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第12章 vs聖義の剣
第247話 雲海
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"雲海"と呼ばれる男がいる。齢36に
して、現在はSSSランク冒険者として
活動しているその男は常に波乱の人生を
歩んできた。幼き頃から活発な少年でヤ
ンチャを繰り返しては周囲の者を困ら
せ、それに対して胸を痛める毎日を送っ
ていた。本人としても悪気があって、や
っていた訳ではない。しかし、いかんせ
ん少年の時分では湧き上がる衝動をコン
トロールする術が見つからなかったの
だ。結果として、野山を駆け回って魔物
退治の真似事をしたり、喧嘩を売ってき
た歳上の者に躊躇いもせず挑んでいった
り………………と様々なことをしては有り
余る力を発散させてきた。そんなことを
繰り返していたある日、母が亡くなっ
た。元々、身体が弱かった母は随分前か
ら病気を患っていたのだ。それは"産後
病"という子供を出産した母親がごく稀
に発症する原因不明の病だった。その確
率は1万に1人であり、一度罹ってしま
うと治すことができず、身体がどんどん
と弱っていき、やがては死に至るという
ものだった。ちなみに母親がその病に罹
っていることを彼は知っていた。母親は
隠し通しておこうとしたのだが、周りの
者が噂しているのを聞いてしまったの
だ。その事実を知って、彼は魔物退治で
金銭を稼ごうとしたり、歳上の者との賭
け喧嘩を行うようになったのである。彼
には回復魔法が使えなかった。病気を治
療してもらうには多額の治療費が要る。
そう思った彼はそれを稼ごうと毎日必死
になっていたのだ。母親の罹っている病
気が不治の病だとは知らず
に…………………。訃報はちょうど彼が山
に入ろうとした時、顔見知りの者が駆け
寄ってきて知らされた。どうやら、家の
床の上で力尽きていたらしい。近くには
手紙のようなものがあり、そこには彼に
対する深い愛情が詰まった言葉が無数に
書かれていた。それを読んだ彼は今まで
で一番泣き、ある決意をすることにな
る。それは冒険者になるというものであ
った。彼には物心付く頃から父親がいな
い。以前母親に理由を聞いたところ、冒
険者という危険な職業であちこち飛び回
っているらしい。それを不意に思い出し
た彼は奇しくも父親と同じ道を歩もうと
していた。彼は父親を恨んでいた。理由
はどうあれ、自分達を捨てて出て行った
碌でもない奴。母親は女手一つで自分を
育ててくれたが父親は一度も顔を見せる
ことなく、どこかへと消えていった。そ
んな奴のことなどこの先、考えることは
ないと思っていた。ところが、事情が変
わった。彼の中でいっぺん会って、ぶん
殴ってやりたいと思う程、腹が立ったの
だ。お前がいない間、どんな思いで自分
達が生きてきたか……………いや、最悪、
自分はまだいい。しかし、母は常に寂し
い表情をしていたのだ。お前のせいだ。
全部、お前のせいでこうなった。母
は……………お前が殺したんだ……………
と。それからの彼は冒険者になるべく準
備を整えた。身体を仕上げ、必要な知識
を習得し、真っ当な方法で金銭を稼ぐ。
それが約半年程続き、彼の中である程度
の目処が立ったところでそろそろ自分の
生まれ育った村を出る計画を立てた。冒
険者ギルドは村になく、隣街まで行かな
ければならなかったからだ。だが、そん
な矢先だった。またしても彼を更なる不
幸が襲う。それは村を出る前日のこと。
突然、村中に激しく鐘の音が鳴り響いた
かと思うと1匹の真紅に染まったドラゴ
ンが飛んできたのである。ドラゴンは村
の中へと降り立つと何の躊躇いもなく、
罪のない村人達を襲いまくった。口から
炎を吐いて焼き払ったり、強靭な尻尾で
