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それは一輪の花のように
譲ってあげる
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「ドラくん、お願いっ!」
「任せろ、我が主君!」
ドラくんは大きく羽ばたき、空へと舞い上がった。そして、一直線に『それ』……魔王に向かって飛んでいく。進むほどに息が苦しくなっていき、魔王の存在を際立たせている。
「……アリアさん」
「……ん、どうした?」
「もしものことがあったら、逃げていいですよ? 前の魔王のこともありますし、なにより……本来、勝てるはずがない相手なんですから……」
「…………」
アリアさんはじっと僕を見て、それからべしっと僕の頭を叩いた。しかもそこそこ強めに!?
「いっ……たぁ!?」
「バカかお前は! ……私は逃げない。どんなことがあっても逃げない。絶対だ」
「なっ……なんでですか!? っていうか、今僕そこそこかっこよく決めましたよね? なんで殴るんですかぁ!」
「はぁ? やっぱり羽汰は羽汰だな。全然かっよくなかったぞ? だって羽汰だからな」
「酷くないですかっ!?」
そんなやり取りをしていると、不意にドラくんが笑い出す。
「お主ら……っく、ははっ! お主らは本当に……くくっ……やめてくれ腹が痛い」
「そんなに笑うとこかなドラくん!?」
「ははっ! くっ……あー、すまないな。こんなやり取りをする二人を見るのは、久々だったからな。体制が弱くなっているんだろう」
「私たち、そんなに面白いやり取りしてたか?」
「してないと思いますけど……っていうか、僕今のところ殴られただけなんですけど?!」
「いいじゃないか、許せ」
「許しますけどっ!」
「許すのか」
「でも逃げてください!」
「嫌だ」
「嫌なのかアリア殿」
「ぜったいに、嫌だ!」
「そんなに強く否定しなくても良くないですか!?」
「だってなぁ!」
そこまで言えばアリアさんは一瞬黙り込み、ポツリポツリと言葉を繋げた。
「……だって、お前だって、逃げなかったじゃないか。それどころか、私を助けるためにジュノンから教わったろくでもない呪文使って……。だから仕返しだ。私は逃げない」
「…………」
そういうアリアさんの横顔は……とても寂しげで、儚く見えた。短くなった髪が風に揺れる。
アリアさんは……ディランさんを、ずっと探していた。思えばあの瞬間、僕はなにも考えてなかったのかもしれない。ディランさんを失って、エヴァンさんを失って、絶望的な状況下で、個性の塊'sすら頼れない。……そんな状況でまた一人失ってしまう……他でもない、自分が助かるために仲間が消えてしまうアリアさんの気持ちを、僕は考えていなかった。
くだらない会話のやり取りも……少なくなっていた。前はなんでもないことをたくさん話していたのに、最近では魔王のことや勇気のこと、ディランさんに個性の塊's。仕方ないかもしれないけど、そんな暗い話ばかりだった。
「……アリアさん! あのあの、一つお願いしてもいいですか?」
「なんだ? バカ羽汰」
「バカは余計じゃないですか!?」
「いや、大切なことだぞ大バカ羽汰野郎」
「アリア殿、酷くなってるぞ」
「で、なんなんだ? お願いって」
「あっ、えっとですね……」
僕は一つ息を吸い込んで、アリアさんを見て、それから笑っていった。
「無事に二人で帰ってこれたら……また一緒に、ケーキ食べに行きましょう?」
「…………選択肢は?」
「イエス、おあ、シュアーで」
「……あははっ」
アリアさんは軽く笑えば、髪を耳にかけながら、綺麗にふわりと笑って見せた。
「シュアー、だなっ」
「……やった!」
近くまで来るとわかった。この息苦しさの原因……あまりにも巨大な闇魔法。その渦だ。この渦の中心に……魔王がいるのだ。それを倒せば、この長い物語は、よくやく終わる。
「……よし、それじゃあ」
「ちょーっと待ったぁ!」
「早まるな青年!」
「さすがにそのまま突っ込むのは自殺行為だよ!?」
「個性の塊's……いたのか」
「いたもなにもねぇー?」
アリアさんの言葉に、アイリーンさんが呟き、視線をジュノンさんに向ける。ジュノンさんは呆れたようにため息をつきながら僕らのところへやってくると、僕とアリアさんを交互に見た。
「まさかとは思うけど……その状態のままこの中に飛び込もうなんて思ってないよねえ? ウタくん?」
「…………お、思ってないで」
「本当に?」
「……オモッテマシタ」
「学習、しようね?」
「すみません……」
「……それ、構えて」
呆れつつ、ジュノンさんがなにかを指差す。その指の先を見てみれば、いつかおさくさんに貰った聖剣があった。
言われるがままにそれを抜き、構えると、個性の塊'sが全員、手のひらを僕に向けた。
「……テラー、よろしく」
「はいはいっと。――ピリオド」
テラーさんが詠唱した瞬間、聖剣が輝き出す。僕が弾き飛ばされそうなほどに、強く、強く輝く。
「私たちの力の一部……今だけ、ウタくんに譲ってあげる。だから、しっかり倒してきてよね?」
「っ……ジュノン、さん……」
「――行け、ヤナギハラ・ウタ。お前が背負ってるのは、全世界の命だ。その命散らしても、心を散らすことは許さない。全員の想いを宿した剣で、元凶への道を切り開け!」
「――――っ!」
僕は、強い光を宿した剣を振りかぶり、思いっきり、闇を切り裂いた。
「任せろ、我が主君!」
ドラくんは大きく羽ばたき、空へと舞い上がった。そして、一直線に『それ』……魔王に向かって飛んでいく。進むほどに息が苦しくなっていき、魔王の存在を際立たせている。
「……アリアさん」
「……ん、どうした?」
「もしものことがあったら、逃げていいですよ? 前の魔王のこともありますし、なにより……本来、勝てるはずがない相手なんですから……」
「…………」
アリアさんはじっと僕を見て、それからべしっと僕の頭を叩いた。しかもそこそこ強めに!?
