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26 今の私を見て*

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「あ・あーーーっ」

「くっ……」

 痛い、きつい、苦しい……。何せ初めての時は体の感覚がほぼなかった。何をされているかは頭と視覚がはっきりしていたから分かったが、体は鈍く動かなかったから痛みとか圧迫感が少なくて現実とは思えなかった。その後、まざまざと思い知らされたのだが、最初に体を拓かれる時の痛みとか苦しみは感じずに済んだ。

「ひ……」

 カイラスは微妙になれた手つきで私の穴を解していった。何度も何度もやめようと言いかけて、強い視線にやめさせられを繰り返しながら辛抱強く柔らかくしていった。途中で諦めて欲しいと何度も願ったがそれも叶わず、顔に似合わぬド太い筋張ったモノを咥え込まされて始めていた。

 ゆっくりとだが着実にナカヘナカへと侵入してくる質量に恐怖と後悔がこみ上げる。もうここまで来たら誰も止められない。私は可愛い甥に抱かれようとしてる。引き伸ばされ、押され生理的な涙が溢れる。持ち上げられた両足の間から苦し気に呻くカイラスに「もうやめよう」と声をかけたくてならない。

「あ、ああ……あ……」

 ずぶずぶと引き返せない沼に未来ある若者を引き込んでいる罪悪感が苦しい。止められたはずなのに、止めるべきなのに。さわり、と下生え同士が触れあい最後まで咥えてしまった事を知る。

「は、入りました……あ、ああ!素晴らしいですフレデリック様……あなたの中がこんなに気持ちいいなんて」

「カイラス……」

 もうやめよう、もう抜いてくれ。そう言いたいのにうっとりと恍惚の表情を浮かべるカイラスにその言葉をかける事が出来ない。

「堪らない、ナカに一度出させてください……ああっ」

「カ、カイっ……あうっ!」

 少し強めに何度か動いたかと思うと中に吐精される。ドクン、と大きく跳ねてからたっぷり吐きだされたであろう精液。もしかして何かの間違いでは、甥と同性同士でセックスをするなどというバカげたことはただの夢だったのでは?という思いをぶち壊し、性欲の対象として扱われることを完全に知らされる。

「カイ……ラス……」

 私の中のカイラスは子供の姿だ。私が20歳の時のジェスの家に保護されてやってきて、一年後に母親が死んで……。私が23歳の頃に壊れるまでのたった3年間の思い出しかないのだが、全てが濃いものだ。その懐かしくて美しい思い出が次々と壊れていく。

「フレデリック様……私を、見て。今の、私を。あなたを愛し、あなたを犯す私を見てください……」

 小さくて子犬のように私を慕ってくれたカイラスはもういなかった。アージェ、私はどこで間違ったんだ……。

「カイラス……っひんっ!」

 ぐちゅりと卑猥な水音を立てて、大きく腰を動かすカイラスの前にもう意味のある言葉を紡ぐ事は出来なかった。


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