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勝ったわ(リネット視点)
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「リネット、ユーファとの婚約は解消することになった」
学園で王太子殿下に呼び出されてそう告げられた。
「国王陛下や王妃様は許してくださったのですか?」
ここ重要。ちゃんと聞いとかなくちゃね。
「あぁ、父が婚約を解消すると言った。そしてあとの事は任せろとな」
「後のこととは?」
「多分、リネットを前大公の令嬢として認めさせるのでないか。そして私達の婚約の手続きだろう」
「本当に? うれしいです。殿下ぁ~、ありがとうございますぅ」
私は目をうるうるさせて上目使いで殿下を見た。
それにしてもこの男、ほんとにチョロいわね。私の言うことみんな鵜呑みにして馬鹿ね~。
私は前大公の愛妾だった母の娘として生まれた。
前大公は母の他にも何人も愛妾がいた。
私は母と引き離され、それからはメイドのような生活をさせられていた。
母は軟禁されているようで部屋から出られない。
私は食事を運ぶメイドについて行き、時々母に会っていたが、母はいつも虚だった。
メイド達の噂話では、媚薬漬けにされているらしいとのこと。
小さい頃はよくわからなかったが、大きくなってくると母が前大公にとってどんな存在だったかわかるようになった。
私は前大公の娘なんだ。なんでメイドみたいなことをさせられているんだろう。
私はいつも怒りでいっぱいだった。
そして母は飽きられて捨てられた。
前大公は愛妾に飽きると人が良さそうな貴族の当主に無理矢理押し付けていた。
私と母はリプレ公爵家に行った。リプレ公爵は夫人を亡くして、正妻の場所が空いていた。前大公に母を後添いに迎えないと娘に危害を加えると脅されていたようだ。
リプレ公爵には私と同じ年の娘がいた。王太子の婚約者らしい。
ちらっと姿を見たが、綺麗なドレスを着ていた。
本当なら私の方が身分が上なのに悔しい。この家の娘になったら蹴落としてやろうと思った。
しかし、そいつは私達のことを国王に告げ口したらしい。
国王の調べで前大公が貴族当主を脅し、自分のいらなくなった愛妾を押し付けているとわかり、前大公は爵位を息子に譲り引退したらしい。
私は公爵令嬢になるはずだったのに、母は生家に返された、そこからパッとしない男爵家に後妻に入った。
私は大公家の令嬢なのよ。なんで男爵令嬢なのよ。悔しい。絶対成り上がってやる。
母は私に「あなたは私が昔、婚約していた騎士の子供なのよ。大公様とは関係ないわ」と言うがそんなの絶対嘘だ。私は髪の色も瞳の色も前大公と同じ。間違いなく前大公の娘なのよ。
母のように泣き寝入りは嫌よ。
16歳になり、王立学園に入学した。クラスは学年に3クラス。私は男爵家なのでCクラスだ。悔しい。本来ならAクラスなのに。
学園であの女を見た。リプレ公爵の令嬢だ。もちろんAクラス。高そうなドレスを着ている。
私が欲しい物を全て持っているあの女。悔しい。そうだ。あの女の婚約者の王太子は3年生だった。近づいて奪ってやる。あの女を蹴落として私が王太子妃になってやる。男なんてチョロい。
それにしても王太子殿下は笑っちゃうくらいチョロかった。
女に免疫が無さすぎるわ。ちょっと胸を押し付けるだけで真っ赤になってバカじゃないの。
口から出まかせの嘘も簡単に信用してるしね。
虐めや嫌がらせなんて嘘嘘。あの女とは話をしたこともないわ。
それにリプレ公爵と母が若い頃恋仲だったわけないじゃない。ちょっと考えればわかるでしょう? 流されやすいのね。
国王と王妃も簡単に騙されたのね。あの女との婚約を解消して、私を前大公の娘として婚約させてくれるなんて。
やったわ。これで私も王太子妃よ、あの女に勝ったわ。
愛妾にされて捨てられた母みたいに惨めに生きるのはまっぴらごめんよ。
私はこれからみんなに傅かれて贅沢三昧に生きるのよ。
