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闇夜に舞う者は
王都へ
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ポロンくんが少し暴れてから、リードくんも、ほんの少し、大人しくなった。アリアさんが常に隣にいるし、変なことはできないだろう。
しかし、態度を見るに……本当に、なんで自分が悪いのか、まるで分からないみたいだった。アリアさんにしきりに「なんでダメなの?」と聞いていたのが聞こえていたのだ。簡単にはフローラの境遇もアリアさんから話されているはずなのにこれだ。
……冊子が悪い、にしては、度が過ぎているようにも感じる。そんなにわからないなんてこと、あるんだろうか?
まぁ、人は一人一人違うというし、そこばっかり否定するのは良くないと思ったから、僕はそこで思考を停止させた。15分ほど歩いていると、王都へ入れたようで、僕らはその足で城へと向かう。
「……なーなー。どうしてお前ら、お城に向かうんだよ。冒険者って、普通ギルドじゃねーのか?」
リードくんが若干控えめに僕らに訊ねる。それには、アリアさんが答えた。
「私がいるからだ」
「なんでお前がいると、お城にいくんだ?」
「私がマルティネスの次期女王だから、挨拶も兼ねてだ。レイナたちから軽い連絡いってるはずだが……」
「……え?」
キョトンとした様子で、リードくんがアリアさんを見る。突然の反応にアリアさんもはてなマークを浮かべながら、リードくんを見る。
「ん……? どうした、急にそんな」
「えぇぇぇっ?! え、お前! マルティネスの女王なのか!?」
「声が大きい! ……次期、だ。今は違う」
「え、でもさ、女王に成る人が旅なんかしてて大丈夫なのか? 普通は国にいるもんじゃねーの?」
「それは」
「アリア姉は国民からしっかり許可とってきてるんだよ。変なこと言うな」
言わせない……とばかりに、アリアさんの声を遮ってポロンくんが言う。リードくんには悪気はないのかもしれないが……さっきから、僕らにとって答えにくいこと、言いたくないことばかり言ってくる。それを聞かれる気持ちがわかっているからこそ、自分も、過去に負い目があるポロンくんだからこそ……こういったこと簡単に言う、リードくんが許せないのだろう。
「んだよ意味わかんねーの。そんなに怒られるようなこと俺いってねーし。単純に気になったから聞いてるだけだってのに」
「お気楽なお前には分かんないんだい。おいらたちが、今までどんなことを味わってきたか。……絶対分かんないやい」
僕はポロンくんの手を引いて、リードくんから離した。ポロンくんは相変わらずリードくんを睨み付けてはいるが……僕の横で、じっと耐えていた。
「……ポロン、お主の気持ちは分かる。だが、あまり気を張るな。疲れるだけだぞ?」
「……おいらだって、分かってるんだい……分かって、分かってて……だけど、何も言わないでいるのは、出来なくて」
「…………」
「ごめんウタ兄。怒ってくれていいからな。ただでさえドラくんのことがあるのにおいら……」
僕はポロンくんの頭をポンポンと撫でた。
「……大丈夫だよ」
僕はというと……王都を歩きながら、その人々の声を、ひっそりと聞いていた。全部ではない。が、ある程度、聞いていた。
というのも、あれから、若干ではあるが『力』を使えるようになってきたのだ。まだ完璧に……とはいかなくて、聞きたくないときに聞こえたり、聞きたいときに聞こえなかったりしているが、最初よりはかなり使いこなせていて、今、商店などの人の声を聞いて、ニエルについての情報がないか探っていたのだ。
ドラくんの話を聞いた限り……そして、おさくさんがわざわざ警告しに来るということは、多分、かなり腕が良い。いやそもそも、ドラゴンを簡単に使役できる時点でかなり……なのだが。
それだけ強い殺し屋なら、情報の一つや二つくらい出てくるかと思ったのだ。しかし……、
(……あんまり目ぼしい情報はないなぁ)
どこの話を聞いても、せいぜい『最近物騒だからねー、気を付けないとねー』くらいの話しか出てこないのだ。これだけじゃあ、何の対策にもならない。
せめて、どこにいるとか、見た目がどうとか、そういう情報がほしい。ドラくんの話では黒髪に隻眼、だったというが……なにせ三年経ってるし、年齢を考えれば髪の方なんか見た目が変わってない方が不自然かもしれない。
そんなことを思いながら歩いていた、その時だった。
『――ダークドラゴン』
「っ?!」
「ウタ……?」
今、確実に聞こえた言葉。ダークドラゴン。今、ここにいるのは全員、『見た目は』人間だ。しかし……人の姿だからといって、見抜けないとは限らない。特にそう、よく知っている相手なら。
「ウタ?」
「ウタ殿、どうかした」
「ごめんちょっと黙ってて。……声、出さないで」
聞かれたらまずい。僕は咄嗟に辺りを見渡してその声の主を探した。……が、見つからない。でもどんな声かは分かった。
「アリアさん、みんな連れて、先にお城行っててください!」
「待て! お前は」
「ちゃんと追いかけますから!」
ここで見つけられなければ……危ない。その想いだけをアクセルに変えて、僕は街の中を一人で駆け出した。
しかし、態度を見るに……本当に、なんで自分が悪いのか、まるで分からないみたいだった。アリアさんにしきりに「なんでダメなの?」と聞いていたのが聞こえていたのだ。簡単にはフローラの境遇もアリアさんから話されているはずなのにこれだ。
……冊子が悪い、にしては、度が過ぎているようにも感じる。そんなにわからないなんてこと、あるんだろうか?
