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第45話 不審な人物
身の回りの護衛も増え、なかなか息苦しい生活のように思えるがそれでも悪くはない。
特に学園に居る時などは安心だ。
そこかしこに人はいるし、多くの貴族が要るから守衛も居る。
人の出入りに対するチェックも厳しいので、届け出のない者は入る事も困難だ、それ故にホッとする。
いざこざが起きても周囲の目があるために解決が早いのも有難い。
不満と言えば、学園長から何やら話があるとリヴィオが呼び出され、離れてしまった事。
ポエットと共に彼の帰りを中庭で待ちながら、私はいつ記憶が戻ったことを公表しようかと考えていた。
(ドラマティックなのは何かのイベントの時よね。これからある行事だと、何があったかしら)
学園としても国としても様々なものがある。
(もっとリヴィオとの仲が深まってからの方がいいかしら)
時折子爵家と侯爵家では釣り合わないのでは、という話が耳に入る事がある。
カルロス様が認めたにも関わらずそういう噂が聞こえてくるのだから、閉口してしまった。
(煩い口を縫い留めてしまえばいいのかしら?)
やや過激な考えすら過ぎってしまう。
王子の婚約者ではなくなり、欲しい人をやっと手に入れたのだから、そっとして置いて欲しいのに。
もしも私からリヴィオを引き離そうという者がいたら、物理的に引き裂いてしまうかもしれない。
昔と違ってコントロールも上手くなったし、そんな事すら楽にやってのけることが出来るのだ。
(昔は未熟で特に酷かったのよね)
最初に人を殺めたのは、ローシュ様の婚約者になったばかりの頃だったかしら。
彼を守れと強く言われた事や、王族の婚約者に相応しい振る舞いをするようにと教育係に指導された事もあり、がちがちに緊張していた。
その為に力加減を誤ってしまう。
二人でお茶をしている時、急に側にいた侍従が襲い掛かってきた。驚きで硬直したローシュ様を助けようと、私は咄嗟に魔法を使って助けたのだが。
そこまでなら良かったのだけれど、慣れないお茶会やら初めての襲撃で気が動転し、思いのほか強く魔力を放出してしまったのだ。
よくあの時ローシュ様も共に吹っ飛ばさなかったものだ。
それ以外は散々な事になってしまったのだけれど、人命優先だったので仕方ない。
(予想以上にあの時は駄目駄目でしたわね)
思い出しても恥ずかしい。
まず魔法の制御が効かず、魔力切れを起こして倒れてしまった事。
そして襲撃者をバラバラにしたのだが、その勢いでその後ろにあった庭園の一部も破壊してしまった。
幸いにも被害者はいなかったが、その庭園の復旧には相当手間もお金もかかったのだと、後で耳にする。
(私がもう少し抑えていたらそんな事もなかったのに)
丹精込めてあの庭園を作り上げた庭師申し訳ない事をしたと後から反省したものだ。
襲い掛かってきた侍従は長年王家に仕えた者で、家族を人質に取られて止む無く……という話であったが、あの時は知り様もないし、避けることも出来なかった。仕方がなかったと割り切っている。
殺意を向けられて、そこまで考える余裕なんて今でも出来ないわね。
リヴィオを待ち過ぎてそんな過去にまで思いを馳せていると、見知らぬ青年が私達の前に来る。
「誰ですか、あなたは」
ポエットが警戒し、私の前に出て、問いかける。
見た事のない男性ね。
青い髪を束ねた男性で、見るに従者服を纏っている。しかしその側に主はいない。
「失礼いたします、私はタリフォル子爵家の従者ゲルドと申します」
深々と頭を下げる彼は真っすぐに私を見つめてくるわ。
とても不愉快な雰囲気を醸し出している。早くリヴィオ来ないかしら。
「実はエカテリーナ=ブルックリン侯爵令嬢様に子爵様からお話がありまして。今から一緒に来ていただけませんか?」
「行きません」
きっぱりとポエットが断ってくれる。
「約束もなく、ましてや話したこともない子爵家の、しかも従者の誘いなんて受けるはずがありません。出直しなさい」
依然として私を庇うように前に立ち塞がるポエットはとても頼もしい。
凛々しくて頼もしいわ、こんなカッコいい侍女は他にいないんじゃないかしら?
