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学園に入学しましたが……
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私とベアトリスは同じAクラスになった。
学園は3クラスあり、Aクラスは高位、下位問わず成績優秀な者、Bクラスは公爵家、侯爵家、成績の良い伯爵家。Cクラスは成績イマイチの伯爵家、子爵家、男爵家に振り分けられる。
私は小さい時から王太子妃教育で勉強しているので学園には来なくても良いくらいなのだが、いずれ王太子妃になった時のために沢山の貴族と交流しやすいように入学した。
学園に入るまでは社交の場に出る事はほとんどなく、子供同士の付き合いもあまりない。知らない人ばかりだと嫌だなぁと思っていたが、仲の良いベアトリスと同じクラスでほっとした。
「ユーファ、知ってる?Cクラスにあの子がいるの」
「あの子?」
「あの子よ。あの子?」
ベアトリスの言うあの子とは誰なのだろう?
「前に去年、ユーファの家にちょっとだけいた子よ。大公様に押し付けられた……」
あぁ、確かリネットだったかしら。
「でも、あの子は年下じゃなかったの? 妹だと言われた気がするわ」
「でも、Cクラスにいるのよ。私あの時、スタン様から手紙をもらって、偵察に行ったでしょう。その時に顔見たから覚えてるわ」
妹という話しだったが、同じ年だったのか。
「生家に戻ったから、男爵令嬢なのね。いいんじゃない。別に私達とは関係ないしね」
「それはそうだけど、ユーファに何かしてこないかと心配なのよ」
ベアトリスはお兄様から私を頼むと言われているみたいだ。
私達の学園生活は楽しいものだった。友達もたくさんできた。
毎日の王太子妃教育と学園の両立は大変だったが、充実した日々を過ごしていた。
「ユーファ、ちょっといいかい?」
王太子妃教育の帰り、廊下を歩いていたらヒューバート殿下に声をかけられた。
ヒューバート殿下は私の婚約者のフランシス殿下の弟だ。
「はい、大丈夫ですが、何か?」
「最近、兄上とはどう?」
「どうと申されましても、特に変わりはございません。ただ、殿下は最近お忙しい様子で、ふたりのお茶会が2回ほど中止になりました。そういえばしばらくお会いしておりませんわ」
私も忙しく、殿下と会っていなかったことに気がついていなかった。
「そうか……」
「何か?」
「いや、引き留めて申し訳なかった。気にしないでくれ。何かあったら私にも気軽に話してくれ。ユーファとは幼馴染のようなものだからな。気安く思って欲しい」
ヒューバート殿下はいつも優しい。昔からよく声をかけてくれる。
「ありがとうございます」
私は頭を下げ、王宮をあとにした。
ヒューバート殿下が言っていた事がそういう事だったのかと分かったのはしばらくしてからだった。
「ユーファ、リネットを虐めているというのは本当か?」
次のふたりのお茶会の時に突然フランシス殿下に言われた。
何のことだ? リネットとはあのリネットか?
リネットとはうちにいた時に挨拶をしただけで、そのあとは一切話をした事はない。
「虐めた? 私がですか?」
「そうだ。リネットは君に酷いことを言われたと泣いていた。君のお父上と再婚するために、リプレ家にいた時も、君が反対し、リネットとリネットの母親を虐めて追い出したそうじゃないか。学園でリネットを見つけ、何もしていないリネットに酷いことを言い、嫌がらせをしていると聞いた。なぜそんなことをするんだ!」
「私はそんなことはしておりませんわ。それに父はライラ様と再婚するつもりなどありませんでした。学園でリネット嬢と顔を合わせたこともありません」
「リネットは泣いていたんだ。とにかく君がそんな人だとは知らなかった。残念だよ」
「殿下、私がリネット嬢を虐めたという証拠はあるのですか?」
「証拠? リネットがそう言っている」
「リネット嬢の証言だけですか? 殿下は長年一緒にいる婚約者の私より、リネット嬢の言葉をお信じになるのですか?」
私は呆れてしまった。
フランシス殿下とは子供の頃に婚約した。
恋愛感情は無いが、共に手を取り合って良く国にしていくために王太子と王太子妃として頑張ろうと思っていた。なのに、私よりリネットを信じるのか。
「もう、いい。とにかくリネットを虐めるようなことはするな」
フランシス殿下はそう言って立ち去った。
「ユーファ、大丈夫か?」
その場で動けずに座り込んでいた私にヒューバート殿下が声をかけてくれた。
「影が兄上のことを母に報告してきたんだ。ユーファがまだいたら部屋に連れてきて欲しいと頼まれた。ユーファ立てるか?」
「はい。大丈夫ですわ。王妃様のお部屋に参ります」
「私も一緒に行くよ」
私は侍女のメアリーに抱えられながら、ヒューバート殿下とともに王妃様の部屋に移動した。
学園は3クラスあり、Aクラスは高位、下位問わず成績優秀な者、Bクラスは公爵家、侯爵家、成績の良い伯爵家。Cクラスは成績イマイチの伯爵家、子爵家、男爵家に振り分けられる。
私は小さい時から王太子妃教育で勉強しているので学園には来なくても良いくらいなのだが、いずれ王太子妃になった時のために沢山の貴族と交流しやすいように入学した。
学園に入るまでは社交の場に出る事はほとんどなく、子供同士の付き合いもあまりない。知らない人ばかりだと嫌だなぁと思っていたが、仲の良いベアトリスと同じクラスでほっとした。
「ユーファ、知ってる?Cクラスにあの子がいるの」
「あの子?」
「あの子よ。あの子?」
ベアトリスの言うあの子とは誰なのだろう?