まぁ、人は一人一人違うというし、そこばっかり否定するのは良くないと思ったから、僕はそこで思考を停止させた。15分ほど歩いていると、王都へ入れたようで、僕らはその足で城へと向かう。
「……なーなー。どうしてお前ら、お城に向かうんだよ。冒険者って、普通ギルドじゃねーのか?」
リードくんが若干控えめに僕らに訊ねる。それには、アリアさんが答えた。
「私がいるからだ」
「なんでお前がいると、お城にいくんだ?」
「私がマルティネスの次期女王だから、挨拶も兼ねてだ。レイナたちから軽い連絡いってるはずだが……」
「……え?」
キョトンとした様子で、リードくんがアリアさんを見る。突然の反応にアリアさんもはてなマークを浮かべながら、リードくんを見る。
「ん……? どうした、急にそんな」
「えぇぇぇっ?! え、お前! マルティネスの女王なのか!?」
「声が大きい! ……次期、だ。今は違う」
「え、でもさ、女王に成る人が旅なんかしてて大丈夫なのか? 普通は国にいるもんじゃねーの?」
「それは」
「アリア姉は国民からしっかり許可とってきてるんだよ。変なこと言うな」
言わせない……とばかりに、アリアさんの声を遮ってポロンくんが言う。リードくんには悪気はないのかもしれないが……さっきから、僕らにとって答えにくいこと、言いたくないことばかり言ってくる。それを聞かれる気持ちがわかっているからこそ、自分も、過去に負い目があるポロンくんだからこそ……こういったこと簡単に言う、リードくんが許せないのだろう。
「んだよ意味わかんねーの。そんなに怒られるようなこと俺いってねーし。単純に気になったから聞いてるだけだってのに」
「お気楽なお前には分かんないんだい。おいらたちが、今までどんなことを味わってきたか。……絶対分かんないやい」
僕はポロンくんの手を引いて、リードくんから離した。ポロンくんは相変わらずリードくんを睨み付けてはいるが……僕の横で、じっと耐えていた。
「……ポロン、お主の気持ちは分かる。だが、あまり気を張るな。疲れるだけだぞ?」
「……おいらだって、分かってるんだい……分かって、分かってて……だけど、何も言わないでいるのは、出来なくて」
「…………」
「ごめんウタ兄。怒ってくれていいからな。ただでさえドラくんのことがあるのにおいら……」
僕はポロンくんの頭をポンポンと撫でた。
「……大丈夫だよ」
僕はというと……王都を歩きながら、その人々の声を、ひっそりと聞いていた。全部ではない。が、ある程度、聞いていた。
というのも、あれから、若干ではあるが『力』を使えるようになってきたのだ。まだ完璧に……とはいかなくて、聞きたくないときに聞こえたり、聞きたいときに聞こえなかったりしているが、最初よりはかなり使いこなせていて、今、商店などの人の声を聞いて、ニエルについての情報がないか探っていたのだ。
ドラくんの話を聞いた限り……そして、おさくさんがわざわざ警告しに来るということは、多分、かなり腕が良い。いやそもそも、ドラゴンを簡単に使役できる時点でかなり……なのだが。
それだけ強い殺し屋なら、情報の一つや二つくらい出てくるかと思ったのだ。しかし……、
(……あんまり目ぼしい情報はないなぁ)
どこの話を聞いても、せいぜい『最近物騒だからねー、気を付けないとねー』くらいの話しか出てこないのだ。これだけじゃあ、何の対策にもならない。
せめて、どこにいるとか、見た目がどうとか、そういう情報がほしい。ドラくんの話では黒髪に隻眼、だったというが……なにせ三年経ってるし、年齢を考えれば髪の方なんか見た目が変わってない方が不自然かもしれない。
そんなことを思いながら歩いていた、その時だった。
『――ダークドラゴン』
「っ?!」
「ウタ……?」
今、確実に聞こえた言葉。ダークドラゴン。今、ここにいるのは全員、『見た目は』人間だ。しかし……人の姿だからといって、見抜けないとは限らない。特にそう、よく知っている相手なら。
「ウタ?」
「ウタ殿、どうかした」
「ごめんちょっと黙ってて。……声、出さないで」
聞かれたらまずい。僕は咄嗟に辺りを見渡してその声の主を探した。……が、見つからない。でもどんな声かは分かった。
「アリアさん、みんな連れて、先にお城行っててください!」
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