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溺愛魔王は与えたがり
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ひとしきり笑い終わると、アルフレドはリーエンの首筋に唇を落とす。リーエンがそれをくすぐったがって笑うと「許せ」と彼もまた笑って首筋を舐めた。可愛らしい幸せな触れ合いは、これまでの彼らには許されなかったことだ。
「アルフレド様」
お互い向かい合って抱き合うように体を寄せ、すぐにでもまたキスが出来る距離でリーエンはおずおずと言い出す。
「ん?」
「その……あの、わたし、本当にこういうことに疎くて、あまりよくわかっていないまま、いつもお任せしていますが……わたしに出来ることが何かあれば、教えてくださいね」
「……お前が出来ること?」
「今までは、わたしがアルフレド様に抱かれること、そのものだけでお役に立てていたと思うのですが、それも今はないと思うので……」
「馬鹿だな。どうしてお前は聡明なのにたまに間抜けなことを言うんだ? 夫婦が交わることに、役に立つとか立たないとかなんて考えるのはおかしいことだろう?」
「それはそうなのですが……その、それでも、何か、あるような……いえ、あれば、と思いまして……」
リーエンの健気な言葉にアルフレドは一瞬悩んだ。サキュバス達との交わりを思い出せば、手練手管に長けている彼女達はそれはもうあれやらこれやら色々なことを彼にしたものだ。胸を使ってあれこれだとか、手や口を使ってアルフレドのものをどうこうするだとか、まあ大体そのようなもの。それら1つずつを思い出して「リーエンにされたら」と考えると、答えは「どれもされてみたいが、どれもいらない」だ。
「どうも、俺は何かしてもらうよりも、ひたすら自分が与えたいようでな……」
「え」
「ううむ、執務ではそれが良くないとよく言われるのだが、その、セックスぐらいは、自分が与えるだけでも許してもらえないだろうか」
リーエンはきょとんとした表情を見せる。与える、とは、どういう意味だろうかと思いめぐらせてから、恥ずかしそうに両手で口を押さえながら言う。
「わ、わたしは、その、あまり与えていただきすぎると、は、はずか、しいなって……」
「今更何を言うやら……」
アルフレドはリーエンの頭を自分の胸板に抱きかかえ、彼女の艶やかな髪に顔をうずめた。それすら恥ずかしそうにリーエンはぎゅっと目を閉じる。
「お前は俺に与えられるのは好きだろう……? ああ、俺はこういう話はお前に問いかけないことにした。お前は淑女で、そう言われれば否定をせざるを得なくなるからな。たとえここが魔界で、快楽を貪ることが当たり前なのだと何度言っても、お前はそれは聞き分けてくれないのだろうとわかっている」
「っ……」
「だから、お前は何度でも嫌だと恥ずかしいと言い続ければいい。俺が、勝手に与えるだけだからな。だが、どうしても嫌なことがあれば、本当に嫌だと言ってくれ」
リーエンは体を縮こまらせて「うう」と小さく呻いてから、観念したように呟いた。
「わかりましたと言ってしまうと……自分がいう『嫌』が、嫌ではないと認めることになるではないですか……」
「はは、そうだな。お前は基本的に話が早い女だが、この件に関しては少しばかり面倒だ。だが、それが貴族令嬢というものだから、俺はそれは嫌いではない。俺は、それをずっと知っているしな。お前が本物の貴族令嬢として正しく育てられたからこそ、10年前のあの夜助けてくれたのだと。だから、お前のそういう……人間界の貴族ゆえもっている、魔界からすれば煩わしい部分も俺は愛しく思う」
「アルフレド様……その……あの……あまり、あまり、わたしのことをわかられているのも、恥ずかしいものです……」
「当たり前だろう……? 10年前から、お前は変わっていないんだし」
「ご一緒したのはたった一晩でしたし、それに、その、わたしだって、変わってます。大人の女性になったと思うのですが……」
「それはそうだな。立派な淑女だ」
「あっ、もう……もうっ……」
「お前の唇も、耳も、首筋も、いくら口付けても飽きない。何度でも口付けて良いと許可をくれるか」
