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第6章 裏切りは突然に
第71話 人猟役者
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「全員を前にして、こうやって話すのは初めてだが、聞いて欲しいことがある。まず、それぞれの組員である新人達がクランに入ってから今日で約1ヶ月が経った。その間のレベル上げは大変、ご苦労だった。組長や幹部から、全員の評価は一通り聞いているし、俺も実際に見ていたから、分かっているが……………上出来だ。皆、心身共に成長していることが感じ取れるし、何より個々人の仲が深まって、連携が取りやすくなっている。これは組織において、非常に重要なことだ。誰か1人でも違う方向を向いている者がいるとそこから糸がほつれ、最悪の場合、瓦解してしまうことだって、あり得る。その点、お前らは大丈夫だと思っている。今後、これ以上に団結力を強め、何が起きても対応できるよう、気を引き締めてやっていこう。次に…………各地で少しずつ異変が起きている件についてだ。これについてはこの中のほとんどの者が知らないことだろう。だが、それも無理はない。異変といってもそれを起こしている犯人達は周囲に気付かれる可能性が低い、そんな手法を意図的に使っているからだ。そして、その牙がいつ、俺達に向かって襲い掛かってくるのかは分からない。いつでも対処できるよう、常に警戒は怠るな。それで今後の俺達の動きだが………………」
クランメンバー全員を会議室に集めての会合。皆、どこか緊張感を漂わせながら、俺の言葉を聞いていた。そして、必要なことを全て伝え終え、俺とティア・サラしか居なくなった5分後である。あいつから、連絡があったのは。
――――――――――――――――――――
「おい、あれ見ろよ」
「ん?あいつらは確か………」
「ここフリーダムを拠点に活動しているBランククラン、"人猟役者"だ。あまり目立った行動をする奴らじゃないから、つい忘れがちになるが、今日までしぶとく生き残っていることから、実力は確かだな」
「そうそう。サンバードやフォートレス、守護団などの有名クランの陰に隠れがちでなんかイマイチ、パッとしないんだよな」
「ああ。だが、なんやかんや今日までやってこれているからな」
「あそこにいるメンバーで全員じゃないんだろ?」
「おそらく…………と言っても構成人数や詳しい素性などの情報があまり出回っていないらしく、ほとんどが謎に包まれているんだ」
「なんだ、それ。意味分かんねぇ」
「俺もそう思う」
「ブロンさん、お久しぶりでございます」
「おぉ、お主か!久しいのぅ」
「ええ。なんせ、スタンピード以来、お会いしていないですからね」
「それ以前にお主ら、あまり冒険者として活動しとらんじゃろ」
「それは痛い所を突かれましたね」
「クランとしては資金は潤沢な方が何かと都合がよいぞ。どれ、ここで出会ったのも何かの縁。ワシが適当な依頼を見繕ってやるぞよ?」
「……………いえ、今日はそんな気分でもないのでお断りさせて頂きます」
「どうしたんじゃ?何かあったのかの?」
「ええ。実は最近、あまり良くない噂を耳にしまして……………常に他者に怯え、日々を震えながら、過ごしている我々にはそれがたとえ噂であっても不安で不安で……………」
「なるほどのぅ……………良くない噂というと?」
「ここフリーダムに何か異変が起こっているんじゃないか?……………と。例えば、知らず知らずの内に何人か消されているとか、もしくは神隠しにあっているとか」
「…………お主、一体、それをどこで?」
「私のクランは皆が皆、臆病者ばかりの集まりです。自分達の身を守る為に常に情報収集を怠らず、危険なことやトラブルを先に察知して、それを回避しながら、今日まで存続してきたのです。よって、他の者達では知り得ない、それこそギルドマスターであらせられるブロンさんですら、知らないようなことまで知っているかもしれません。なので、今回の噂も情報収集をしている過程でどこか引っ掛かりを覚えたものを辿っていって、最終的にそこに辿り着いたという感じです」
「なるほどの。確かにお主らが抱える情報量は尋常ではなかったの。すまん。失念しておったわ」
「いえいえ」
「それでその噂とやら、なんじゃが…………実は半分が嘘で半分が本当なんじゃ」
「どういうことでしょうか?」
「内容はお主の言っておることで間違いはない。じゃが、噂レベルにまでは発展していないということじゃ。このことを知っておるのはお主らとワシを除けば、ほんの数名。末端のギルド職員や冒険者達には伏せている為、知らないはずじゃ。中途半端な情報でパニックになっても困るしの」
「なるほど」
「そう考えるとお主ら、"人猟役者"の情報網は相変わらず、凄いのぅ。まぁ、か弱き者や争いを好まない者が知恵を付けて、強者に対抗しようとするのは世の常。これも当然の結果じゃな」
「褒められているんだか、貶されているんだか…………」
