チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない

植木鉢たかはし

文字の大きさ
317 / 387
闇夜に舞う者は

危ない

しおりを挟む
 ポロンくんが調べてきた場所の辺りに行ってみると、そこは薄暗く、じめじめした空間だった。
 確かに殺人鬼が住み処にしていそうではあるが……僕はそこから、ドラくんの気配を感じることができなかった。


「ここじゃないのかなぁ……?」

「いや、ポロンが手にいれた情報は正確だし、ポロンが情報を読み違えたってこともないだろう」

「……昔はいたけど、今は別の場所にいる……とかですか?」

「…………いや。でも……」

「ウタ?」


 僕はその場を、少し歩き回った。……人のいる気配はまるでない。ということは、そもそもここは人通りの少ない場所のはず。ニエルが隠れ家にしていたくらいだ。もしかしたら、人が通るのなんかまれで、いつもは来ないのかもしれない。


「……ねぇ、リードくん」

「なんだ?」

「この辺りって来たことある? 通ったこととか……」

「いや……ねーよ。こっちの方は大人が行くなって言うから」

「……だよね」

「だとしたらどうなんだ? なにかあったのか?」

「……これ、見てください」


 僕が指差したのは、地面だった。そこは舗装もされていないような土の地面で、まだ新しい足跡があった。僕らのものとは違う足跡。このタイミング……。


「足跡……か」

「……ドラくんのかな」

「分からないけど、可能性は高い気がする」

「でもここにはいないんだろ?」

「うーん……。でも、ここには来たっぽいんだよなぁ…………」


 僕がそんなことを悩んでいると、不意に、アイテムボックスから何かが飛び出してきた。それを手に取るとそれは……歩くマンだ。


「単語帳じゃないんかい……」


 しばらく触れていなかったそれを開くと、画面に『アップデートデータがあります』と表示された。


「アップデート……?」

「なんだ、あっぷでーと……って?」

「中身が新しくなるってことですかね、簡単に言えば」


 何がどう変わるのか全く読めないが、とりあえず、アップデートボタンを押してみる。すると、端末の再起動が起こり…………。


「……なんじゃこりゃ…………」


 『おみくじ』アイコンが追加された。


「おみくじ……?」

「ウタ兄、おみくじって、くじ?」

「あー、うん、まぁくじ……かな。
 神社とかに行くとやっててね、引くと大吉とか中吉とか凶とか書いてあって、それで運勢を占うんだよ。アドバイスみたいなのも書いてあって……」


 瞬間、僕はまさかと思った。
 まさか……引いたおみくじに応じてヒントがもらえるとか……そんなシステムじゃないよね?


「……とりあえず、引いてみます」

「ウタさんが何を思ったのかすごく分かりました」


 僕は、おみくじのアイコンを選び、押してみる。すると、『おみくじを引く?』『はいorイエス』という文字が。……引けと。
 はい、を選んで押してみると、一瞬画面が暗くなった後に、テテーン! という効果音がして、おみくじの内容が表示される。

『今日のあなたの運勢は~小吉!』

 微妙である。

『探し物……遠くにあるでしょー! あ、でももしかしたら近くかもしれないねー! ラッキーナンバーは749と31! 忘れないで、グッドオーシャンフィールドを!』


「……なんだこれ、ヒントか?」

「ヒント……ってほどのヒントでもない気がしますけど」

「探し物は以外と近く……それになんだよ、この数字」

「数字だけのヒントとか……分からないな」

「まぁ、普段から分かりづらいヒントばっかりなんだけどね」


 実質的なヒントは数字が二つのみ……。これ、どうしたらいいんだろう。


「…………あ」

「ん? どうしたの、フローラ?」

「いや、前にも数字のヒント……ありませんでしたっけ?」

「……あったか?」

「さぁ…………?」

「南に50、東に90って……」

「……あ」


 そうか、そういえばそんなのがあった。ハンレルで、人身売買の現場を突き止めるのに、歩くマンの位置情報を使って……。


「……歩くマン」


 僕は、半信半疑で位置情報確かめる。


『ひっさびさに開いたねー。たまには遊びに来てもいいんだぜ?
 グッドオーシャンフィールド本店までは北に24、西に745!
 グッドオーシャンフィールドは常に良い商品を揃えております!』


 数字も近い……これは、間違いないかもしれない。北に31、西に749の場所……もしかしたらそこにドラくんが…………。


「……行ってみるか」

「はい、行ってみましょう。リードくんは……」

「お、俺?」

「戦闘の心得、あるかな?」

「炎魔法と、剣術は使える」

「……いざとなったら逃げる。または助けを求める。この約束でならついてきていいよ。置いていってもついてくるんでしょ?」

「う、うん! 俺ついていくよ!」


 それじゃあこれからそこに向かってみよう……そう思った僕は、ふと気がつく。
 昔の場所に、彼はいなかった。そして、ドラくんもここに来た形跡がある。……しかし、ドラくんは歩くマンを持っていない。それでもニエルに辿り着いた……と仮定すると、一体、どうやってそこに行けたのだろうか。そんなスキル、ドラくんは……。

 ……ドラくんのスキル、鑑定したこと、なかった。
 『龍王の加護』って、なんだ? それは、ニエルの場所が分かるようなスキルなのか? それともまた別物なのか?

 ……ふと、歩くマンに文字が表示された。

 『早くしないと危ないよ』と。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...