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08 勇者同士でお祝い アーデリア目線

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結婚の手続きが無事終わり、アレクと一緒に帰るんだなと思っていたら、

「みんなも自分も結婚おめでとう。俺はあまり動けないから今日家に来てくれないか?俺たちだけでお祝いしよう」

と車椅子の青年が言い出した。

「勿論だ」と言いかけてすぐにそれぞれの相手に「いい?」と訪ねている。アレクもわたしに向かって「いい?平気?疲れているなら」と言いかけたので、「大丈夫。お話したかったの」と答えた。

四組ともお邪魔することになり、そのまま移動した。




「それが気がついたらまわりのやつが、手がないだの、足がないだの。目が見えないとか、顔が怖いとか・・・・手助けするしかないだろう。で落ち着いたら、俺って誰ってなったんだ」と言うのは記憶のないロバート様だ。

「驚いたよ、当たり前のように皆を助けてたやつが、いきなり俺って誰だって」

「だよね、俺たち普通に名前で呼びかけてたし、返事してたのに」

「なんだか、みんなと一緒にいるのになんの疑問も感じてなくてな。初対面なのに・・・・大丈夫か?みんなって」

「そうだね、俺なんか目が見えないって騒いじゃったし」

勇者の皆さんは、本当に思いやりのある方たちのようだ。手とか足とがなくなった時も、自分ではなく相手を心配したんだ。

「アレクにも驚いた。怖かった」と言った右手のないポール様は記憶のないサミエル様に頭を殴られていた。

「ロバートが婚約者に会ったとき、こいつ記憶が戻ってると思ったよな」とポール様が、意味ありげに言うと

「確かに、そうだった。いきなり両手をとってなぁ」とアレクが言うと

「あぁ、一目惚れしたんだ」とロバート様が答えた。

つまり、婚約者に再会してすぐにまた恋に落ちたって事なのかしら・・・・

「ロバート達は幼馴染なんだ。婚約したのはいくつだった?五歳か?」とアレクがわたしに教えてくれた。

つまり、幼馴染が婚約して、恋をして、記憶をなくしてから再会してまた恋に落ちたってことか。なんか感動。

わたし一人がこの中で初対面だったけど、みなさん仲良くしてくれた。学院に行ってないし、子供同士のお茶会にも出たことのないわたしはこんなにたくさんの人と話すのは初めてだった。

そしてとても楽しかった。


「そろそろお休みの時間です。寝室の用意もありますが・・・・」と侍従が静かに言うと

「わたしたちは帰ります」とアレクはわたしの手を取って立ち上がった。




馬車に乗り込むと

「長居をさせてしまってすまない」とアレクが謝ってきた。

「いいえ」と首を振ったまでは覚えていた。




あっと思ったらベッドの中だった。見覚えのない部屋に戸惑ったが・・・・・『しまった』と思いあわてて体を起こした。


そこに控えめなノックの音がしてそっとドアが開いた。

「おはようございます」と水のはいったコップを渡された。

「おはようございます」と水を飲んだ。おいしかった。

「奥様、昨日はたいへんでございましたね。今日はゆっくりしてくれとだんなさまより言いつかっております」

回らぬ頭ではなにも考えられずにわたしは「うん」とうなづいた。



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