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第11章 軍団戦争
第216話 不穏な動き
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とある組織の地下にある研究所。そこは
研究員を除けば、組織の中でも限られた
者しか立ち入ることが許されない秘密の
場所となっていた。全体的に暗くどんよ
りとしており、研究に使われる素材や道
具があちらこちらに散乱している。ま
た、中にはいくつか埃を被っているもの
もあり、かなり前から取り組んでいるの
か、紙にびっしりと文字が書き連ねてあ
った。室内に研究員は全部で10人程お
り、皆何かに取り憑かれでもしているの
か、ある一点を見つめながら一心不乱に
紙へとペンを走らせている………………と
そのうちの1人が徐に立ち上がり、扉へ
と近付いた。そして、次の瞬間、扉が勢
いよく開かれた。
「お待ちしておりました」
「どうだ?調子は」
「非常に順調でございます。やはり素体
が良かったのでしょう。皆、適合率が8
割を超えています」
「そんなにか。ならば、ひとまず第二段
階は成功といえるだろう。それにしても
お前もよくやるな。元とはいえ、仲間な
のだろう?」
「はい。だからこそです。僕があの組織
でスパイ活動をしている時に特に目を引
いたのが彼らだったので……………素体と
しては申し分ないですし、それに何より
彼らに対して情のようなものは一欠片も
ありません。これほど気兼ねなく没頭で
きる研究はないでしょう」
「お前に目をつけられた彼らも運が悪
い。いくら死人とはいえ、埋められてい
たところを掘り起こされて連れていかれ
るなど嘸かし気分が悪いことだろう」
「こいつらにはそんなのを感じる心がも
うありませんよ。死人に情無し。むし
ろ、僕の行いに感謝して欲しいぐらいで
すけどね。あのまま、ほっといても後は
大地の栄養となるだけしか能のない奴ら
を有効活用してあげようってんですか
ら。こいつらも最期の最後に華を持たせ
てもらって、嘸かし気分が良いことでし
ょう」
「お前のような奴を俺がいた国では墓荒
らしやマッドサイエンティストと呼んで
いた。そこまで振り切れるといっそ清々
しいな」
「お褒めに預かり光栄でございます」
「では引き続き、よろしく頼む。こちら
もそろそろ動き出すつもりなのでな」
「ええ。あの男は最後に詰めが甘くて失
敗しました。だから今度こそ、あの時よ
りももっと大きな絶望と恐怖を与えてや
りますよ」
「頼りにしているぞ、ズボラ」
――――――――――――――――――
「ようやく準備が整い、この日を迎える
ことができた」
とあるクランハウスの会議室。そこでは
複数のクランのマスターや幹部達が集ま
り、非常に緊張感が溢れていた。一部を
除いたほとんどの者が覚悟を決めた険し
い表情しており、この場の最高責任者で
ある男の方を見ながら、次の言葉を待っ
ている。
「事前に宣戦布告状を奴らに送りつけ、
俺達の意図は伝えてある。通常、何の理
由もなくいきなり事を起こすのはルール
違反だ。これで向こうも俺達を警戒する
ことだろう」
「そんな面倒なことせずに突然、やっち
ゃえばいいじゃないすっか」
「冒険者として生きていく上では最低
限、守らなきゃいけねぇルールってもん
があるんだ。自由にするのは構わないが
適当なのはダメだ」
「へ~い」
「結果がどうなろうがこの一件によっ
て、俺達の今後は大きく変わる。いくら
俺達の方が歴が長いとはいえ、油断は
するなよ。今までの奴らと同じと考え
ろ」
どこからともなく唾を飲み込む音が聞こ
えた。不安がる者、強気でいる者、余裕
綽々な態度の者……………皆、感じること
は様々ではあるがただ一つ共通している
ことがあった。それはこの最高責任者の
男を信じているということだった。
「今回のことで俺達の元を去っていった
者達もいる。俺はそいつらを責めはしな
い。人間、命あっての物種だ。恐怖は防
衛本能。何も悪いことじゃない」
男の言葉が部屋の隅々まで浸透し、周り
の者へ影響を与えていく。先程まで負の
感情が渦巻いていた者も不思議と元気が
湧いてくるかのようだった。
「ここにいる奴はもちろん、いない奴ら
の分まで俺は想いを背負って突っ込んで
いく………………最後に確認だ。お前ら、
俺と一緒に命賭けてみるか?」