王太子妃になったらあの女を侍女にでもしようかしらね。
ふふふ楽しみだわ。
学園で王太子殿下に呼び出されてそう告げられた。
「国王陛下や王妃様は許してくださったのですか?」
ここ重要。ちゃんと聞いとかなくちゃね。
「あぁ、父が婚約を解消すると言った。そしてあとの事は任せろとな」
「後のこととは?」
「多分、リネットを前大公の令嬢として認めさせるのでないか。そして私達の婚約の手続きだろう」
「本当に? うれしいです。殿下ぁ~、ありがとうございますぅ」
私は目をうるうるさせて上目使いで殿下を見た。
それにしてもこの男、ほんとにチョロいわね。私の言うことみんな鵜呑みにして馬鹿ね~。
私は前大公の愛妾だった母の娘として生まれた。
前大公は母の他にも何人も愛妾がいた。
私は母と引き離され、それからはメイドのような生活をさせられていた。
母は軟禁されているようで部屋から出られない。
私は食事を運ぶメイドについて行き、時々母に会っていたが、母はいつも虚だった。
メイド達の噂話では、媚薬漬けにされているらしいとのこと。
小さい頃はよくわからなかったが、大きくなってくると母が前大公にとってどんな存在だったかわかるようになった。
私は前大公の娘なんだ。なんでメイドみたいなことをさせられているんだろう。
私はいつも怒りでいっぱいだった。
そして母は飽きられて捨てられた。
前大公は愛妾に飽きると人が良さそうな貴族の当主に無理矢理押し付けていた。
私と母はリプレ公爵家に行った。リプレ公爵は夫人を亡くして、正妻の場所が空いていた。前大公に母を後添いに迎えないと娘に危害を加えると脅されていたようだ。
リプレ公爵には私と同じ年の娘がいた。王太子の婚約者らしい。
ちらっと姿を見たが、綺麗なドレスを着ていた。
本当なら私の方が身分が上なのに悔しい。この家の娘になったら蹴落としてやろうと思った。
しかし、そいつは私達のことを国王に告げ口したらしい。
国王の調べで前大公が貴族当主を脅し、自分のいらなくなった愛妾を押し付けているとわかり、前大公は爵位を息子に譲り引退したらしい。
私は公爵令嬢になるはずだったのに、母は生家に返された、そこからパッとしない男爵家に後妻に入った。
私は大公家の令嬢なのよ。なんで男爵令嬢なのよ。悔しい。絶対成り上がってやる。
母は私に「あなたは私が昔、婚約していた騎士の子供なのよ。大公様とは関係ないわ」と言うがそんなの絶対嘘だ。私は髪の色も瞳の色も前大公と同じ。間違いなく前大公の娘なのよ。
母のように泣き寝入りは嫌よ。
16歳になり、王立学園に入学した。クラスは学年に3クラス。私は男爵家なのでCクラスだ。悔しい。本来ならAクラスなのに。
学園であの女を見た。リプレ公爵の令嬢だ。もちろんAクラス。高そうなドレスを着ている。
私が欲しい物を全て持っているあの女。悔しい。そうだ。あの女の婚約者の王太子は3年生だった。近づいて奪ってやる。あの女を蹴落として私が王太子妃になってやる。男なんてチョロい。
それにしても王太子殿下は笑っちゃうくらいチョロかった。
女に免疫が無さすぎるわ。ちょっと胸を押し付けるだけで真っ赤になってバカじゃないの。
口から出まかせの嘘も簡単に信用してるしね。
虐めや嫌がらせなんて嘘嘘。あの女とは話をしたこともないわ。
それにリプレ公爵と母が若い頃恋仲だったわけないじゃない。ちょっと考えればわかるでしょう? 流されやすいのね。
国王と王妃も簡単に騙されたのね。あの女との婚約を解消して、私を前大公の娘として婚約させてくれるなんて。
やったわ。これで私も王太子妃よ、あの女に勝ったわ。
愛妾にされて捨てられた母みたいに惨めに生きるのはまっぴらごめんよ。
私はこれからみんなに傅かれて贅沢三昧に生きるのよ。
王太子妃になったらあの女を侍女にでもしようかしらね。
ふふふ楽しみだわ。
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