アルフレドはリーエンの耳に指を這わせ、彼女の寝間着ごしに足を絡める。それだけでリーエンの体はほのかに熱を帯び、彼の胸元から顔を離してアルフレドを見上げた。
「わたし……アルフレド様に口付けされるのは……その、唇だけではなくて……体に、口付けられるのも……恥ずかしいですけれど、好きです……」
「そうか。いくらでも口付けてあげよう」
「でっ、でも、あの、まだ、慣れなくて……その……恥ずかしいところに口づけるのは、ちょっと……」
リーエンは最後相当小声になってもごもごと言葉を濁そうとする。察して欲しい、と念じながら祈るようにぎゅっと目を閉じる。
「恥ずかしいところ?」
「は、はい……」
「ああ……俺が入るところか」
「はいっ……」
耳まで赤くしながらリーエンは消え入りそうな声で必死に訴える。先日、アルフレドと思いが通じ合った時のセックスで、彼は十分にリーエンの入口を唇で、舌で愛した。それが、どうにも恥ずかし過ぎて、リーエンのお気に召さなかったようだ。
「わかった。指で、もっとはっきりと触られるのが好きなんだな」
まさかのアルフレドの答えにリーエンは慌てた。
「そういう意味ではないですっ……意地悪ですね……」
さすがにアルフレドも本気でそう言っているわけではないだろうと信じて、いくらか拗ねたように言うと、案の定アルフレドは小さく笑う。
「少し困っているお前も可愛いから仕方ないだろう」
「ずるいです、そんなことを言われたら何も言えなくなるじゃないですか」
「はは、すまん」
体を起こしてリーエンをごろりと仰向けにすると、彼女に覆いかぶさって額に軽くキスをするアルフレド。
「あっ……」
アルフレドの髪がリーエンの肌に触れる。くすぐったさに身を捩る彼女の唇を彼は逃がさなかった。ゆっくりと深く重ねて、アルフレドは舌を差し込んだ。彼を受け入れた彼女の舌は柔らかく絡み、彼に身を委ねているのがそれだけで伝わる。
しばらくお互いを舌で貪ると、どちらともなく唇は離れて名残惜しそうに唇と唇の間に糸が引く。リーエンは口付けだけで蕩けた瞳をアルフレドに向けた。過去に無体を重ねたというのに、彼女がそんなに素直に身を委ねてくれることに感謝をしながら、アルフレドは
「愛している」
と言って、彼女の唇に、耳に、首筋に、鎖骨に、それから……と、キスの雨を降らせていったのだった。
「ああ……お寝坊してしまいました……」
翌朝、いや、翌昼目覚めたリーエンは、己の寝過ごしに呆然とする。だが、それも仕方がない。慣れぬ結婚式――そんなものに慣れるわけがない――や魔族との交流、その上。
その上、アルフレドからいつ終わるかわからない執拗な愛撫を受け続け、明け方近くまで付き合わされた。寝坊せずに起きられるわけがなかったのだ。
当のアルフレドはというと、ご想像の通りいつもと同じ時刻に起きていつもと変わらぬ状態で朝の執務をこなしてから、さっさと妖精界に向かった。リーエンは結婚翌日から「自分の夫が仕事に行く時に見送ることも出来ない妻」になってしまった。それは別段必要なことではなかったが、せめて、せめて目覚めたかったと思う。そんな後悔をしても何の意味もないのだが。
「ああ、ああ、アルフレド様……こんなに痕をつけるなんて……」
口付けられるのが好きだとは伝えたが、こんなに痕を残されたのは初めてだ。体を覆うドレスを今日は着なければ、と思う。
「なんてこと……太ももまで……ああ、本当に……アルフレド様の……バカ!」
最近時々出て来るフレーズだが、これは恥ずかしさを我慢しての言葉ではなく、彼女にしては珍しく本気で本人に伝えたい「バカ」だった。彼は酷い。自分が与えたいと言って、それをリーエンが断れないようにしてから、今度は「嫌なら本当に嫌だと言え」なんて言って。本当に嫌だと思う前に彼に与えられる快楽の波に溺れてしまって、とてもではないが嫌だと言えなくなるのに。
そもそも、物事には限度がある。どんなに気持ちが良いとか嬉しいとか楽しいとか、自分にとって良い感情良い感覚を得ても、休みなくいつまでもその状態でいることは普通に考えておかしいことではないか。そのおかしい状況にアルフレドはさせてしまうのだから、こればかりはリーエンの我儘とはいえ、彼にちょっと手加減してもらわなければどうしようもない。
(そう……そうだわ……アルフレド様は数日寝なくても大丈夫だとおっしゃっていたし……色々あって、まるで体調が悪いような扱いだったけれど、本当は)
