そして還るもの

諏訪彼方

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すれ違って繋がって

「貫き通すのみです!」

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 結局、霞さんは先生の説得を聞かず、この場は解散になった。お昼休みにも私たちは呼ばれて再び霞さんに対する先生の説得が試みられていた。
「よく考えて。あなたの実績的に、今辞めたらもったいないんじゃないかな?あなたからも何か言って莉子さん!」
「え、ふぇっ!わ、私ですか?あの~、やりたいようにしたらいいんじゃない?後悔のないようにさ」
「ならやはり辞めさせてください!」
「うーん。余計なこと伝えなければよかったのかしら。」
「そういう事ですので、私たちは辞めます。早急に新しい人を選出なさってください。私は、自分の意見を貫き通すのみです!」
「え、えぇ…(困惑)」
こうして、私たちは役職を失い、一生徒になった。

 6限目のLHR(ロングホームルーム)で私たちが辞めたことが未だ困惑しているように見える先生から発表されると、大半のクラスメイトは驚きの声をあげた。もちろん、私がふさわしくないという意見があったことも。
菅原さんは、私を目を見開いて見つめ、永遠は悲しそうに目を伏せた。
 後任の候補に永遠がまず挙がった。が、なぜかそれを辞退。次いで、菅原さんも名前が出たものの辞退し、長引く様相を呈した。結局時間内に決まらず、明日以降に持ち越しとなった。

 ※  ※  ※
「なんで?なんで言われたからって潔く辞めるわけ?」
「なんでって…言われてることは全て正しくて自分でもそう感じるからよ?」
 放課後。場所はいつもの場所。私は永遠に呼び出され、問いただされていた。
「それに、誰が先生にそう言ったのかなんとなく分かったし。」
「私じゃないからね?で…誰?」
「多分永遠のよく知ってる人だよ。」
「…っ余計なことを」
「あなたのために、なんじゃない?」
「そうだとしてもやりすぎ。莉子はただ、夢に向かって頑張っているだけ。そんな莉子がみんなのシンボルにいるだけで、どれだけ他に誇れて、どれだけみんなが安心できるのかあの子は分かってないの?」
「とにかく、私はもう違う。永遠、今まであの子に遠慮してあまり…」
「知ってる。わざとらしい。けど、ありがと。私は莉子に何されようが、ずっと莉子のことを嫌いになったりしないから。」
「ありがと。永遠。ところで、あなたはなぜ推挙を拒んだの?」
「それは…内緒」

 新しいクラスの顔は誰になるのか。それは全然予想できない。

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