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04 相変わらずのリリベル

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リリベルを迎えにいくと侍女がひとり付いている部屋で待っていた。一応お茶とお菓子がテーブルに乗っていて食べた形跡があり、リリベルはうたたねをしていた。

『まぁ無作法だけどなにかやらかしたよりマシだわね』アーデリアは半ばため息をつきながら、侯爵夫人がリリベルを起こすのを見ていた。

「お姉様、ありがとうございます。やはりレイモンを幸せに出来るのはわたしだから、これでいいんですよね。お姉様なんかほんとに駄目なんだから・・・」

「リリベルはアーデリアが駄目だとどうしてわかるのかい?」と侯爵がやさしい口調で聞いた。


「だって、いつもお母様が駄目と叱ってらっしゃいます。ぶたないとわからないんですよ」

「ぶたないとわからないのか」

さすがに侯爵夫人はまずいと思ったようで、

「リリベル、あまり言ってはアーデリアが可哀想よ」

「そうですね、愚図だから執務も時間ばかりかかって」

「そうか・・・・」と侯爵は短く答えた。


話はそこで切り上げて侯爵一家は侍従の案内で馬車乗り場に向かった。



「アーデリア」と呼び止められた。答えたのはリリベルだった。

「レイモン」と王子殿下の腕にしがみついた。

「レイモン、わたしたち婚約できますわ。うれしい。国王陛下も喜んでらして」

「すまなかった。わたしがリリベルを・・・・・」とレイモンドはアーデリアに話しかけたが、

「お気になさらないで下さい。わたくしには執務が重荷でしたので・・・・お二人が引き受けて下さってありがたいと思っております。それに侯爵も手伝って下さるそうですわ」と言ったアーデリアの態度が、明るいのがレイモンドの気に障った。



アーデリアは帰るとすぐに部屋を片付けた。持っていくのは、身の回りの品物のみ、ドレスも宝石もない。明日は今日と同じドレスで行けばいいかと思っていたら、ドレスが届いた。

ニック侯爵令息からだ。初めてドレスを贈られた。揃いの装身具も一緒だ。


おっと見とれている場合じゃないと、アーデリアは部屋にあるものをどんどんまとめた。後で捨てて貰う。



翌日の朝早く、身支度を手伝うと女性が二人、侯爵家にやって来た。

「なんとかなるでしょう」「なんとかしましょう、素材はいいですからね」「確かに素材は素晴らしいですね」

二人でなにやら言いながら、ドレスを着せつけると髪を結って化粧をしてくれた。

「荷物はお預かりします。残りは後で取りにこさせます」と言いかけるのを遮り

「これだけです」とアーデリアは言った。

「え?贈られたも・・・失礼しました」と壁際に下がって行った。


アーデリアが玄関に行くと既に一家三人が揃っていた。




「お姉様、そのドレス隠していたんですか?妹に黙ってるなんて・・・・そのネックレスも独り占めして。来週ナッツ子爵家でお茶会があるんですの。その時につけていきますわ」

アーデリアは黙って、両親の顔を交互に見た。

「お姉様、聞いてますの?ネックレスの話をしてますのよ」

「いままで王子殿下に貰ったものがあるでしょ」

侯爵がちょっと驚いた顔をした。

「あんなのより素敵ですもの」とリリベルが無邪気に言った。

「これは、わたくしの婚約者が婚約者であるわたくしに贈って下さった物です」とアーデリアがピシリを言うと

「だって・・・」とリリベルは侯爵夫人の方を見て言ったが

侯爵夫人は、アーデリアを一瞥しただけで、下を向いた。


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