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3 福々しくて可愛いけどね
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「クリスティン……私だよ、フレデリックだ」
「お、叔父上……うう……」
急いで領地から王都の小さなタウンハウスへ向かう。案内されフレデリックの部屋に行くと泣いているのはクリスティンだけではなかった。
「カイラス……大きくなったな」
「フレデリック叔父上!?目覚められたのですか!」
カイラスは兄上の血のつながった息子ではないが、養子にした子供だった。クリスティンの弟となるが確か年は二人とも18だったはず。
「今日からクリティンがジェス子爵家の当主だ。いいかな?カイラス」
「勿論です」
「私も精いっぱい手伝うよ。皆で立派だった兄上と義姉上に笑われないよう、ジェス家を守って行こう」
「はい……叔父上」
また私は大切な人を失ったが、もう二度とそんな思いはしたくない。クリスティンとカイラスの為に、ジェス子爵家の為に何が出来るか考え立ち上がるのだった。
「……だが、忙しすぎないか!?10年のニートだった私に何をさせるんだ?」
「すみません、叔父上……私、実は王宮出仕が決まっておりまして……」
「わ、私の甥そんなに優秀だったの!?」
「叔父上に褒めて貰えて嬉しいです!頑張りますね、王宮書記官見習いですが、お給料も良いんですよ」
「エリート!」
兄上と義姉上の葬儀が終わると、ジェス家はあわただしく動き出した。手続きやらなんやらみんなで手分けして行い、兄上がやっていた事業の確認、その他諸々……クリスティンは行っちゃうしでカイラスと執事のアーヴァインと一緒に進めていく。
「兄上は堅実だけど……あーあ、騙されてる」
「ハルトス様はそう言うところがおありでしたね」
「優しすぎるんだよ、兄上は……そう言うところが好かれてたんだろうけど」
兄達の葬儀には本当にたくさんの弔問客がやってきた。全員にお礼の手紙を書くのは骨が折れたが頑張ったぞ……。
「騙されると分かっていながら出資したり、返してもらえないと分かっていながら金を貸したり……義父上らしいですね」
「そうだな……私もそんな兄上の脛をかじりながら10年も生かしてもらった。しっかりしろと皆から言われた気がするよ」
優しくてちょっとぷっくりした兄上の顔を思い出す。本当に人が良くて気がいい人だった。兄上、俺はクリスティンとカイラスが素敵な婚約者と結婚してこの家を守って行けるよう全力でサポートしますね。
「アーヴァイン。そういえばクリスティンの婚約者って誰なんだい?」
「リリエン・ファール伯爵令嬢ですよ、お優しい方でお菓子が大好きな女性です」
ファール伯爵家か……子爵のクリスティンがよくそんな優良物件を捕まえて来たなあ、もはや素晴らしい。まあクリスティンは昔も可愛かったが、今はかなりの美青年になっている。金茶の髪に水色の瞳が綺麗な青年で、街を歩けば大体が振り返るくらいな美形だ。ははーん?顔で釣ったか!?
何せ兄上は中々美形だった。学生時代は痩せていてよくモテて、その時に義姉上を捕まえたのだが……そこから油断してぷくぷくになってきた……つられて姉上もぷくぷくに……。でも二人ともとても福々しくて可愛かった。
「クリスは……ぷくぷくにならないで欲しいかな……」
我が家を良く知るアーヴァインとカイラスはブッと吹き出す。まあ、吹くよなあ。
「フレデリック様はもう少しお太りになられた方が良いですよ」
カイラスににこっと微笑まれてしまう。確かに俺は食わないタイプのニートだったからかなりガリガリだ。
「いや、ウチの料理は美味いからきっとすぐぷくぷくになるよ、気を付けないとな」
あの兄上と義姉上を育てた料理長だぞ?危ない危ない、釘をさしとこ。
「お、叔父上……うう……」
急いで領地から王都の小さなタウンハウスへ向かう。案内されフレデリックの部屋に行くと泣いているのはクリスティンだけではなかった。
「カイラス……大きくなったな」
「フレデリック叔父上!?目覚められたのですか!」
カイラスは兄上の血のつながった息子ではないが、養子にした子供だった。クリスティンの弟となるが確か年は二人とも18だったはず。
「今日からクリティンがジェス子爵家の当主だ。いいかな?カイラス」
「勿論です」
「私も精いっぱい手伝うよ。皆で立派だった兄上と義姉上に笑われないよう、ジェス家を守って行こう」
「はい……叔父上」
また私は大切な人を失ったが、もう二度とそんな思いはしたくない。クリスティンとカイラスの為に、ジェス子爵家の為に何が出来るか考え立ち上がるのだった。
「……だが、忙しすぎないか!?10年のニートだった私に何をさせるんだ?」
「すみません、叔父上……私、実は王宮出仕が決まっておりまして……」
「わ、私の甥そんなに優秀だったの!?」
「叔父上に褒めて貰えて嬉しいです!頑張りますね、王宮書記官見習いですが、お給料も良いんですよ」
「エリート!」
兄上と義姉上の葬儀が終わると、ジェス家はあわただしく動き出した。手続きやらなんやらみんなで手分けして行い、兄上がやっていた事業の確認、その他諸々……クリスティンは行っちゃうしでカイラスと執事のアーヴァインと一緒に進めていく。
「兄上は堅実だけど……あーあ、騙されてる」
「ハルトス様はそう言うところがおありでしたね」
「優しすぎるんだよ、兄上は……そう言うところが好かれてたんだろうけど」
兄達の葬儀には本当にたくさんの弔問客がやってきた。全員にお礼の手紙を書くのは骨が折れたが頑張ったぞ……。
「騙されると分かっていながら出資したり、返してもらえないと分かっていながら金を貸したり……義父上らしいですね」
「そうだな……私もそんな兄上の脛をかじりながら10年も生かしてもらった。しっかりしろと皆から言われた気がするよ」
優しくてちょっとぷっくりした兄上の顔を思い出す。本当に人が良くて気がいい人だった。兄上、俺はクリスティンとカイラスが素敵な婚約者と結婚してこの家を守って行けるよう全力でサポートしますね。
「アーヴァイン。そういえばクリスティンの婚約者って誰なんだい?」
「リリエン・ファール伯爵令嬢ですよ、お優しい方でお菓子が大好きな女性です」
ファール伯爵家か……子爵のクリスティンがよくそんな優良物件を捕まえて来たなあ、もはや素晴らしい。まあクリスティンは昔も可愛かったが、今はかなりの美青年になっている。金茶の髪に水色の瞳が綺麗な青年で、街を歩けば大体が振り返るくらいな美形だ。ははーん?顔で釣ったか!?
何せ兄上は中々美形だった。学生時代は痩せていてよくモテて、その時に義姉上を捕まえたのだが……そこから油断してぷくぷくになってきた……つられて姉上もぷくぷくに……。でも二人ともとても福々しくて可愛かった。
「クリスは……ぷくぷくにならないで欲しいかな……」
我が家を良く知るアーヴァインとカイラスはブッと吹き出す。まあ、吹くよなあ。
「フレデリック様はもう少しお太りになられた方が良いですよ」
カイラスににこっと微笑まれてしまう。確かに俺は食わないタイプのニートだったからかなりガリガリだ。
「いや、ウチの料理は美味いからきっとすぐぷくぷくになるよ、気を付けないとな」
あの兄上と義姉上を育てた料理長だぞ?危ない危ない、釘をさしとこ。
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