「いっ……たぁ!?」
「バカかお前は! ……私は逃げない。どんなことがあっても逃げない。絶対だ」
「なっ……なんでですか!? っていうか、今僕そこそこかっこよく決めましたよね? なんで殴るんですかぁ!」
「はぁ? やっぱり羽汰は羽汰だな。全然かっよくなかったぞ? だって羽汰だからな」
「酷くないですかっ!?」
そんなやり取りをしていると、不意にドラくんが笑い出す。
「お主ら……っく、ははっ! お主らは本当に……くくっ……やめてくれ腹が痛い」
「そんなに笑うとこかなドラくん!?」
「ははっ! くっ……あー、すまないな。こんなやり取りをする二人を見るのは、久々だったからな。体制が弱くなっているんだろう」
「私たち、そんなに面白いやり取りしてたか?」
「してないと思いますけど……っていうか、僕今のところ殴られただけなんですけど?!」
「いいじゃないか、許せ」
「許しますけどっ!」
「許すのか」
「でも逃げてください!」
「嫌だ」
「嫌なのかアリア殿」
「ぜったいに、嫌だ!」
「そんなに強く否定しなくても良くないですか!?」
「だってなぁ!」
そこまで言えばアリアさんは一瞬黙り込み、ポツリポツリと言葉を繋げた。
「……だって、お前だって、逃げなかったじゃないか。それどころか、私を助けるためにジュノンから教わったろくでもない呪文使って……。だから仕返しだ。私は逃げない」
「…………」
そういうアリアさんの横顔は……とても寂しげで、儚く見えた。短くなった髪が風に揺れる。
アリアさんは……ディランさんを、ずっと探していた。思えばあの瞬間、僕はなにも考えてなかったのかもしれない。ディランさんを失って、エヴァンさんを失って、絶望的な状況下で、個性の塊'sすら頼れない。……そんな状況でまた一人失ってしまう……他でもない、自分が助かるために仲間が消えてしまうアリアさんの気持ちを、僕は考えていなかった。
くだらない会話のやり取りも……少なくなっていた。前はなんでもないことをたくさん話していたのに、最近では魔王のことや勇気のこと、ディランさんに個性の塊's。仕方ないかもしれないけど、そんな暗い話ばかりだった。
「……アリアさん! あのあの、一つお願いしてもいいですか?」
「なんだ? バカ羽汰」
「バカは余計じゃないですか!?」
「いや、大切なことだぞ大バカ羽汰野郎」
「アリア殿、酷くなってるぞ」
「で、なんなんだ? お願いって」
「あっ、えっとですね……」
僕は一つ息を吸い込んで、アリアさんを見て、それから笑っていった。
「無事に二人で帰ってこれたら……また一緒に、ケーキ食べに行きましょう?」
「…………選択肢は?」
「イエス、おあ、シュアーで」
「……あははっ」
アリアさんは軽く笑えば、髪を耳にかけながら、綺麗にふわりと笑って見せた。
「シュアー、だなっ」
「……やった!」
近くまで来るとわかった。この息苦しさの原因……あまりにも巨大な闇魔法。その渦だ。この渦の中心に……魔王がいるのだ。それを倒せば、この長い物語は、よくやく終わる。
「……よし、それじゃあ」
「ちょーっと待ったぁ!」
「早まるな青年!」
「さすがにそのまま突っ込むのは自殺行為だよ!?」
「個性の塊's……いたのか」
「いたもなにもねぇー?」
アリアさんの言葉に、アイリーンさんが呟き、視線をジュノンさんに向ける。ジュノンさんは呆れたようにため息をつきながら僕らのところへやってくると、僕とアリアさんを交互に見た。
「まさかとは思うけど……その状態のままこの中に飛び込もうなんて思ってないよねえ? ウタくん?」
「…………お、思ってないで」
「本当に?」
「……オモッテマシタ」
「学習、しようね?」
「すみません……」
「……それ、構えて」
呆れつつ、ジュノンさんがなにかを指差す。その指の先を見てみれば、いつかおさくさんに貰った聖剣があった。
言われるがままにそれを抜き、構えると、個性の塊'sが全員、手のひらを僕に向けた。
「……テラー、よろしく」
「はいはいっと。――ピリオド」
テラーさんが詠唱した瞬間、聖剣が輝き出す。僕が弾き飛ばされそうなほどに、強く、強く輝く。
「私たちの力の一部……今だけ、ウタくんに譲ってあげる。だから、しっかり倒してきてよね?」
「っ……ジュノン、さん……」
「――行け、ヤナギハラ・ウタ。お前が背負ってるのは、全世界の命だ。その命散らしても、心を散らすことは許さない。全員の想いを宿した剣で、元凶への道を切り開け!」
「――――っ!」
僕は、強い光を宿した剣を振りかぶり、思いっきり、闇を切り裂いた。
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