強靭な肉体で、それこそ彼は朝までどころか翌日の夜まででも、きっとセックスが出来てしまうのだろうとリーエンは今更「これは本当にとんでもない方の妻になってしまった……」と思う。まことに、今更、というところだが。
なんとか体を起こして、昼だというのに軽く湯あみをする。体中についている愛された痕を女中に見られたくなくてひとりでやると言い張れば、もうそれだけであちらも察するし、結局見られても見られなくても恥ずかしいことに変わりがない。
なんとかそれなりの体裁を保てる状態になったのは、実にいつもアルフレドとティータイムを共に過ごしている時刻だった。夕食もあることだし、もう朝食だろうが昼食だろうがその辺りは抜きにして、茶と菓子だけで良い……そう思ったリーエンは、1人でティータイムにいつも使っている部屋に行って、庭園を見ながらくつろいだ。今日が休みで良かった。アルフレドのように翌日から「魔王妃として働いてもらう」と言われていたら、初日から謝ることになっていたところだ。勿論、今日リーエンがゆっくり出来ると知っていたからこそ、アルフレドも朝まで好き放題していたのだろうが……。
茶を飲みながら難しい顔をしていると「ちょっと人払い」と言いながら誰かが入って来る。魔王妃がいる場所に自分から「人払い」なんて言える者は本来アルフレドしかいないはずなのだが、見ればリーエンは納得する。ダリルだ。ダリルはサテュロス族当主という肩書きしか持たないはずなのだが、どうも魔王城ではなんらかの特権を持っているようだ。人間といえど、魔王妃である彼女の許しを得ずに彼が使用人達を下げても良いほどの。
「失礼するよ。リーエンちゃん、お茶の時間かい?」
「こんにちは。どうなさったのですか?」
「あ、いいよいいよ、座ってて」
ダリルがそのようにやってくることは初めてだったので、リーエンは何があったのかといささか警戒をする。立ち上がろうとしたが、ダリルはあっさりと手をひらひらと上下させてリーエンに着席を促した。リーエンの近くに来るものの、壁に背をつけて近寄りすぎない程度の距離で笑い声をあげる。
「うわ、疲れた顔してんな? もしかして、アルフレドがやらかしたのか?」
「……いえ、やらかして……というわけでは……ううん……」
自分の夫との夜の営みについて他人に話すことを、当然リーエンは良しとしない。だが、だからといって女中に話すことも出来ないし、ここにはもう家族も友達もいないのだから、こういった悩みはどうしたら良いのだろう……と一瞬「困ったわ」と考えた。
「はは、即答で違うって言わないってことは肯定だろう。お疲れさん。昨日の結婚式のドレス、凄く似合っていたぜ」
「あ、ありがとうございます……ダリル様、何のご用事で? もし良ければお茶をご一緒なさいますか?」
「いんや、伝えに来ただけだから。ついさっき、アルフレドが妖精界から帰って来たんだけどさ」
「え……?」
ダリルが言うには、例の魔石には間違いなく魔界の魔力が注入されており、妖精界に何代目ぶりか魔力を渡すことが出来たのだという。その魔力があれば、アルフレドが貸し付けていた魔力を回収し、妖精王も「アルフレドの魔力を妖精界で使うために変換」をしなくて済むようになる。
「で、それなりにタイミングよくやろうって話だったみたいなんだが、タイミングとかどうでもいいから、さっさと魔力返せってアルフレドが言って、一気にやつの魔力が戻って来たらしいんだ」
「そ、それは、大丈夫なんでしょうか……? 魔力バランスがどうの、みたいなお話は……」
「そりゃあ、駄目さ。妖精界に貸してた魔力はでかすぎるしな。でも、リーエンちゃんのおかげであいつちょっと落ち着いてたから、少しの無理をして戻ってきて……で、ま、ヴィンス師の研究室送りだよ。この前ペナルティ喰らって云々言ってた時に比べれば楽なようで、まあ一日ぐらい様子見ればケロっといつも通りになると思うんだが……」
「そうなのですね……」
「なので、今日は居住エリアに多分戻らないけど、安心しときなって話。それから、あの指輪の謎を正式に解いたってことで、おめでとう。リーエンちゃんの功績は凄いものだぜ?」
