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2 私の封印

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「教皇をこれへ!」

「お呼びですかな?王太子殿下」

 でっぷりと太った教皇が歩み出る。こいつも私の事をゴミとか出来損ないとか言って来たっけ?
 そして鈴木さんがお気に入り。聖女だからと良く神殿に出かける鈴木さん。そこで浄化してくれれば良いのに、封印した魔物は減らないのに、ずっと教皇と大事なお話とやらをしている。

 うん、多分たらし込んでるよね。良いのかな、聖女でしょ?

 私も神殿には行く。だって封印した物を運ばないと行けない。私が封印して、鈴木さんが浄化する。それが役目のはずなのに、鈴木さんが浄化してくれないから、ドンドン溜まっていく。

 それでも瘴気が出た、魔物が出たとなると私やレイや騎士団や、僧兵達が出動し、殲滅や封印をしなければならない。
 そして封印された瘴気が四角のブロックみたいになって積み上がって行く。
 もう神殿の封印庫は満杯で廊下に溢れているけど、封印しなくちゃ人が死んで行く。

「無駄に封印結界を作ってアイリになんの恨みがあるというのだ!」

「ウィル様!無駄な物など一つとしてございません!ナナセがいてくれるから、討伐も誰一人死ぬ事なく終わっているのですよ!」

 もちろん、私が討伐の旅に出ている時は鈴木さんは城か神殿にしか行かないので街から出ない。封印した魔物も減っていない。

 そろそろうんざりして来たところだ。レイのお父様とお母様には、包み隠さず話している。2人とも最初は

「まさか聖女様が」

 なんて言っていたが、一つとして減らない封印ブロックを見て色々考えてくれるようになった。この国の行く末に恐怖して、隣国の知人を頼るのも良いかもしれないと言い始めている。

「ええい!うるさい!レイセア!教皇、やってくれ!」

「分かりました」

 すいっとおデブの教皇は杖を掲げて宣誓をする。

「なんじ、異世界より来たるヒイラギナナセ。神の御名の下其方を破門とする!」

 えっ?!言われた瞬間、バチっと電気が走ったようになり、何かが強制的に切られたのが分かった。え!これ私が神様から切り離されたんだ!

 今までずっとあった暖かい守護するような気配みたいなものが消えて、独りぼっちになったようだ。

「ナナセ!」

 レイが手を握ってくれる。暖かい。涙が溢れそうになった。

「ナナセ!」「ナナセちゃん!」

 レイのお父様とお母様も来てくれた。あんまり出来の良くない私を認めてくれて、レイの婚約者だと可愛がってくれる伯爵家の人達に胸が熱くなる。

 そしてとても大事なことに気がついた。あ、あれ?不味いんじゃないかしら?私は今なんの神聖な力も使えない状態だ。これって。

「す、鈴木さん?かなり前に持ち込んだ大きな封印、あれ、浄化してくれたわよね?!と言うかかなりたくさんこの城に持ち込んでるようだけど、浄化おわってるのよね?!」

「え?」

 皆んなの目が鈴木さんに向く。最優先だから!と何度も何度も念を押して、絶対よ!と頼んで渡した巨大な封印。

「今、私はそこの教皇様に破門にされたわ。神様と繋がりが切られたの。分かるわよね?」

 私も焦っている。キョロキョロと辺りを見回し、レイの手をぎゅっと握った。

「そ、それがどうしたっていうのよ!」

 鈴木さんは叫んだ。これ、不味いんじゃないかな?!

 ごごご……城を揺らす地響きが聞こえ始めていた。

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