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12 レイモンド目線

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リリベルと婚約して、義父から執務を習い始めた。やってみると思ったよりむずかしく、また収入に対して支出が多い。かなりまずいのでは?そして足りない分は義父が補填していた。

不在が多いなとは思っていたが、本当に忙しいようで、あちらこちら飛び回って仕事をしていた。


また、侯爵の位を夫人が持っていた事にも驚いた。当然、義父が爵位を継いだと思っていたから・・・・

世間的には義父が侯爵で通っているようだが・・・

義父は、いろいろ要求されて大変だったが、惚れた弱みだから、乗り越えられたと俺に言った。

そして苦労がわかるからと、俺が爵位を継げるように取り計らってくれた。

夫人はリリベルに継がせたいと、言っていたが、肝心のリリベルが、

「そんな、面倒なものいらない」と言って、それが決定打になった。

「別に面倒なんてないのよ」と義母がリリベルに言い聞かせていたが、それは、義父が、全部引きうけたからだ。

義父は、俺に向かって肩をすくめた。そして婚約と同時に、俺がデステ侯爵になった。


結婚式をやるに当たって、小さな諍いが起こった。でもそれは仕方ない、王族の結婚と二人が何度も言うが、違う。

俺は侯爵だ。それも貧乏な侯爵だ。


やがて、義父は娘二人が嫁いで、役目も終わったからと故郷である隣国へ、戻って行った。



今季は勇者のお披露目もあって、王家主催の会が多い。母娘は欠かさず出席したがる。それはいいのだが、毎回ドレスを新調したがる。

たまったものではない。

勇者の奥方でも、同じドレスを着ているというのに・・・・


金策に、悩んでいる時に、ある男が投資の話を教えてくれた。なんでも、ある子爵の領地に鉱山が、見つかったが、資金が足らずに掘ることができない、それで出資者を探している。出資額によって利益を分ける。

公になれば出資者が、増えるだろうから、最初に俺に、教えたと言うのだ。

俺は、義父から厳しく言われた事がある。それは

『儲け話と言う物は、持ちかけるものだ。持ちかけられた話の大半は詐欺だ。気をつけろ』

それを思い出して、

「なかなか魅力的な話だな。だが、わたしには、縁のない話だ」と断った。

「わかりました。残念です。正直に申しますと、王子殿下との縁が欲しかったのですが・・・」と頭を下げて去って行った。

少し残念に思うも、今年は小麦の出来がいいと聞いたので、それを楽しみに、面白くない執務をやっていた。

こうして、変わり映えのしない、毎日を過ごした。似たもの母娘と交わす会話も、代わり映えしない。




すると、ある夜会で、アーデリアが、領地で事業を始めたと聞いた。

平民相手らしいのだが、乗る馬車も予約をすれば、ちょっといい馬車だそうで、なんでも貴族の気分が味わえるらしい。高目だけど質の良い品物を売っているとか・・・・

そして、南の国の明るい派手な布で作った???意味がよくわからん??とにかく、人気の場所らしい。

その上、評判を聞いた貴族がこっそり遊びに行っているらしい・・・・


後、これも意味がわからぬ言葉・・・・鏡の部屋。鏡を売ってる部屋なのか?



だが、あのアーデリアが事業とは、確かにこの執務の手伝いをやっていたのは確かだが、事業などできるのだろうか?



さて、明日は小麦の様子を自分で確認しに領地に行こう。リリベルと二人で行くのも楽しいだろう。

最近は二人で話す機会がないのだ。いつも、あの母親が話に入って来る。すると、あれを買おう。これが欲しいの話になってしまう。うんざりだ。


リリベルは領地に行きたがらなかった。なんでも、友達が開くお茶会に行きたいそうだ。

「勇者の、ロバート様の奥様が来るかもしれないの。それにみんな、お姉様の事を聞きたがるの。だ・か・ら、私が行ってあげないと」だそうだ。


アーデリアと、あのまま結婚していれば、二人で協力して領地経営していたのだろうか?

慰めは、俺に意外と領地経営の才能があった事だ・・・・




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