「ありがとうございます。これでこの先も妖精界に魔力をお渡し出来るようになったなら良いのですが。気付いたのはわたしかもしれませんが、ヴィンス様や皆様のお力添えが大きかったです」
「いいやぁ? なんでも、最初に気付くヤツが一番凄いのさ。アルフレドの報告を受けて、ジョアンが色んなところに妖精界との顛末の報告書を送るらしい。魔界としては結構デカい話だったんでね。ああ、アルフレドが魔力を貸してたことはよくわかってないやつらが多いけど、ほら、結婚式で『実験するので』みたいな感じで高位魔族山ほど緊急招集したみたいなものだからさ、報告の義務があるってわけよ」
「ああ、そうですよね。皆様にはご協力いただけたようで、ありがたいことです」
「うん。で、多分なんだけど、報告書にはリーエンちゃんのことも書いてあるわけさ。まあ、脳の認識阻害が云々とかそういうことはぼかしてあるけど、リーエンちゃんが書いてくれた巡礼の報告書も残るし、今までの魔王妃候補が忘れていたものをリーエンちゃんが覚えていた、っていうのは公開される事実なんでね」
「わかりました」
「多分、ご褒美期待していいんじゃねぇかな。あ、この話は伝言とかじゃなくて、俺からの余談だと思っといてくれれば。じゃあ、邪魔したな」
言いたいことをベラベラと言うだけ言って、ダリルは軽く手をあげて部屋から出ていこうとした。それへリーエンが「ありがとうございます」と声をかければ、足を止めて振り返るダリル。うーん、と苦笑いを見せて彼は自分の首元を指さしながら
「首のここ、隠れてないから気を付けた方がいいぜ」
とリーエンにアドバイスをする。
「!」
それから、まだ何か言いたげに「あー」と声をあげて、いつも何でも直接的に話す彼にしては珍しく躊躇を見せてから、数歩だけ戻って来て話し出す。人払いをしているとはいえ、あまりドアの近くでしたくない話なのだろうとリーエンは察した。
「もうお節介しちまったから、ついでにあと1つ余計な話していくわ。あのさぁ。俺、アルフレドと何度もサキュバス達んとこに世話になりにいってたし、あー、なんだったら、すぐそこにお互いいる状態でセックスしたりもしてたんだけどさ」
そのダリルの言葉にさすがにリーエンは動揺を隠せない。すぐそこに? それは、一体どんな状況だ? 突然の爆弾発言に想像力が追い付かない。
「えっ、えっ……? な、なさっている、時に、お互い、そこに……ええ? それは、一体どういう心境で……?」
リーエンのその反応にダリルは「あっは!」と大声で笑った。なんてはしたない、だとか嫌悪を表して怒りだすことは想定していても「どういう心境で」とは恐れ入った、と笑いが止まらない。
「ほんっと、おもっしれーな……心境もくそも、別に? やってんなー、ぐらい? まあほら、過去の話はあいつの場合は止む無くってことだから、リーエンちゃんは許してくれると思って話すんだけどさ……」
「は、はい。治療のようなもの……と認識していますので……はい……」
「そうしてもらえると助かる。で、あいつがやりにいってる時って、そういうワケありだったから、魔力バランスも関係してちょっと1人に出来ない時もあったから仕方ねぇのよ。あいつ、ほらもともとは羽根あって尻尾あって全裸でいるのが楽な生き物だから、全裸を見られるのもなんとも思わないし、サキュバスとのセックス見られて恥ずかしいっていう気持ちもないように見えたから……いやいや、そういう話はおいといてさ……うんと、何が言いたいかっつーと、余計なお世話なんだけど」
「は、はいっ」
「あいつがキスマークつけたの初めて見た。つけられたんだな、あいつも。やり方知らないのかと思ってたわ」
リーエンはそんなことを言われて恥ずかしいはずなのに、ダリルのその言い草がおかしくて、恥じらうよりも先に声を出して「ふふっ」と笑った。
「いや、大体さぁ、キスマークつけるのってそう簡単じゃなくね? 首とか太ももとかはそりゃつけやすいけどさ……結構強めに吸うか回数重ねるか、あとは噛むか……って思うから……だから、実はかなり驚いたわけ。要するに、愛されてんだなぁ……ってしみじみしたっていう話。はは、話し過ぎちまった」
「えっ……」
そこまで言うと、ダリルは今度こそ「じゃあな」ともう一度言ってさっさと部屋を出て行く。残されたリーエンは、鏡がなくて見ることが出来なかったがダリルが指をさした首筋に手を這わせ、それから隠れてはいる鎖骨付近にも手を這わせてかあっと赤くなって