「褒めておるんじゃよ。自分の強みや弱みを知って、ちゃんと対応策を用意しながら生きていくのはかなり難しいもんじゃ。誰でもできるものではない。それこそ、一朝一夕では不可能。かなりの年月と力量が求められるはずじゃ」
「なんか全てを見透かされているみたいで恥ずかしいですね。さすがはブロンさん」
「そんなことはない。ワシなんて、まだまだじゃよ。ワシよりも若くて、知謀に富み、戦いにおいても群を抜く者など沢山おるよ」
「へ~…………参考までにどなたか、お聞きしても?」
「そうじゃな。例えば……………最近でいうと現在、急成長中のクラン、"黒天の星"の面々とかかの」
「なるほど……………"黒天の星"」
クランメンバー全員を会議室に集めての会合。皆、どこか緊張感を漂わせながら、俺の言葉を聞いていた。そして、必要なことを全て伝え終え、俺とティア・サラしか居なくなった5分後である。あいつから、連絡があったのは。
――――――――――――――――――――
「おい、あれ見ろよ」
「ん?あいつらは確か………」
「ここフリーダムを拠点に活動しているBランククラン、"人猟役者"だ。あまり目立った行動をする奴らじゃないから、つい忘れがちになるが、今日までしぶとく生き残っていることから、実力は確かだな」
「そうそう。サンバードやフォートレス、守護団などの有名クランの陰に隠れがちでなんかイマイチ、パッとしないんだよな」
「ああ。だが、なんやかんや今日までやってこれているからな」
「あそこにいるメンバーで全員じゃないんだろ?」
「おそらく…………と言っても構成人数や詳しい素性などの情報があまり出回っていないらしく、ほとんどが謎に包まれているんだ」
「なんだ、それ。意味分かんねぇ」
「俺もそう思う」
「ブロンさん、お久しぶりでございます」
「おぉ、お主か!久しいのぅ」
「ええ。なんせ、スタンピード以来、お会いしていないですからね」
「それ以前にお主ら、あまり冒険者として活動しとらんじゃろ」
「それは痛い所を突かれましたね」
「クランとしては資金は潤沢な方が何かと都合がよいぞ。どれ、ここで出会ったのも何かの縁。ワシが適当な依頼を見繕ってやるぞよ?」
「……………いえ、今日はそんな気分でもないのでお断りさせて頂きます」
「どうしたんじゃ?何かあったのかの?」
「ええ。実は最近、あまり良くない噂を耳にしまして……………常に他者に怯え、日々を震えながら、過ごしている我々にはそれがたとえ噂であっても不安で不安で……………」
「なるほどのぅ……………良くない噂というと?」
「ここフリーダムに何か異変が起こっているんじゃないか?……………と。例えば、知らず知らずの内に何人か消されているとか、もしくは神隠しにあっているとか」
「…………お主、一体、それをどこで?」
「私のクランは皆が皆、臆病者ばかりの集まりです。自分達の身を守る為に常に情報収集を怠らず、危険なことやトラブルを先に察知して、それを回避しながら、今日まで存続してきたのです。よって、他の者達では知り得ない、それこそギルドマスターであらせられるブロンさんですら、知らないようなことまで知っているかもしれません。なので、今回の噂も情報収集をしている過程でどこか引っ掛かりを覚えたものを辿っていって、最終的にそこに辿り着いたという感じです」
「なるほどの。確かにお主らが抱える情報量は尋常ではなかったの。すまん。失念しておったわ」
「いえいえ」
「それでその噂とやら、なんじゃが…………実は半分が嘘で半分が本当なんじゃ」
「どういうことでしょうか?」
「内容はお主の言っておることで間違いはない。じゃが、噂レベルにまでは発展していないということじゃ。このことを知っておるのはお主らとワシを除けば、ほんの数名。末端のギルド職員や冒険者達には伏せている為、知らないはずじゃ。中途半端な情報でパニックになっても困るしの」
「なるほど」
「そう考えるとお主ら、"人猟役者"の情報網は相変わらず、凄いのぅ。まぁ、か弱き者や争いを好まない者が知恵を付けて、強者に対抗しようとするのは世の常。これも当然の結果じゃな」
「褒められているんだか、貶されているんだか…………」
「褒めておるんじゃよ。自分の強みや弱みを知って、ちゃんと対応策を用意しながら生きていくのはかなり難しいもんじゃ。誰でもできるものではない。それこそ、一朝一夕では不可能。かなりの年月と力量が求められるはずじゃ」
「なんか全てを見透かされているみたいで恥ずかしいですね。さすがはブロンさん」
「そんなことはない。ワシなんて、まだまだじゃよ。ワシよりも若くて、知謀に富み、戦いにおいても群を抜く者など沢山おるよ」
「へ~…………参考までにどなたか、お聞きしても?」
「そうじゃな。例えば……………最近でいうと現在、急成長中のクラン、"黒天の星"の面々とかかの」
「なるほど……………"黒天の星"」
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