1 / 416
第1章 青年、異世界に降臨す
第1話 異世界
しおりを挟む――――――――――――――――――――
シンヤ・モリタニ
性別:男 種族:人族 年齢:18歳
Lv 1
HP 100/100
MP 100/100
ATK 100
DEF 100
AGI 100
INT 100
LUK 測定不能
固有スキル
生殺与奪・神眼・王の権威
武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX
魔法
なし
称号
異世界からの来訪者・運の女神の加護・逆境に抗いし者・ご都合主義
――――――――――――――――――――
「これって、やっぱりRPGとかでよく見るステータス画面だよな…」
陽の光も届かない鬱蒼と茂った森の中、そう呟いた一人の青年。かれこれ10分間、この場に立ち尽くし虚空を見上げていた。所々、破れた箇所のある上下灰色のスウェットに年季の入ったサンダル、ボサボサとした黒髪はあまり手入れされておらず、一見すると浮浪者のようにも思える。しかしながら、高身長に加えて無駄な筋肉のない体型、目つきは鋭いものの、その顔立ちは非常に整っていた。
「とりあえず、訳の分からない固有スキルとか称号とやらをチェックしますか」
青年は虚空に指を走らせて、固有スキルの欄をタップした。すると、以下のような説明書きがされていた。
生殺与奪
自身が殺めた生物のスキルや魔法を奪うことができる。また、他者が殺めた生物であっても死後から1日が経過していなければ同様に可能。奪ったスキルや魔法は適性等を無視して他者に分け与えることができる。そして、圧倒的実力差のある相手(この場合、相手の方が弱者)のHPを1だけ残して、生かしておくことも可能
神眼
自身や他者のステータスを閲覧でき、自身のステータスに至っては偽装が可能。その他、おまけとして、道中の自動MAP機能や敵意のある者の把握・才ある者の見極めといったことも可能
王の権威
配下が獲得しやすくなる。自身が仲間と認めた者からの忠誠心が増し、仲間のステータス及び成長速度に大幅補正。また、圧倒的実力差のある相手を気絶させることが可能。そして、自身と仲間に最も適した装備を作製することができる
「・・・色々と言いたいことはあるが後回しだ」
青年は顔を顰めながら、次に称号の欄をタップした。
異世界からの来訪者
異世界からの来訪者に与えられる称号。ステータス補正・才能の開花
運の女神の加護
運の女神フォルトゥーナの加護。LUKの値に補正
逆境に抗いし者
逆境に抗いし者に与えられる称号。ステータス補正
ご都合主義
言語理解。異世界の常識を把握。獲得したスキルを違和感なく、使いこなせるようになる。騒動に巻き込まれやすくなる。
「こっちの説明はやけにシンプルだな…それにしてもやっぱり、ここは異世界なのか」
台詞の後半は今、まさに頭上を通り過ぎていった地球ではまず見かけないであろう龍のような生物を意識してのものだった。そればかりか、神眼によって映し出された画面には敵意のある者を示す反応が所狭しと並んでいた。自分達が暮らしてきた世界、それも森の中でこれほど敵意を向けられることはまずあり得ないだろう。
「襲われる前にまず、装備だけでも作製しておこう。じゃあ、王の権威、発動っと」
直後、目の前が眩く光り、何もない空間から、装備一式が現れた。神眼で見てみるとそれらがとんでもない代物だと分かった
フナト (黒の外套 神級)
不壊・自動修復・気温調整
ワズライ(黒のシャツ 神級)
不壊・自動修復・気温調整
アキグイ(黒のズボン 神級)
不壊・自動修復・気温調整
チシキ (黒の靴 神級)
不壊・自動修復・気温調整
黒刀ムラクモ(下級)
不壊・自動修復・成長
「・・・よし、着替えよう」
考えることをやめた青年は装備のランクの説明を横目にしながら、着替え始めた。
――――――――――――――――――――
装備ランク
下級→中級→上級→特級→伝説級→覇王級→幻想級→神級
――――――――――――――――――――
「・・・ん?複数の敵が近付いてきてるな」