「前に去年、ユーファの家にちょっとだけいた子よ。大公様に押し付けられた……」
あぁ、確かリネットだったかしら。
「でも、あの子は年下じゃなかったの? 妹だと言われた気がするわ」
「でも、Cクラスにいるのよ。私あの時、スタン様から手紙をもらって、偵察に行ったでしょう。その時に顔見たから覚えてるわ」
妹という話しだったが、同じ年だったのか。
「生家に戻ったから、男爵令嬢なのね。いいんじゃない。別に私達とは関係ないしね」
「それはそうだけど、ユーファに何かしてこないかと心配なのよ」
ベアトリスはお兄様から私を頼むと言われているみたいだ。
私達の学園生活は楽しいものだった。友達もたくさんできた。
毎日の王太子妃教育と学園の両立は大変だったが、充実した日々を過ごしていた。
「ユーファ、ちょっといいかい?」
王太子妃教育の帰り、廊下を歩いていたらヒューバート殿下に声をかけられた。
ヒューバート殿下は私の婚約者のフランシス殿下の弟だ。
「はい、大丈夫ですが、何か?」
「最近、兄上とはどう?」
「どうと申されましても、特に変わりはございません。ただ、殿下は最近お忙しい様子で、ふたりのお茶会が2回ほど中止になりました。そういえばしばらくお会いしておりませんわ」
私も忙しく、殿下と会っていなかったことに気がついていなかった。
「そうか……」
「何か?」
「いや、引き留めて申し訳なかった。気にしないでくれ。何かあったら私にも気軽に話してくれ。ユーファとは幼馴染のようなものだからな。気安く思って欲しい」
ヒューバート殿下はいつも優しい。昔からよく声をかけてくれる。
「ありがとうございます」
私は頭を下げ、王宮をあとにした。
ヒューバート殿下が言っていた事がそういう事だったのかと分かったのはしばらくしてからだった。
「ユーファ、リネットを虐めているというのは本当か?」
次のふたりのお茶会の時に突然フランシス殿下に言われた。
何のことだ? リネットとはあのリネットか?
リネットとはうちにいた時に挨拶をしただけで、そのあとは一切話をした事はない。
「虐めた? 私がですか?」
「そうだ。リネットは君に酷いことを言われたと泣いていた。君のお父上と再婚するために、リプレ家にいた時も、君が反対し、リネットとリネットの母親を虐めて追い出したそうじゃないか。学園でリネットを見つけ、何もしていないリネットに酷いことを言い、嫌がらせをしていると聞いた。なぜそんなことをするんだ!」
「私はそんなことはしておりませんわ。それに父はライラ様と再婚するつもりなどありませんでした。学園でリネット嬢と顔を合わせたこともありません」
「リネットは泣いていたんだ。とにかく君がそんな人だとは知らなかった。残念だよ」
「殿下、私がリネット嬢を虐めたという証拠はあるのですか?」
「証拠? リネットがそう言っている」
「リネット嬢の証言だけですか? 殿下は長年一緒にいる婚約者の私より、リネット嬢の言葉をお信じになるのですか?」
私は呆れてしまった。
フランシス殿下とは子供の頃に婚約した。
恋愛感情は無いが、共に手を取り合って良く国にしていくために王太子と王太子妃として頑張ろうと思っていた。なのに、私よりリネットを信じるのか。
「もう、いい。とにかくリネットを虐めるようなことはするな」
フランシス殿下はそう言って立ち去った。
「ユーファ、大丈夫か?」
その場で動けずに座り込んでいた私にヒューバート殿下が声をかけてくれた。
「影が兄上のことを母に報告してきたんだ。ユーファがまだいたら部屋に連れてきて欲しいと頼まれた。ユーファ立てるか?」
「はい。大丈夫ですわ。王妃様のお部屋に参ります」
「私も一緒に行くよ」
私は侍女のメアリーに抱えられながら、ヒューバート殿下とともに王妃様の部屋に移動した。
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