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第15章 親子喧嘩
第345話 天界
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「本当にいいんだな?」
「もちろんです」
「一度向こうに行ったら、もう二度とこ
っちには戻ってこれないかもしれないん
だぞ」
「私達は常にあなたと共にあります。そ
の覚悟もできております。それ
に……………まさかとは思いますが、こっ
ちに可愛い可愛いクランメンバー達を残
したまま、二度と戻らないなんてことは
ないですよね?」
「そ、そうだな」
笑顔で圧力をかけてくるティアに顔が引
き攣りながら答えるシンヤ。あの会議室
での一件から、既に1週間が経過してお
り、その間に仕事の引き継ぎや処理しな
ければならない事項を全て完遂させたシ
ンヤ達は現在、クランハウスの入口前に
いた。周囲にはクランの全メンバーが集
まっており、皆が祈るような気持ちで見
送ろうとしていた………………と、そんな
中でクーフォが一歩前へと進み出た。
「俺達がいない間、皆を頼んだぞクーフ
ォ」
「はい。皆様もどうかお気をつけて」
「新婚早々、時間を取れなくて悪いな」
「何を仰います。私達もそうですが、お義母様のことも大事です」
「…………そうか。ありがとう。やっぱ
り、お前は優しいな」
「っ!?い、いえ!!私なんて」
「お前が俺の妻で良かった」
「っ!?ええっ!?い、今なんて」
「じゃあな。行ってくる」
「「「「「行ってらっしゃ
い!!!!!」」」」」
「ええっ!?ち、ちょっと!!て、展開
が早すぎるんだけど!?」
約1名、混乱する者がいたがシンヤは気
にせず、自身のステータスを表示し、"
レベル限界に達しました。最終進化へ移
行しますか?"という問いに……………
「俺の答えはとっくに決まっている」
"はい"を選択した。
―――――――――――――――――――――
シンヤが"はい"を選択した瞬間、突然
意識がなくなり、気が付いた時には彼ら
はどこもかしこも真っ白な空間の中にい
た。
「ここは……………」
そこはシンヤが今さっきまでいた世界で
もましてや元いた世界でもない、全く理
の違うどこかだった。見れば、ティア達
は自分達が普段過ごしている世界の空気
とは圧倒的に違うものを感じているの
か、身体が無意識のうちに震えていた。
一方のシンヤはまるでそこがホームであ
るかのように不思議としっくりときてい
た為、冷静に周囲へと視線を配ってい
た。
「ようこそ、天界へ………………待ってい
たわ、シンヤ」
すると、どこからか急に声が聞こえてき
た。それによって、シンヤ達は咄嗟に声
の聞こえてきた方向を見た。
「そちらの方々がシンヤのお仲間ね」
そこにいたのは絶世の美女だった。艶や
かな長い黒髪に大きな瞳、鼻筋はくっき
りと通り、誰がどう見ても美人だと分か
る程だった。
「気安く名前を呼ぶな、クソババア」
しかし、シンヤはそんなの知ったことか
と強気に打って出た。
「クソっ!?そ、そんなっ!?私のシン
ヤちゃんが反抗期に!?」
「黙れ。俺はお前のものじゃない」
「な、なんてこと…………あんなに可愛い
シンヤちゃんがそんな」
「知った風な口をきくな。お前が俺の何
を知ってる?」
「知っているわよ!!だってだっ
て………………ここから、ずっとあなたの
ことを見ていたんだから!!」
しまいには泣き出しながら、シンヤの足
に縋り付いてくる女。シンヤはそれを鬱
陶しいと思いながらも特に振り払うこと
はせず、口を開いた。
「夫婦揃って、やってることがストーカ
ーかよ。どうしようもないな」
「過保護と言って~~!!もしくは子離
れできない女の子とか!!」
「女の子?」
「何?」
「……………いや、何でもない」
一瞬だけ鋭い眼光を向けてきた女に軽く
冷や汗を流しながら答えるシンヤ。どう
やら、シンヤにとって両親とは常に自分
のペースを狂わせてくる存在らしく、若
干のやりづらさがあった。
「……………こほんっ!!ごめんなさい
ね。多少、お見苦しい姿をお見せしてし
まって」
「多少どころじゃないけどな」
泣きじゃくる女がシンヤの足を解放した
のはそこから10分程が経ってからだっ
た。いい加減、我慢の限界を迎えたシン
ヤが自身を蹴り飛ばそうとする様子を察
知した女はそのタイミングでパッと離
れ、何事もなかったかのように立ち上が
ったのだ。
「と・に・か・く!!こうして、会いに
来てくれて本当に嬉しいわ!!ありがと
う!!」
「いちいち言い方が腹立つな。それに会
いに来るように仕向けておいて、何を言
ってんだ?」
「えぇ~っと…………何のことかしら?