薙ぎ払ったり、鋭い爪で切り裂いたりと
それはそれは惨憺たる光景が目の前で繰
り広げられていた。とはいえ、村人達も
ただ指を咥えて目の前の惨事を見ていた
訳ではない。一応、何人かの村人達が剣
や斧をドラゴンへ向かって振り下ろした
のだが、いかんせん皮膚が想像以上に硬
く、弾かれて終わるだけだった。この
時、その現場のすぐ近くにいた"雲海
"…………クラウド少年はただただ震え
て見ていることしかできなかった。自分
がこれからなろうとしている冒険者とは
こういった魔物から人々を守る職業だ。
だから、その為にこの半年間、準備に準
備を重ねてきた。しかし、現実はどう
か。いくらイメージトレーニングを積
み、身体を鍛えようが実際にこうして強
大な魔物を目の当たりにすると身体が震
えるだけで何もできない。恐怖で動くこ
ともできずに仲間達がやられていくのを
ただ黙って見ていることしかできない。
なんて自分は弱虫でちっぽけなんだ。一
体何の為の半年間だったんだ………………
彼は自己嫌悪と悔しさで涙が止まらず、
ずっとその場で歯を食い縛っていた。そ
して、それはドラゴンが彼以外の村人達
を全員亡き者にするまで続いた。
辺りが火の海に包まれ、生存者がほとん
どいなくなった村を見渡して満足そうに
唸るドラゴン。と、ドラゴンはここでま
だ1人だけ残っていることに気が付い
た。それはまだ幼い少年で物陰に隠れな
がら、嗚咽を漏らし身体を震わせてい
た。少年はドラゴンからすれば、この村
の中で最もか弱き生物だった。立ち向か
ってきたり、逃げ惑っていたりと死に抗
い、生に執着する者はまだいい。ところ
が、それすらも放棄し、目の前で起こっ
た非情な現実を諦めて受け入れ、ただた
だ立ち止まっていることしかできない者
は愚かであると感じたドラゴンはつまら
ないものを見たと言わんばかりの態度で
少年へ向けておざなりに尻尾を振るっ
た……………のだが、それは小さな身体へ
と届く寸前で思わぬ邪魔が入ったことに
より、不発に終わってしまう。
「"重力"」
「ぐおおおっ~!?」
突然、少年の真横で声が聞こえたかと思
うとドラゴンの尻尾は地面へと張り付け
られたかのように動かなくなってしまっ
た。このあまりに急な出来事にひどく驚
いた少年は恐る恐る、その原因となった
であろう人物を見ようと視線を横へと移
動させていった。するとそこにいたの
は……………
「っ!?」
この世界ではまず目にすることのない黒
髪黒眼の男だった。歳はおおよそ30代
半ば~40代程か。長身であり、引き締
まった肉体と鋭い眼光を持ち合わせ、漂
う雰囲気からして只者ではない。しか
し、それに反して服装はだいぶ質素な
ものだった。白いヨレヨレのシャツに生
地の薄いズボン、ボロボロの靴といった
軽装備で今しがたドラゴンの攻撃をいな
したのと同一人物だとは到底思えない。
本当にこの男がドラゴンの一撃から自分
を救ってくれたのだろうか……………少年
は疑念を抱きつつもとりあえず、お礼を
言おうと口を開いた。
「あ、あの、助けてくれてあり
が……………」
「坊主」
「ふぁ、ふぁい!?」
ところが、途中で男の言葉によって遮ら
れてしまい、伝えることができなかっ
た。さらに少年はまさか、男の方から話
し掛けてくるとは思わなかった為、また
してもひどく驚いてしまった。一方、そ
んな様子を少しも気にすることなく、男
は話を続けた。
「お前、助かりたいか?」
「えっ!?」
その問い掛けはシンプルではあるもの
の、とても重厚感を漂わせるものだっ
た。それこそ少年の答え方次第ではこの
先の展開が大きく変わってしまう程の。
「その歳で一丁前にしけた面してんじゃ
ねぇ。言っておくがな、魔物という危険
と常に隣り合わせなこの世界ではこんな
こと日常茶飯事だ。そればかりか、そこ
には人の悪意ってものも乗っかってく
る。こうしてる今もどっかで知らねぇ奴
