【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。

しろねこ。

文字の大きさ
39 / 70

第39話 手にしたからには(リヴィオ視点)

しおりを挟む
「私と結婚して欲しいの」
 とうとうエカテリーナ様の熱意に押される形で承諾してしまった。

 いや、断る度に悲しそうな顔をされるのが堪えたのが大きい。

 俺では不釣り合いだと話し、何度もお断りしたのだが、何度も「あなたがいい」話されれば絆されるものだ。

 それに大事なエカテリーナ様の顔に傷を付けてしまった事や、ローシュを諫めきれなかった負い目もある。

 元より慕っていた相手からの告白に心が揺らがないわけもなく、ふらりと傾いた事が幸いしたのか災いとなったのか……エカテリーナ様との婚約を承諾し、長年の思いを告白をしたその時から、世界は一変した。

 意外と多くの方から祝福を頂けて、そしてカルロス様からも盛大なお祝いを頂く事になる。

 これは王家もこの婚約に賛成しているというパフォーマンスの為だ。

(国王陛下は了承したのだろうか?)
 どうにも国王陛下とカルロス様の考えには齟齬があるように感じられた。

 国王陛下は最後まで婚約解消に難色を示していたが、カルロス様は寧ろこうして力を貸してくれる。

 ここまで話が大きくなっては、今更陛下が何を言おうと撤回は出来ない。
 おかげで間に入ろうとする者が大幅に減った。

 感謝してもし足りない。

 ここまでして頂いたのだから何が何でも俺は俺の姫を幸せにしなくては。

 例え辛い事があろうと、今後は以前以上に頑張らないとと改めて誓う。

 うだつの上がらない子爵家次男から、侯爵家の一人として知識と教養を身につけるようにと言われる。

 今はまだ侯爵家で一緒に過ごしているが、将来的には近くに別世帯を持ち、エカテリーナ様のお兄様を手助けするようにと命じられた。

 大切な妹と離れて暮らすのを良しとしない侯爵家の面々の強い希望が感じられ、何だか親離れをしていないようで、些か気恥ずかしいが気持ちはわかる。

 今までが危険に所に居過ぎたのだから、これからは守ってあげたいという望みがあるのだ。

 侯爵様がこぼしていた、魔法なぞ使えなければと。

「あのような力があったから、エカテリーナは望まぬ婚約をさせられ、人も殺めさせられた」
 本当ならば娘には普通の幸せを掴んで欲しかったと。

 なまじ魔法なんて使えたから、能力の低い第二王子の婚約者につけられ、護衛の代わりに襲撃者から守らなければならない役割を担わされた。

 人を殺して平気なわけではない。

 王家には言わなかったが、最初に人を殺めてしまった後、エカテリーナ様は数日寝込むほどのショックを受けていたそうだ。

 そこからエカテリーナ様は表情を殺す事が増え、ローシュの婚約者を完璧に務めようとますます努力したそうだ。

「自分の心を守るためだろうな。第二王子の婚約者だから、彼を守るために命を奪う事になっても仕方がないと」
 侯爵様の話に涙が出そうだ。

 そうだ、普通の少女が人を傷つけて、命を奪って平気でいられるわけがない。

 常に落ち着いた態度と表情をしていたために、そういう所も気付かせては貰えなかった。

 だがこれからはもっとエカテリーナ様に近づく機会が増える、素直に胸の内を明かして欲しい。

 楽しい事、嬉しい事以外にも寂しい事や悲しい事も共有していきたい、そう願っている。

 そういう関係を築けるように、そしてエカテリーナ様が話をしやすい環境を作れるように俺も思いを口に出して伝えていこう。

 俺はローシュとは違い後ろ盾も地位もない。資産だって、今まで働いていた賃金くらいしかない。そんなものはブルックリン侯爵家からしたら微々たる金額だろう。

 自分のどこのエカテリーナ様が惚れてくれたのは未だにわからないが、誠実に彼女に向き合っていく事しか出来ない。

 そして剣の腕で彼女を守っていく。

 今の彼女は戦う術を身につけていない、今度あのような襲撃があれば次こそ命を落としてしまう可能性が高い。

 俺はローシュと違う、戦う術を持っている。
 守られるのではなく、彼女を守っていきたい。もう側は離れない。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました! ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!

みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。 幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、 いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。 そして――年末の舞踏会の夜。 「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」 エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、 王国の均衡は揺らぎ始める。 誇りを捨てず、誠実を貫く娘。 政の闇に挑む父。 陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。 そして――再び立ち上がる若き王女。 ――沈黙は逃げではなく、力の証。 公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。 ――荘厳で静謐な政略ロマンス。 (本作品は小説家になろう、カクヨムにも掲載中です)

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

虐げられた伯爵令嬢は獅子公爵様に愛される

高福あさひ
恋愛
リリム王国辺境伯エインズワース伯爵家の長女、ユーニス・エインズワース。伯爵令嬢であるはずなのに、生活は使用人以下で、まともに育てられたことはない。それでも心優しく強かに育った彼女は、ある日、隣国との国境である森で二人の怪我をした男性を見つけて……?※不定期更新です。2024/5/14、18話が抜けていたため追加しました。 【2024/9/25 追記】 次回34話以降は10/30より、他サイト様と同時の更新予定です。

婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います

ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」 公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。 本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか? 義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。 不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます! この作品は小説家になろうでも掲載しています

処理中です...