【完結】社長、俺のこと好きすぎじゃないですか?―キスから始まる溺愛オフィス―

砂原紗藍

文字の大きさ
16 / 24

16.翔の本気

しおりを挟む
会議が終わって、二人きりになった。

「颯真」

翔が俺の手を取った。

「もう嫌がらせはない」
「……うん」
「颯真」

翔は俺の顎を掴んで、顔を上げさせた。

「あの手紙に書いてあったこと、全部嘘だ」
「……」
「お前は気持ち悪くない。化け物でもない」

翔の目が、俺を見つめる。

「お前は綺麗だよ」
「翔……」
「見た目で媚びたなんて、絶対に違う」

翔は真剣な目で言った。

「お前の人柄に、俺が惹かれたんだ」
「ごめん……俺、また……」
「謝らなくていい」

翔は俺をぎゅっと抱きしめた。

「辛かっただろ。一人で耐えて」
「……うん」
「もう大丈夫。俺が守るから」

翔は俺の髪を撫でてくれた。
この人の優しさは、出会った時からずっと変わらない。

「お前は俺の大切な人だよ」

俺は翔の胸で、静かに泣いていた。


――翌日。

翔は全社員にメールを送った。

件名:ハラスメントに関する重要通達

社員各位

先日、社内でハラスメント行為が発覚した。
特定の社員に対する誹謗中傷、差別的嫌がらせ。
当社は、いかなる差別も許さない。
性別、人種、外見、性的指向。
あらゆる属性に基づく差別やハラスメントは、厳格に対処する。
該当社員には懲戒処分を科した。
全社員は多様性を尊重し、互いに敬意を持って働くこと。
問題があれば、すぐに人事部または私に報告するように。

黒崎翔


このメールを見た社員たちは、翔の本気を理解した。

「藤堂さん、大丈夫でしたか?」

同僚が心配そうに声をかけてくれる。

「はい……ありがとうございます」

周りの優しさに、胸が温かくなった。


その夜、翔のマンションで二人で夕食を取っていた。

「本当に大丈夫か」
「はい。翔のおかげで」
「そうか」

翔はホッとしたように息を吐いた。

食事が終わって、ソファでくつろいでいると、翔が俺を抱き寄せた。

「颯真」
「はい?」
「俺、お前のこと守りたい」

翔は真剣に言った。

「お前を傷つける奴がいたら、許さない」
「翔……」
「でも、お前が強いってことも知ってる」

翔は俺の髪を撫でた。

「一人で耐えて、それでも笑顔でいようとして」
「……」
「そんなお前が、誇らしい」

翔は俺を見つめた。

「だから、これからは一緒に戦おう」
「一緒に……」
「ああ。お前一人じゃない。俺がいるから」

翔は俺の額にキスを落とした。

「ずっと、側にいる」
「ありがとう……」
「こちらこそ」

翔は俺を抱きしめた。

「颯真……今夜、このまま帰したくない」
「翔……」
「無理にとは言わない。でも……離れたくない。一緒にいてくれる?」

胸が熱くてドキドキする。
逃げたい不安なんて、もう一つもなかった。

「俺も、一緒にいたい……です」

そう言った途端、翔の目が甘く揺れた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

溺愛じゃおさまらない

すずかけあおい
BL
上司の陽介と付き合っている誠也。 どろどろに愛されているけれど―――。 〔攻め〕市川 陽介(いちかわ ようすけ)34歳 〔受け〕大野 誠也(おおの せいや)26歳

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

オメガ大学生、溺愛アルファ社長に囲い込まれました

こたま
BL
あっ!脇道から出てきたハイヤーが僕の自転車の前輪にぶつかり、転倒してしまった。ハイヤーの後部座席に乗っていたのは若いアルファの社長である東条秀之だった。大学生の木村千尋は病院の特別室に入院し怪我の治療を受けた。退院の時期になったらなぜか自宅ではなく社長宅でお世話になることに。溺愛アルファ×可愛いオメガのハッピーエンドBLです。読んで頂きありがとうございます。今後随時追加更新するかもしれません。

若さまは敵の常勝将軍を妻にしたい

雲丹はち
BL
年下の宿敵に戦場で一目惚れされ、気づいたらお持ち帰りされてた将軍が、一週間の時間をかけて、たっぷり溺愛される話。

付き合っているのに喧嘩ばかり。俺から別れを言わなければならないとさよならを告げたが実は想い合ってた話。

雨宮里玖
BL
サラリーマン×サラリーマン 《あらすじ》 恋人になってもうすぐ三年。でも二人の関係は既に破綻している。最近は喧嘩ばかりで恋人らしいこともしていない。お互いのためにもこの関係を終わらせなければならないと陸斗は大河に別れを告げる——。 如月大河(26)営業部。陸斗の恋人。 小林陸斗(26)総務部。大河の恋人。 春希(26)大河の大学友人。 新井(27)大河と陸斗の同僚。イケメン。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

処理中です...