が泣いてんだ。まさか、お前………………こんなことで死ぬ気じゃねぇよな?」
「っ!?あ、あのっ、そのっ……………」
少年は口の中が渇く思いをした。別に感
動した訳でも恐れをなした訳でもない。
単純に核心をつかれ、気圧されてしまっ
たのだ。何故、会ったばかりの男に自分
の今の状態が分かるのか。そればかり
か、この男は世界中でこのようなことが
起こっているのをまるで見てきたかのよ
うだった。もしかしたら、この人こそ、
自分が目指す冒険者の中の冒険者なのか
もしれない。そう思った少年は居ても立
っても居られず、早口で捲し立てた。
「あのっ!も、もしかして、おじさんは
冒険者なのか?」
「ん?そうだが……………目上の者に対す
る口の利き方がなっちゃいねぇな。そん
なんじゃ、苦労するぞ」
「えっ!?あ、す、すいま」
「だが、冒険者はそのくらいでちょうど
いい。なんせ仕事柄、舐められたらやっ
ていけねぇ。まずはなんでも形からだ。
それが坊主にとっては口調ってんなら、
責めやしねぇぜ」
「あっ!?ありがとうございます!!」
「おい、持ち味を早速消してんじゃね
ぇ!別に俺の前でくらいは普通にしてろ
よ」
「えっ……………で、でも」
「まぁ、いいか。それよりも坊主」
「?」
「答えは決まったか?」
「っ!?は、はい!!」
「じゃあ早速聞かせてくれ」
「ぼ、僕……………俺は助かりたい!こん
なところで死ぬ訳にはいかないんだ!俺
は困っている人を救う冒険者になってや
る!もうこんなことは二度とゴメン
だ!!だ、だから……………助けてくれ
よ、おじさん!!」
「了解。だが、1つ言っておく。俺は"
おじさん"って名前じゃねぇ。俺の名前
は……………」
男は自分の名を告げながら、その場から
動くことのできないドラゴンへと向かっ
ていった。その後に起きたドラゴンとの
闘いを少年はこの先も忘れることはない
だろうと確信に近い想いを抱きつつ、見
ていた。そして、これが………………クラ
ン"箱舟"のクランマスターと後にSS
Sランク冒険者にまで登り詰める少年と
の最初の出会いだった。
して、現在はSSSランク冒険者として
活動しているその男は常に波乱の人生を
歩んできた。幼き頃から活発な少年でヤ
ンチャを繰り返しては周囲の者を困ら
せ、それに対して胸を痛める毎日を送っ
ていた。本人としても悪気があって、や
っていた訳ではない。しかし、いかんせ
ん少年の時分では湧き上がる衝動をコン
トロールする術が見つからなかったの
だ。結果として、野山を駆け回って魔物
退治の真似事をしたり、喧嘩を売ってき
た歳上の者に躊躇いもせず挑んでいった
り………………と様々なことをしては有り
余る力を発散させてきた。そんなことを
繰り返していたある日、母が亡くなっ
た。元々、身体が弱かった母は随分前か
ら病気を患っていたのだ。それは"産後
病"という子供を出産した母親がごく稀
に発症する原因不明の病だった。その確
率は1万に1人であり、一度罹ってしま
うと治すことができず、身体がどんどん
と弱っていき、やがては死に至るという
ものだった。ちなみに母親がその病に罹
っていることを彼は知っていた。母親は
隠し通しておこうとしたのだが、周りの
者が噂しているのを聞いてしまったの
だ。その事実を知って、彼は魔物退治で
金銭を稼ごうとしたり、歳上の者との賭
け喧嘩を行うようになったのである。彼
には回復魔法が使えなかった。病気を治
療してもらうには多額の治療費が要る。
そう思った彼はそれを稼ごうと毎日必死
になっていたのだ。母親の罹っている病
気が不治の病だとは知らず
に…………………。訃報はちょうど彼が山
に入ろうとした時、顔見知りの者が駆け
寄ってきて知らされた。どうやら、家の
床の上で力尽きていたらしい。近くには
手紙のようなものがあり、そこには彼に
対する深い愛情が詰まった言葉が無数に