「アルフレド様のバカ……!」
と、本日2度目のその言葉を、少しだけ嬉しそうに、噛み締めるように発したのだった。
「アルフレド様」
お互い向かい合って抱き合うように体を寄せ、すぐにでもまたキスが出来る距離でリーエンはおずおずと言い出す。
「ん?」
「その……あの、わたし、本当にこういうことに疎くて、あまりよくわかっていないまま、いつもお任せしていますが……わたしに出来ることが何かあれば、教えてくださいね」
「……お前が出来ること?」
「今までは、わたしがアルフレド様に抱かれること、そのものだけでお役に立てていたと思うのですが、それも今はないと思うので……」
「馬鹿だな。どうしてお前は聡明なのにたまに間抜けなことを言うんだ? 夫婦が交わることに、役に立つとか立たないとかなんて考えるのはおかしいことだろう?」
「それはそうなのですが……その、それでも、何か、あるような……いえ、あれば、と思いまして……」
リーエンの健気な言葉にアルフレドは一瞬悩んだ。サキュバス達との交わりを思い出せば、手練手管に長けている彼女達はそれはもうあれやらこれやら色々なことを彼にしたものだ。胸を使ってあれこれだとか、手や口を使ってアルフレドのものをどうこうするだとか、まあ大体そのようなもの。それら1つずつを思い出して「リーエンにされたら」と考えると、答えは「どれもされてみたいが、どれもいらない」だ。
「どうも、俺は何かしてもらうよりも、ひたすら自分が与えたいようでな……」
「え」
「ううむ、執務ではそれが良くないとよく言われるのだが、その、セックスぐらいは、自分が与えるだけでも許してもらえないだろうか」
リーエンはきょとんとした表情を見せる。与える、とは、どういう意味だろうかと思いめぐらせてから、恥ずかしそうに両手で口を押さえながら言う。
「わ、わたしは、その、あまり与えていただきすぎると、は、はずか、しいなって……」
「今更何を言うやら……」
アルフレドはリーエンの頭を自分の胸板に抱きかかえ、彼女の艶やかな髪に顔をうずめた。それすら恥ずかしそうにリーエンはぎゅっと目を閉じる。
「お前は俺に与えられるのは好きだろう……? ああ、俺はこういう話はお前に問いかけないことにした。お前は淑女で、そう言われれば否定をせざるを得なくなるからな。たとえここが魔界で、快楽を貪ることが当たり前なのだと何度言っても、お前はそれは聞き分けてくれないのだろうとわかっている」
「っ……」
「だから、お前は何度でも嫌だと恥ずかしいと言い続ければいい。俺が、勝手に与えるだけだからな。だが、どうしても嫌なことがあれば、本当に嫌だと言ってくれ」
リーエンは体を縮こまらせて「うう」と小さく呻いてから、観念したように呟いた。
「わかりましたと言ってしまうと……自分がいう『嫌』が、嫌ではないと認めることになるではないですか……」
「はは、そうだな。お前は基本的に話が早い女だが、この件に関しては少しばかり面倒だ。だが、それが貴族令嬢というものだから、俺はそれは嫌いではない。俺は、それをずっと知っているしな。お前が本物の貴族令嬢として正しく育てられたからこそ、10年前のあの夜助けてくれたのだと。だから、お前のそういう……人間界の貴族ゆえもっている、魔界からすれば煩わしい部分も俺は愛しく思う」
「アルフレド様……その……あの……あまり、あまり、わたしのことをわかられているのも、恥ずかしいものです……」
「当たり前だろう……? 10年前から、お前は変わっていないんだし」
「ご一緒したのはたった一晩でしたし、それに、その、わたしだって、変わってます。大人の女性になったと思うのですが……」
「それはそうだな。立派な淑女だ」
「あっ、もう……もうっ……」
「お前の唇も、耳も、首筋も、いくら口付けても飽きない。何度でも口付けて良いと許可をくれるか」
アルフレドはリーエンの耳に指を這わせ、彼女の寝間着ごしに足を絡める。それだけでリーエンの体はほのかに熱を帯び、彼の胸元から顔を離してアルフレドを見上げた。
「わたし……アルフレド様に口付けされるのは……その、唇だけではなくて……体に、口付けられるのも……恥ずかしいですけれど、好きです……」
「そうか。いくらでも口付けてあげよう」