「「「「「当然。最後までお供致しま
す!!!!!」」」」」
男は満足気に頷くと立ち上がって、こう
言った。
「じゃあ、いくぞ………………"黒の系譜
"をぶっ潰しに」
研究員を除けば、組織の中でも限られた
者しか立ち入ることが許されない秘密の
場所となっていた。全体的に暗くどんよ
りとしており、研究に使われる素材や道
具があちらこちらに散乱している。ま
た、中にはいくつか埃を被っているもの
もあり、かなり前から取り組んでいるの
か、紙にびっしりと文字が書き連ねてあ
った。室内に研究員は全部で10人程お
り、皆何かに取り憑かれでもしているの
か、ある一点を見つめながら一心不乱に
紙へとペンを走らせている………………と
そのうちの1人が徐に立ち上がり、扉へ
と近付いた。そして、次の瞬間、扉が勢
いよく開かれた。
「お待ちしておりました」
「どうだ?調子は」
「非常に順調でございます。やはり素体
が良かったのでしょう。皆、適合率が8
割を超えています」
「そんなにか。ならば、ひとまず第二段
階は成功といえるだろう。それにしても
お前もよくやるな。元とはいえ、仲間な
のだろう?」
「はい。だからこそです。僕があの組織
でスパイ活動をしている時に特に目を引
いたのが彼らだったので……………素体と
しては申し分ないですし、それに何より
彼らに対して情のようなものは一欠片も
ありません。これほど気兼ねなく没頭で
きる研究はないでしょう」
「お前に目をつけられた彼らも運が悪
い。いくら死人とはいえ、埋められてい
たところを掘り起こされて連れていかれ
るなど嘸かし気分が悪いことだろう」
「こいつらにはそんなのを感じる心がも
うありませんよ。死人に情無し。むし
ろ、僕の行いに感謝して欲しいぐらいで
すけどね。あのまま、ほっといても後は
大地の栄養となるだけしか能のない奴ら
を有効活用してあげようってんですか
ら。こいつらも最期の最後に華を持たせ
てもらって、嘸かし気分が良いことでし
ょう」
「お前のような奴を俺がいた国では墓荒
らしやマッドサイエンティストと呼んで
いた。そこまで振り切れるといっそ清々
しいな」
「お褒めに預かり光栄でございます」
「では引き続き、よろしく頼む。こちら
もそろそろ動き出すつもりなのでな」
「ええ。あの男は最後に詰めが甘くて失
敗しました。だから今度こそ、あの時よ
りももっと大きな絶望と恐怖を与えてや
りますよ」
「頼りにしているぞ、ズボラ」
――――――――――――――――――
「ようやく準備が整い、この日を迎える
ことができた」
とあるクランハウスの会議室。そこでは
複数のクランのマスターや幹部達が集ま
り、非常に緊張感が溢れていた。一部を
除いたほとんどの者が覚悟を決めた険し
い表情しており、この場の最高責任者で
ある男の方を見ながら、次の言葉を待っ
ている。
「事前に宣戦布告状を奴らに送りつけ、
俺達の意図は伝えてある。通常、何の理
由もなくいきなり事を起こすのはルール
違反だ。これで向こうも俺達を警戒する
ことだろう」
「そんな面倒なことせずに突然、やっち
ゃえばいいじゃないすっか」
「冒険者として生きていく上では最低
限、守らなきゃいけねぇルールってもん
があるんだ。自由にするのは構わないが
適当なのはダメだ」
「へ~い」
「結果がどうなろうがこの一件によっ
て、俺達の今後は大きく変わる。いくら
俺達の方が歴が長いとはいえ、油断は
するなよ。今までの奴らと同じと考え
ろ」
どこからともなく唾を飲み込む音が聞こ
えた。不安がる者、強気でいる者、余裕
綽々な態度の者……………皆、感じること
は様々ではあるがただ一つ共通している
ことがあった。それはこの最高責任者の
男を信じているということだった。
「今回のことで俺達の元を去っていった
者達もいる。俺はそいつらを責めはしな
い。人間、命あっての物種だ。恐怖は防
衛本能。何も悪いことじゃない」
男の言葉が部屋の隅々まで浸透し、周り
の者へ影響を与えていく。先程まで負の
感情が渦巻いていた者も不思議と元気が
湧いてくるかのようだった。
「ここにいる奴はもちろん、いない奴ら
の分まで俺は想いを背負って突っ込んで
いく………………最後に確認だ。お前ら、
俺と一緒に命賭けてみるか?」
「「「「「当然。最後までお供致しま
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