書かれていた。それを読んだ彼は今まで
で一番泣き、ある決意をすることにな
る。それは冒険者になるというものであ
った。彼には物心付く頃から父親がいな
い。以前母親に理由を聞いたところ、冒
険者という危険な職業であちこち飛び回
っているらしい。それを不意に思い出し
た彼は奇しくも父親と同じ道を歩もうと
していた。彼は父親を恨んでいた。理由
はどうあれ、自分達を捨てて出て行った
碌でもない奴。母親は女手一つで自分を
育ててくれたが父親は一度も顔を見せる
ことなく、どこかへと消えていった。そ
んな奴のことなどこの先、考えることは
ないと思っていた。ところが、事情が変
わった。彼の中でいっぺん会って、ぶん
殴ってやりたいと思う程、腹が立ったの
だ。お前がいない間、どんな思いで自分
達が生きてきたか……………いや、最悪、
自分はまだいい。しかし、母は常に寂し
い表情をしていたのだ。お前のせいだ。
全部、お前のせいでこうなった。母
は……………お前が殺したんだ……………
と。それからの彼は冒険者になるべく準
備を整えた。身体を仕上げ、必要な知識
を習得し、真っ当な方法で金銭を稼ぐ。
それが約半年程続き、彼の中である程度
の目処が立ったところでそろそろ自分の
生まれ育った村を出る計画を立てた。冒
険者ギルドは村になく、隣街まで行かな
ければならなかったからだ。だが、そん
な矢先だった。またしても彼を更なる不
幸が襲う。それは村を出る前日のこと。
突然、村中に激しく鐘の音が鳴り響いた
かと思うと1匹の真紅に染まったドラゴ
ンが飛んできたのである。ドラゴンは村
の中へと降り立つと何の躊躇いもなく、
罪のない村人達を襲いまくった。口から
炎を吐いて焼き払ったり、強靭な尻尾で
薙ぎ払ったり、鋭い爪で切り裂いたりと
それはそれは惨憺たる光景が目の前で繰
り広げられていた。とはいえ、村人達も
ただ指を咥えて目の前の惨事を見ていた
訳ではない。一応、何人かの村人達が剣
や斧をドラゴンへ向かって振り下ろした
のだが、いかんせん皮膚が想像以上に硬
く、弾かれて終わるだけだった。この
時、その現場のすぐ近くにいた"雲海
"…………クラウド少年はただただ震え
て見ていることしかできなかった。自分
がこれからなろうとしている冒険者とは
こういった魔物から人々を守る職業だ。
だから、その為にこの半年間、準備に準
備を重ねてきた。しかし、現実はどう
か。いくらイメージトレーニングを積
み、身体を鍛えようが実際にこうして強
大な魔物を目の当たりにすると身体が震
えるだけで何もできない。恐怖で動くこ
ともできずに仲間達がやられていくのを
ただ黙って見ていることしかできない。
なんて自分は弱虫でちっぽけなんだ。一
体何の為の半年間だったんだ………………
彼は自己嫌悪と悔しさで涙が止まらず、
ずっとその場で歯を食い縛っていた。そ
して、それはドラゴンが彼以外の村人達
を全員亡き者にするまで続いた。
辺りが火の海に包まれ、生存者がほとん
どいなくなった村を見渡して満足そうに
唸るドラゴン。と、ドラゴンはここでま
だ1人だけ残っていることに気が付い
た。それはまだ幼い少年で物陰に隠れな
がら、嗚咽を漏らし身体を震わせてい
た。少年はドラゴンからすれば、この村
の中で最もか弱き生物だった。立ち向か
ってきたり、逃げ惑っていたりと死に抗
い、生に執着する者はまだいい。ところ
が、それすらも放棄し、目の前で起こっ
た非情な現実を諦めて受け入れ、ただた
だ立ち止まっていることしかできない者
は愚かであると感じたドラゴンはつまら
ないものを見たと言わんばかりの態度で
少年へ向けておざなりに尻尾を振るっ
た……………のだが、それは小さな身体へ
と届く寸前で思わぬ邪魔が入ったことに
より、不発に終わってしまう。
「"重力"」
「ぐおおおっ~!?」
突然、少年の真横で声が聞こえたかと思