私、よく分かんな~い」
「いい歳こいたババアが気色の悪い言い
方すんな。虫唾が走るわ」
「ちょっ!?シンヤちゃん!!その呼び
方はやめなさい!!ちゃんと"お母さん
"もしくは"お母様"……………あ~、"
ママ"って手もあるか」
「ある訳ねぇだろ。現実見ろ」
「あ~ん!!シンヤちゃんがお袋をいじ
めるよ~!!」
「自分でちゃんとした呼び方、提示して
んじゃねぇか……………あと、次に俺のこ
とをそんな呼び方したら、沈めるから
な?」
「どこに?ミシシッピ川?」
「どこ選んでるんだよ。それだと相場は
東京湾とかだろ………………ってか、俺の
元いた世界の川を知ってるってことはお
前はやっぱり……………」
「ええ」
そこで急に居住まいを正した女はこう告
げた。
「私はあなたの母、堀十奈…………………またの名を"運の女神フォルトゥーナ"と申します」
「もちろんです」
「一度向こうに行ったら、もう二度とこ
っちには戻ってこれないかもしれないん
だぞ」
「私達は常にあなたと共にあります。そ
の覚悟もできております。それ
に……………まさかとは思いますが、こっ
ちに可愛い可愛いクランメンバー達を残
したまま、二度と戻らないなんてことは
ないですよね?」
「そ、そうだな」
笑顔で圧力をかけてくるティアに顔が引
き攣りながら答えるシンヤ。あの会議室
での一件から、既に1週間が経過してお
り、その間に仕事の引き継ぎや処理しな
ければならない事項を全て完遂させたシ
ンヤ達は現在、クランハウスの入口前に
いた。周囲にはクランの全メンバーが集
まっており、皆が祈るような気持ちで見
送ろうとしていた………………と、そんな
中でクーフォが一歩前へと進み出た。
「俺達がいない間、皆を頼んだぞクーフ
ォ」
「はい。皆様もどうかお気をつけて」
「新婚早々、時間を取れなくて悪いな」
「何を仰います。私達もそうですが、お義母様のことも大事です」
「…………そうか。ありがとう。やっぱ
り、お前は優しいな」
「っ!?い、いえ!!私なんて」
「お前が俺の妻で良かった」
「っ!?ええっ!?い、今なんて」
「じゃあな。行ってくる」
「「「「「行ってらっしゃ
い!!!!!」」」」」
「ええっ!?ち、ちょっと!!て、展開
が早すぎるんだけど!?」
約1名、混乱する者がいたがシンヤは気
にせず、自身のステータスを表示し、"
レベル限界に達しました。最終進化へ移
行しますか?"という問いに……………
「俺の答えはとっくに決まっている」
"はい"を選択した。
―――――――――――――――――――――
シンヤが"はい"を選択した瞬間、突然
意識がなくなり、気が付いた時には彼ら
はどこもかしこも真っ白な空間の中にい
た。
「ここは……………」
そこはシンヤが今さっきまでいた世界で
もましてや元いた世界でもない、全く理
の違うどこかだった。見れば、ティア達
は自分達が普段過ごしている世界の空気
とは圧倒的に違うものを感じているの
か、身体が無意識のうちに震えていた。
一方のシンヤはまるでそこがホームであ
るかのように不思議としっくりときてい
た為、冷静に周囲へと視線を配ってい
た。
「ようこそ、天界へ………………待ってい
たわ、シンヤ」
すると、どこからか急に声が聞こえてき
た。それによって、シンヤ達は咄嗟に声
の聞こえてきた方向を見た。
「そちらの方々がシンヤのお仲間ね」
そこにいたのは絶世の美女だった。艶や
かな長い黒髪に大きな瞳、鼻筋はくっき
りと通り、誰がどう見ても美人だと分か
る程だった。
「気安く名前を呼ぶな、クソババア」
しかし、シンヤはそんなの知ったことか
と強気に打って出た。
「クソっ!?そ、そんなっ!?私のシン
ヤちゃんが反抗期に!?」
「黙れ。俺はお前のものじゃない」
「な、なんてこと…………あんなに可愛い
シンヤちゃんがそんな」
「知った風な口をきくな。お前が俺の何
を知ってる?」
「知っているわよ!!だってだっ
て………………ここから、ずっとあなたの
ことを見ていたんだから!!」
しまいには泣き出しながら、シンヤの足
に縋り付いてくる女。シンヤはそれを鬱
陶しいと思いながらも特に振り払うこと
はせず、口を開いた。
「夫婦揃って、やってることがストーカ
ーかよ。どうしようもないな」
「過保護と言って~~!!もしくは子離
れできない女の子とか!!」
「女の子?」
「何?」
「……………いや、何でもない」
一瞬だけ鋭い眼光を向けてきた女に軽く
冷や汗を流しながら答えるシンヤ。どう
やら、シンヤにとって両親とは常に自分
のペースを狂わせてくる存在らしく、若
干のやりづらさがあった。
「……………こほんっ!!ごめんなさい
ね。多少、お見苦しい姿をお見せしてし
まって」
「多少どころじゃないけどな」
泣きじゃくる女がシンヤの足を解放した
のはそこから10分程が経ってからだっ
た。いい加減、我慢の限界を迎えたシン
ヤが自身を蹴り飛ばそうとする様子を察
知した女はそのタイミングでパッと離
れ、何事もなかったかのように立ち上が
ったのだ。
「と・に・か・く!!こうして、会いに
来てくれて本当に嬉しいわ!!ありがと
う!!」
「いちいち言い方が腹立つな。それに会
いに来るように仕向けておいて、何を言
ってんだ?」
「えぇ~っと…………何のことかしら?
私、よく分かんな~い」
「いい歳こいたババアが気色の悪い言い
方すんな。虫唾が走るわ」
「ちょっ!?シンヤちゃん!!その呼び
方はやめなさい!!ちゃんと"お母さん
"もしくは"お母様"……………あ~、"
ママ"って手もあるか」
「ある訳ねぇだろ。現実見ろ」
「あ~ん!!シンヤちゃんがお袋をいじ
めるよ~!!」
「自分でちゃんとした呼び方、提示して
んじゃねぇか……………あと、次に俺のこ
とをそんな呼び方したら、沈めるから
な?」
「どこに?ミシシッピ川?」
「どこ選んでるんだよ。それだと相場は
東京湾とかだろ………………ってか、俺の
元いた世界の川を知ってるってことはお
前はやっぱり……………」
「ええ」
そこで急に居住まいを正した女はこう告
げた。
「私はあなたの母、堀十奈…………………またの名を"運の女神フォルトゥーナ"と申します」
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