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 二人の挙式は、辺境と王都、そして最後に公爵領で行われた。各地で行われたそれは盛大に祝われ、とくに両家の領地ではお祭り騒ぎになり領民にそれぞれの領主から祝いの酒や食料が届けられ、彼らの婚姻は歓迎される。
 辺境で行われた式には、隣国からも要人が招かれ、フレデリックとヴァレリーは新たな代表として彼らに笑顔で迎えられた。
 お互いに疲弊し貧困を招く戦を忌避する人物が代表であり、この平和が悠久であるように固く手を握り合った。

 サヴァイヴは、複雑な顔で愛娘をかっさらったフレデリックの手を、ぎりぎりと握りしめる。フレデリックは笑顔でその手を握り返し、二人の手から嫌な音がするかと思えた。

「領主様、その辺でおやめください。大人げない」
「……ふん。ただの挨拶だ」

 彼を止められるイヴォンヌたちがそれぞれの招待客の接待をしたため、クロヴィスが苦笑しながらサヴァイヴを嗜める。すでに白髪の混じった彼にとって、いつまでたっても不肖の弟子である領主がやっとその手を離すと、数年前にやっとの思いで捕まえた10以上も年の離れた妻と微笑みあう。

 一か月以上もかかった式が全て終わりを見せると、公爵領に構えた彼らの屋敷では、愛らしく初々しい新妻のヴァレリーが初夜のための準備をしていた。フレデリックは、招待客から酒を浴びるように飲まされ、彼女が寝室で待っていると耳打ちされると、周囲に冷やかされつつ会場を去った。

 さっと体についた汚れや酒気を洗い流し、逸る心のままに彼女がいる部屋の扉を開けた。

「フレド……」

 薄暗い部屋の弱い灯りが、彼女の姿を浮かび上がらせている。すでに肌の隅々を知っているが、体の曲線を隠していないどころか強調して下半身を刺激する淫らな服に包まれていた。

 不安げに、だが、期待と喜びで瞳を潤ませる妻に近づいた。

「ヴァレリー。美しいよ」
「ん。フレドも、とても素敵……」

 きゅっと彼女をかき抱き、唇を合わせながら初夜のために花弁が散らされたシーツの海原に二人で静かに沈み込む。
 むせ返るような薔薇の芳香よりも香しく甘いヴァレリーの肌に顔を埋める。

「あ……、くすぐったい……」

 ペロリと、首筋をひと舐めして、彼女の弱い耳に吐息を吹きかける。足をすり合わせた彼女の中心から、小さな水の粘着した水音がして、立ちつつあった自身が一瞬でへそまで反りあがった。

「ヴァレリー、もう濡れているのかい?」
「や、言わないでぇ……」

 恥ずかしさのあまり手で顔を覆う彼女を見下ろすと、心がなぜか満たされる気がした。ぞくぞくと快感すら湧き起こりもっと意地悪を言いたくなる。

「嬉しいよ。かわいい……愛してる」
「あ、ん」

 そっと、胸元のリボンをしゅるりと取ると、下着をつけていない柔らかな双丘と赤い粒が現れた。指でそこをいじりながら片方を口に含んで舌で弄ぶと、ヴァレリーは快楽に瞬く間に溺れて行く。
 昼間は大人しく妻にしたい理想の女性として人気の淑女の彼女が、夜に自らの下ではこんな風に変化するなど誰も思わないだろう。自分だけのものだと支配欲も満たされ、もっと彼女を乱れさせていく。

 今日のためにすでに蜜の中は柔らかく広げられている。何度か彼女を達しさせると、足を大きく開いて切っ先をぱくぱくひくつくそこに当てる。すると、その口が切っ先にキスをして飲み込むかのように吸い付いて来た。

「いくよ、力を抜いて……」
「フレド……」

 夫の言うがまま、目を閉じて息を続けて力を抜く妻の額に軽くキスをすると、少しずつ入れては抜いてを繰り返した。入口のあまりの狭さに眉をしかめるが、熱く蕩けたそこが、別の生き物のように奥へと誘うその感触にすぐにも情けない事になりそうだと必死に堪える。汗が吹き出し、ゆっくりと、だが確実に奥に進んでいく。