うとドラゴンの尻尾は地面へと張り付け
られたかのように動かなくなってしまっ
た。このあまりに急な出来事にひどく驚
いた少年は恐る恐る、その原因となった
であろう人物を見ようと視線を横へと移
動させていった。するとそこにいたの
は……………
「っ!?」
この世界ではまず目にすることのない黒
髪黒眼の男だった。歳はおおよそ30代
半ば~40代程か。長身であり、引き締
まった肉体と鋭い眼光を持ち合わせ、漂
う雰囲気からして只者ではない。しか
し、それに反して服装はだいぶ質素な
ものだった。白いヨレヨレのシャツに生
地の薄いズボン、ボロボロの靴といった
軽装備で今しがたドラゴンの攻撃をいな
したのと同一人物だとは到底思えない。
本当にこの男がドラゴンの一撃から自分
を救ってくれたのだろうか……………少年
は疑念を抱きつつもとりあえず、お礼を
言おうと口を開いた。
「あ、あの、助けてくれてあり
が……………」
「坊主」
「ふぁ、ふぁい!?」
ところが、途中で男の言葉によって遮ら
れてしまい、伝えることができなかっ
た。さらに少年はまさか、男の方から話
し掛けてくるとは思わなかった為、また
してもひどく驚いてしまった。一方、そ
んな様子を少しも気にすることなく、男
は話を続けた。
「お前、助かりたいか?」
「えっ!?」
その問い掛けはシンプルではあるもの
の、とても重厚感を漂わせるものだっ
た。それこそ少年の答え方次第ではこの
先の展開が大きく変わってしまう程の。
「その歳で一丁前にしけた面してんじゃ
ねぇ。言っておくがな、魔物という危険
と常に隣り合わせなこの世界ではこんな
こと日常茶飯事だ。そればかりか、そこ
には人の悪意ってものも乗っかってく
る。こうしてる今もどっかで知らねぇ奴
が泣いてんだ。まさか、お前………………こんなことで死ぬ気じゃねぇよな?」
「っ!?あ、あのっ、そのっ……………」
少年は口の中が渇く思いをした。別に感
動した訳でも恐れをなした訳でもない。
単純に核心をつかれ、気圧されてしまっ
たのだ。何故、会ったばかりの男に自分
の今の状態が分かるのか。そればかり
か、この男は世界中でこのようなことが
起こっているのをまるで見てきたかのよ
うだった。もしかしたら、この人こそ、
自分が目指す冒険者の中の冒険者なのか
もしれない。そう思った少年は居ても立
っても居られず、早口で捲し立てた。
「あのっ!も、もしかして、おじさんは
冒険者なのか?」
「ん?そうだが……………目上の者に対す
る口の利き方がなっちゃいねぇな。そん
なんじゃ、苦労するぞ」
「えっ!?あ、す、すいま」
「だが、冒険者はそのくらいでちょうど
いい。なんせ仕事柄、舐められたらやっ
ていけねぇ。まずはなんでも形からだ。
それが坊主にとっては口調ってんなら、
責めやしねぇぜ」
「あっ!?ありがとうございます!!」
「おい、持ち味を早速消してんじゃね
ぇ!別に俺の前でくらいは普通にしてろ
よ」
「えっ……………で、でも」
「まぁ、いいか。それよりも坊主」
「?」
「答えは決まったか?」
「っ!?は、はい!!」
「じゃあ早速聞かせてくれ」
「ぼ、僕……………俺は助かりたい!こん
なところで死ぬ訳にはいかないんだ!俺
は困っている人を救う冒険者になってや
る!もうこんなことは二度とゴメン
だ!!だ、だから……………助けてくれ
よ、おじさん!!」
「了解。だが、1つ言っておく。俺は"
おじさん"って名前じゃねぇ。俺の名前
は……………」
男は自分の名を告げながら、その場から
動くことのできないドラゴンへと向かっ
ていった。その後に起きたドラゴンとの
闘いを少年はこの先も忘れることはない
だろうと確信に近い想いを抱きつつ、見
ていた。そして、これが………………クラ
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