何を言いたいのか聞かなくてもわかる。ここで俯いたり口撃に負けるわけにはいかない。
囲まれながらも、胸を張り、堂々と対峙するのであった。
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