ふにゅり

 切っ先が何かに当たった気がして、フレデリックはまだ根元まで入っていないが腰の動きを止めた。中がきつく締め付けられ、痛そうに眉をしかめて目をぎゅっと閉じている彼女を上から覆いかぶさるように抱きしめる。

「ヴァレリー、はいったよ」
「はい……、はい……」

 痛さもあるけれど、やっと愛しい憧れの人とひとつになれた悦びでヴァレリーの目尻から涙がこぼれる。フレデリックはその涙を唇で拭き取ると、彼女の心と気持ちが落ち着くのを待った。それは短かったのかもしれない、だが、このまますぐにでも腰を思い切り動かして最奥に子種を思い切りぶちまけたくなる欲情を抑えるには、あまりにも彼女の中は気持ち良すぎて長く感じた。

「フレド、思ったほど、痛くありません。どうか、このまま貴方のを私にください……」
「……ゆっくり、動くよ?」
「はい。その、気持ち良くなって……?」
「ヴァレリー……!」

 彼女にぴったり張り付いていた上半身を起こして、腕で体を起こす。少しでも彼女の痛みを逃すために、胸の尖りと、重なった上の豆を指先でいじる。

「あ、あ……!」

 痛みよりも、フレデリックが与える快楽が強くなってきたのか、艶めいた声がヴァレリーの唇から漏れ出た。ゆっくり動き出した腰は、やがて速くなる。そして、いつの間にか思い切り彼女の肌に、ぱちゅぱちゅと股間を当てて根元まで入れこんでいた。

「く……。ヴァレリー、ヴァレリー……!」
「あ、あ!」

 腰で打ち付ける度に、彼女の体が揺れて動く。その動きに合わせて彼女の可愛らしい声があがり、一際大きく中にある己の一部が膨らんだ。

「出すよ……!」

 言うや否や、フレデリックは彼女の奥に切っ先を思い切り打ち込むと腰をぶるりと震わせた。これまでで一番勢いよく出たのだろう。何度も何度も吐き出されたそれが落ち着くと、まだ少し硬度を保つそこを中からゆっくり引きだした。
 出口で少しひっかかったそれが、ぬぽっと音を立てて楽園から出た。そこには、ほとんど血が付いていないが、彼女の蜜と共にシーツに流れ出たものは淡い赤に染まっていた。

「はぁ……ヴァレリー痛かっただろう? ごめん、止まれなかった」
「大丈夫。それよりも、こうしてあなたが気持ち良くなってくれた事が嬉しいの」

 なんてかわいく健気な事をいうのかと、フレデリックは彼女をぎゅうぎゅう抱きしめた。

 無事に初夜を済ませた二人は、社交でも噂されるほどの仲が良く、二年後には可愛らしい女の子が誕生した。それは、ヴァレリーの母であるイヴォンヌにそっくりで、その子をみたフラットは涙を流して目尻の皺を深くした。カッサンドラは勿論喜んで、ヴァレリーの産んだ子を大切にした。
 辺境にその子を連れて行くと、家族も喜んで可愛がってくれる。

 隣の領地のロランの元に産まれた子も一緒に隣国の子たちとも仲良く遊ぶ日々。

 ヴァレリーは、自分に似て大人しい一番上の子が気がかりだった。けれど、その子は学園での自分のように意地悪などされていなさそうでほっとする。

「ヴァレリー、あの子は君と同じで愛されているようだよ」
「ええ。良かったわ……あら?」

 ふと見ると、母に似て美しい娘に、幼い紳士が花を差し出していた。彼は義母の国の少年で父に連れられてここに来ているらしい。

「まあ……ふふふ」

 真っ赤に頬を染めて、少年の花を受け取ると彼と仲良く手を繋いで何処かに遊びにいったようだ。

「……隣国には娘はやらん」
「あら、あなたったら……!」

 そんな二人の背を苦々しく睨みつける夫は、まるでかつての父のようで。なんだか、彼こそが娘の相手になるんじゃないかという淡い未来の事を思う。いかに隣国の少年と娘の邪魔をするか考えだしている夫を見て微笑んだ。

 まだ、これから彼らもたくさんの人々と会うだろう。その先が幸せであるようにと願いながら──。




【R18】さんざん意地悪をしてきた同い年の幼馴染みと、優しいお兄様みたいな年上の幼馴染みに求婚されています──完
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