「でっ、でも、あの、まだ、慣れなくて……その……恥ずかしいところに口づけるのは、ちょっと……」
リーエンは最後相当小声になってもごもごと言葉を濁そうとする。察して欲しい、と念じながら祈るようにぎゅっと目を閉じる。
「恥ずかしいところ?」
「は、はい……」
「ああ……俺が入るところか」
「はいっ……」
耳まで赤くしながらリーエンは消え入りそうな声で必死に訴える。先日、アルフレドと思いが通じ合った時のセックスで、彼は十分にリーエンの入口を唇で、舌で愛した。それが、どうにも恥ずかし過ぎて、リーエンのお気に召さなかったようだ。
「わかった。指で、もっとはっきりと触られるのが好きなんだな」
まさかのアルフレドの答えにリーエンは慌てた。
「そういう意味ではないですっ……意地悪ですね……」
さすがにアルフレドも本気でそう言っているわけではないだろうと信じて、いくらか拗ねたように言うと、案の定アルフレドは小さく笑う。
「少し困っているお前も可愛いから仕方ないだろう」
「ずるいです、そんなことを言われたら何も言えなくなるじゃないですか」
「はは、すまん」
体を起こしてリーエンをごろりと仰向けにすると、彼女に覆いかぶさって額に軽くキスをするアルフレド。
「あっ……」
アルフレドの髪がリーエンの肌に触れる。くすぐったさに身を捩る彼女の唇を彼は逃がさなかった。ゆっくりと深く重ねて、アルフレドは舌を差し込んだ。彼を受け入れた彼女の舌は柔らかく絡み、彼に身を委ねているのがそれだけで伝わる。
しばらくお互いを舌で貪ると、どちらともなく唇は離れて名残惜しそうに唇と唇の間に糸が引く。リーエンは口付けだけで蕩けた瞳をアルフレドに向けた。過去に無体を重ねたというのに、彼女がそんなに素直に身を委ねてくれることに感謝をしながら、アルフレドは
「愛している」
と言って、彼女の唇に、耳に、首筋に、鎖骨に、それから……と、キスの雨を降らせていったのだった。
「ああ……お寝坊してしまいました……」
翌朝、いや、翌昼目覚めたリーエンは、己の寝過ごしに呆然とする。だが、それも仕方がない。慣れぬ結婚式――そんなものに慣れるわけがない――や魔族との交流、その上。
その上、アルフレドからいつ終わるかわからない執拗な愛撫を受け続け、明け方近くまで付き合わされた。寝坊せずに起きられるわけがなかったのだ。
当のアルフレドはというと、ご想像の通りいつもと同じ時刻に起きていつもと変わらぬ状態で朝の執務をこなしてから、さっさと妖精界に向かった。リーエンは結婚翌日から「自分の夫が仕事に行く時に見送ることも出来ない妻」になってしまった。それは別段必要なことではなかったが、せめて、せめて目覚めたかったと思う。そんな後悔をしても何の意味もないのだが。
「ああ、ああ、アルフレド様……こんなに痕をつけるなんて……」
口付けられるのが好きだとは伝えたが、こんなに痕を残されたのは初めてだ。体を覆うドレスを今日は着なければ、と思う。
「なんてこと……太ももまで……ああ、本当に……アルフレド様の……バカ!」
最近時々出て来るフレーズだが、これは恥ずかしさを我慢しての言葉ではなく、彼女にしては珍しく本気で本人に伝えたい「バカ」だった。彼は酷い。自分が与えたいと言って、それをリーエンが断れないようにしてから、今度は「嫌なら本当に嫌だと言え」なんて言って。本当に嫌だと思う前に彼に与えられる快楽の波に溺れてしまって、とてもではないが嫌だと言えなくなるのに。
そもそも、物事には限度がある。どんなに気持ちが良いとか嬉しいとか楽しいとか、自分にとって良い感情良い感覚を得ても、休みなくいつまでもその状態でいることは普通に考えておかしいことではないか。そのおかしい状況にアルフレドはさせてしまうのだから、こればかりはリーエンの我儘とはいえ、彼にちょっと手加減してもらわなければどうしようもない。
(そう……そうだわ……アルフレド様は数日寝なくても大丈夫だとおっしゃっていたし……色々あって、まるで体調が悪いような扱いだったけれど、本当は)
強靭な肉体で、それこそ彼は朝までどころか翌日の夜まででも、きっとセックスが出来てしまうのだろうとリーエンは今更「これは本当にとんでもない方の妻になってしまった……」と思う。まことに、今更、というところだが。