着替え終えてから、少し経った頃、装備の確認をしていると神眼の敵意センサーに反応があった。どうやら、痺れを切らして、こちらを襲うつもりのようだ。
「だったら、こっちから行ってやるか」
不敵な笑みを浮かべた青年は警戒を怠らず、反応した場所へと駆けていく。あまりのスピードに周りの景色が歪んで見えるほどである。
「ん?あれって、人か?」
少しすると前方に全身緑色の肌をした小柄な人らしきものが見えた。肌の色は置いておいて、剥いだ動物の皮のようなものを腰布として使い、手に棍棒を持つその姿自体は大昔、地球に実在したとされる原始人を彷彿とさせる。しかし、少し反り返った耳と血走る目、よだれを際限なく垂らす羞恥心の無さからはおよそ人であると断定する材料としては不十分であった。
「これは・・・ゴブリンか」
目の前に躍り出て、神眼を使ってみるとその正体が明らかになった。
――――――――――――――――――――
ゴブリンA
性別:雄 種族:魔物(ゴブリン種)
Lv 5
HP 50/50
MP 50/50
ATK 43
DEF 38
AGI 22
INT 18
LUK 5
固有スキル
魔眼
武技スキル
剣術:Lv.3
魔法
火魔法 :Lv.1
空間魔法:Lv.2
ゴブリンB
性別:雄 種族:魔物(ゴブリン種)
Lv 5
HP 50/50
MP 50/50
ATK 38
DEF 43
AGI 18
INT 22
LUK 5
固有スキル
状態異常無効
武技スキル
槍術:Lv.3
魔法
水魔法:Lv.1
ゴブリンC
性別:雄 種族:魔物(ゴブリン種)
Lv 5
HP 50/50
MP 50/50
ATK 40
DEF 40
AGI 40
INT 40
LUK 5
固有スキル
錬金術
武技スキル
斧術:Lv.3
魔法
土魔法:Lv.1
ゴブリンD
性別:雄 種族:魔物(ゴブリン種)
Lv 5
HP 50/50
MP 50/50
ATK 44
DEF 33
AGI 11
INT 27
LUK 5
固有スキル
不屈の闘志
武技スキル
杖術:Lv.3
魔法
風魔法:Lv.1
無魔法:Lv.2
――――――――――――――――――――
「いいスキル、持ってんじゃん。よし、殺ろう」
確かにゴブリンは数多ある作品において、噛ませ犬として冒頭部分に登場することが非常に多い魔物ではある。だからといって、決して忘れてはいけない。青年にとって、ここは作品の中などではなく、紛れも無い現実であるということを。そして、油断など以ての外。現実とは想定外なことが起きやすく、早々上手くいくなんてことは…
「セイッ!!」
青年の掛け声と共に振われた刀は見事、三体のゴブリンの首を飛ばし、残るはゴブリンDのみとなった。ゴブリンにとってはあまりに一瞬。瞬きをしている間に起きたことであり、理解できないことだらけではあったが、残されたゴブリンDに取れる手段は一つだけであった。
「ギギッ・・・」
まるで真綿で首を締められているような声を発しつつ、平伏のポーズ。そう、命乞いである。いくら魔物相手といえど、こうも淡々と命を奪っていく化け物に対して、歯向かう勇気など最初から持ち合わせてはいない。自身が確実に勝てる相手を討ち取ることのみで今日まで生き長らえてきたのだから。こんな化け物に遭遇するのは想定外。確実に厄日である。
「さて、こいつの固有スキルが気になってたんだよな。神眼っと」
――――――――――――――――――――
不屈の闘志
心が折れない限り、HPが1残る(何度でも使用可能)
――――――――――――――――――――
「へ~。便利な固有スキルじゃん。心が折れない限り…ね」
その瞬間、ゴブリンの体に悪寒が走った。何故かは分からないが、本能が危険だとしきりに告げていた。この場から急いで離れろと警告を発していたのだ。しかし、体は地面に張り付いてしまったと錯覚するほど微動だにしなかった。そこから先のことをこのゴブリンは覚えていない。ただ、言えることがあるとするならば、ゴブリンからスキルが失われ、青年のスキルがまた増えたということだけだった。
87
あなたにおすすめの小説
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる