五パーセントの世界

 前作の続き。あれから二年、無事、現世に舞いもどった尾高倫子(りんこ)は、不思議な通力を得ながらも、この世界に新しい経済の秩序を打ち立てようと刻苦していた。 
 出版社をやめ、預金もしばらく持つとはいえ、何の保証もない浪人になってしまった。しかし倫子は内心、熱い思いに燃えていた。恋人の大谷秀平に支えられつつ、目に見えぬ霊世界の強力なサポートをうけて、はじめの第一歩を踏み出す。まず手始めに、自分の古巣だった出版社に掛け合い、系列の恵出版の有力雑誌に寄稿する機会をえた。 
 恵出版のドル箱出版物と言えば、オカルトに特化した雑誌類やその他の本である。経済とオカルト雑誌ではずいぶん毛色が違うと思われるかもしれないが、その辺の事情については倫子は百戦錬磨である。なにしろ、渋沢先生をはじめその周りの女性たち霊界の有力な方々と、顔馴染みの仲であった。
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