なんとか体を起こして、昼だというのに軽く湯あみをする。体中についている愛された痕を女中に見られたくなくてひとりでやると言い張れば、もうそれだけであちらも察するし、結局見られても見られなくても恥ずかしいことに変わりがない。
なんとかそれなりの体裁を保てる状態になったのは、実にいつもアルフレドとティータイムを共に過ごしている時刻だった。夕食もあることだし、もう朝食だろうが昼食だろうがその辺りは抜きにして、茶と菓子だけで良い……そう思ったリーエンは、1人でティータイムにいつも使っている部屋に行って、庭園を見ながらくつろいだ。今日が休みで良かった。アルフレドのように翌日から「魔王妃として働いてもらう」と言われていたら、初日から謝ることになっていたところだ。勿論、今日リーエンがゆっくり出来ると知っていたからこそ、アルフレドも朝まで好き放題していたのだろうが……。
茶を飲みながら難しい顔をしていると「ちょっと人払い」と言いながら誰かが入って来る。魔王妃がいる場所に自分から「人払い」なんて言える者は本来アルフレドしかいないはずなのだが、見ればリーエンは納得する。ダリルだ。ダリルはサテュロス族当主という肩書きしか持たないはずなのだが、どうも魔王城ではなんらかの特権を持っているようだ。人間といえど、魔王妃である彼女の許しを得ずに彼が使用人達を下げても良いほどの。
「失礼するよ。リーエンちゃん、お茶の時間かい?」
「こんにちは。どうなさったのですか?」
「あ、いいよいいよ、座ってて」
ダリルがそのようにやってくることは初めてだったので、リーエンは何があったのかといささか警戒をする。立ち上がろうとしたが、ダリルはあっさりと手をひらひらと上下させてリーエンに着席を促した。リーエンの近くに来るものの、壁に背をつけて近寄りすぎない程度の距離で笑い声をあげる。
「うわ、疲れた顔してんな? もしかして、アルフレドがやらかしたのか?」
「……いえ、やらかして……というわけでは……ううん……」
自分の夫との夜の営みについて他人に話すことを、当然リーエンは良しとしない。だが、だからといって女中に話すことも出来ないし、ここにはもう家族も友達もいないのだから、こういった悩みはどうしたら良いのだろう……と一瞬「困ったわ」と考えた。
「はは、即答で違うって言わないってことは肯定だろう。お疲れさん。昨日の結婚式のドレス、凄く似合っていたぜ」
「あ、ありがとうございます……ダリル様、何のご用事で? もし良ければお茶をご一緒なさいますか?」
「いんや、伝えに来ただけだから。ついさっき、アルフレドが妖精界から帰って来たんだけどさ」
「え……?」
ダリルが言うには、例の魔石には間違いなく魔界の魔力が注入されており、妖精界に何代目ぶりか魔力を渡すことが出来たのだという。その魔力があれば、アルフレドが貸し付けていた魔力を回収し、妖精王も「アルフレドの魔力を妖精界で使うために変換」をしなくて済むようになる。
「で、それなりにタイミングよくやろうって話だったみたいなんだが、タイミングとかどうでもいいから、さっさと魔力返せってアルフレドが言って、一気にやつの魔力が戻って来たらしいんだ」
「そ、それは、大丈夫なんでしょうか……? 魔力バランスがどうの、みたいなお話は……」
「そりゃあ、駄目さ。妖精界に貸してた魔力はでかすぎるしな。でも、リーエンちゃんのおかげであいつちょっと落ち着いてたから、少しの無理をして戻ってきて……で、ま、ヴィンス師の研究室送りだよ。この前ペナルティ喰らって云々言ってた時に比べれば楽なようで、まあ一日ぐらい様子見ればケロっといつも通りになると思うんだが……」
「そうなのですね……」
「なので、今日は居住エリアに多分戻らないけど、安心しときなって話。それから、あの指輪の謎を正式に解いたってことで、おめでとう。リーエンちゃんの功績は凄いものだぜ?」
「ありがとうございます。これでこの先も妖精界に魔力をお渡し出来るようになったなら良いのですが。気付いたのはわたしかもしれませんが、ヴィンス様や皆様のお力添えが大きかったです」
「いいやぁ? なんでも、最初に気付くヤツが一番凄いのさ。アルフレドの報告を受けて、ジョアンが色んなところに妖精界との顛末の報告書を送るらしい。魔界としては結構デカい話だったんでね。ああ、アルフレドが魔力を貸してたことはよくわかってないやつらが多いけど、ほら、結婚式で『実験するので』みたいな感じで高位魔族山ほど緊急招集したみたいなものだからさ、報告の義務があるってわけよ」
「ああ、そうですよね。皆様にはご協力いただけたようで、ありがたいことです」
「うん。で、多分なんだけど、報告書にはリーエンちゃんのことも書いてあるわけさ。まあ、脳の認識阻害が云々とかそういうことはぼかしてあるけど、リーエンちゃんが書いてくれた巡礼の報告書も残るし、今までの魔王妃候補が忘れていたものをリーエンちゃんが覚えていた、っていうのは公開される事実なんでね」
「わかりました」
「多分、ご褒美期待していいんじゃねぇかな。あ、この話は伝言とかじゃなくて、俺からの余談だと思っといてくれれば。じゃあ、邪魔したな」
言いたいことをベラベラと言うだけ言って、ダリルは軽く手をあげて部屋から出ていこうとした。それへリーエンが「ありがとうございます」と声をかければ、足を止めて振り返るダリル。うーん、と苦笑いを見せて彼は自分の首元を指さしながら
「首のここ、隠れてないから気を付けた方がいいぜ」
とリーエンにアドバイスをする。
「!」
それから、まだ何か言いたげに「あー」と声をあげて、いつも何でも直接的に話す彼にしては珍しく躊躇を見せてから、数歩だけ戻って来て話し出す。人払いをしているとはいえ、あまりドアの近くでしたくない話なのだろうとリーエンは察した。
「もうお節介しちまったから、ついでにあと1つ余計な話していくわ。あのさぁ。俺、アルフレドと何度もサキュバス達んとこに世話になりにいってたし、あー、なんだったら、すぐそこにお互いいる状態でセックスしたりもしてたんだけどさ」
そのダリルの言葉にさすがにリーエンは動揺を隠せない。すぐそこに? それは、一体どんな状況だ? 突然の爆弾発言に想像力が追い付かない。
「えっ、えっ……? な、なさっている、時に、お互い、そこに……ええ? それは、一体どういう心境で……?」
リーエンのその反応にダリルは「あっは!」と大声で笑った。なんてはしたない、だとか嫌悪を表して怒りだすことは想定していても「どういう心境で」とは恐れ入った、と笑いが止まらない。
「ほんっと、おもっしれーな……心境もくそも、別に? やってんなー、ぐらい? まあほら、過去の話はあいつの場合は止む無くってことだから、リーエンちゃんは許してくれると思って話すんだけどさ……」
「は、はい。治療のようなもの……と認識していますので……はい……」
「そうしてもらえると助かる。で、あいつがやりにいってる時って、そういうワケありだったから、魔力バランスも関係してちょっと1人に出来ない時もあったから仕方ねぇのよ。あいつ、ほらもともとは羽根あって尻尾あって全裸でいるのが楽な生き物だから、全裸を見られるのもなんとも思わないし、サキュバスとのセックス見られて恥ずかしいっていう気持ちもないように見えたから……いやいや、そういう話はおいといてさ……うんと、何が言いたいかっつーと、余計なお世話なんだけど」
「は、はいっ」
「あいつがキスマークつけたの初めて見た。つけられたんだな、あいつも。やり方知らないのかと思ってたわ」
リーエンはそんなことを言われて恥ずかしいはずなのに、ダリルのその言い草がおかしくて、恥じらうよりも先に声を出して「ふふっ」と笑った。
「いや、大体さぁ、キスマークつけるのってそう簡単じゃなくね? 首とか太ももとかはそりゃつけやすいけどさ……結構強めに吸うか回数重ねるか、あとは噛むか……って思うから……だから、実はかなり驚いたわけ。要するに、愛されてんだなぁ……ってしみじみしたっていう話。はは、話し過ぎちまった」
「えっ……」
そこまで言うと、ダリルは今度こそ「じゃあな」ともう一度言ってさっさと部屋を出て行く。残されたリーエンは、鏡がなくて見ることが出来なかったがダリルが指をさした首筋に手を這わせ、それから隠れてはいる鎖骨付近にも手を這わせてかあっと赤くなって
「アルフレド様のバカ……!」
と、本日2度目のその言葉を、少しだけ嬉しそうに、噛み締めるように発したのだった。
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