「それは困ります。どうか我が主の為に来ていただけませんか?」
「無理です」
取り付く島もない程早くポエットが返答してくれるので、口を開く必要もなく、とても楽ね。
(本当に面識がないのだけれど、何故このような遣いを寄こしたのかしら)
一体何の用なのか。少しだけ気になるがついていくつもりはない。
「困りましたね。我が主はあなたを是非に招待したいとおっしゃっていました。既にローシュ殿下も来ております」
その名を聞くと益々行きたくはなくなるけれど、どういう関りがあるのかしら。
「どういう事? ローシュ殿下は公務が忙しく、そのような外出を為されるはずがないわ」
ポエットの言う通り、あり得ない。
まだ以前の襲撃の全貌が見えていない為に、不要な外出はしないようにとお達しがいっているはずだ。もし出かけるとしても、王家を通してしっかりとした護衛の元に外出されるはず。
でもそんな兆候はなかったし、お父様からもそのような話は聞いていない。
ましてやただ商才があるだけでそこまで重要ではない子爵家に行くなんて、不安過ぎて急に行くことなど出来ないはずだ。
「実はタリフィル子爵の次男でありますラウド様と、ローシュ殿下は友人関係にあります。この度重大な話があるという事で来て頂いているのですが、ブルックリン侯爵令嬢様にも聞いて頂く必要がある事の為にお声掛けをしました。急な話で恐縮ですが、殿下の自由時間もあまりない事ですし、すぐに向かいましょう」
促されるが動く気にはならないわ。
それはポエットも同じで頑なに拒否を見せている。
それを見て、薄ら笑いを浮かべていた男は低い声で告げてきた。
「以前の襲撃のような事が起こる前に行きましょう。今度も殺し屋の襲撃に耐えられるとは限りませんからね。まぁまだ間に合うとは思いますが」
あの襲撃は表向きにはごろつきの仕業で、犯人は処刑し、既に解決したと公表されたはずだ。
だから殺し屋がどうのとかは出ていない。
私だってこの前聞いたばかりなのに。
特に学園に居る時などは安心だ。
そこかしこに人はいるし、多くの貴族が要るから守衛も居る。
人の出入りに対するチェックも厳しいので、届け出のない者は入る事も困難だ、それ故にホッとする。
いざこざが起きても周囲の目があるために解決が早いのも有難い。
不満と言えば、学園長から何やら話があるとリヴィオが呼び出され、離れてしまった事。
ポエットと共に彼の帰りを中庭で待ちながら、私はいつ記憶が戻ったことを公表しようかと考えていた。
(ドラマティックなのは何かのイベントの時よね。これからある行事だと、何があったかしら)
学園としても国としても様々なものがある。
(もっとリヴィオとの仲が深まってからの方がいいかしら)
時折子爵家と侯爵家では釣り合わないのでは、という話が耳に入る事がある。
カルロス様が認めたにも関わらずそういう噂が聞こえてくるのだから、閉口してしまった。
(煩い口を縫い留めてしまえばいいのかしら?)
やや過激な考えすら過ぎってしまう。
王子の婚約者ではなくなり、欲しい人をやっと手に入れたのだから、そっとして置いて欲しいのに。
もしも私からリヴィオを引き離そうという者がいたら、物理的に引き裂いてしまうかもしれない。
昔と違ってコントロールも上手くなったし、そんな事すら楽にやってのけることが出来るのだ。
(昔は未熟で特に酷かったのよね)
最初に人を殺めたのは、ローシュ様の婚約者になったばかりの頃だったかしら。
彼を守れと強く言われた事や、王族の婚約者に相応しい振る舞いをするようにと教育係に指導された事もあり、がちがちに緊張していた。
その為に力加減を誤ってしまう。
二人でお茶をしている時、急に側にいた侍従が襲い掛かってきた。驚きで硬直したローシュ様を助けようと、私は咄嗟に魔法を使って助けたのだが。
そこまでなら良かったのだけれど、慣れないお茶会やら初めての襲撃で気が動転し、思いのほか強く魔力を放出してしまったのだ。
よくあの時ローシュ様も共に吹っ飛ばさなかったものだ。
それ以外は散々な事になってしまったのだけれど、人命優先だったので仕方ない。
(予想以上にあの時は駄目駄目でしたわね)
思い出しても恥ずかしい。
まず魔法の制御が効かず、魔力切れを起こして倒れてしまった事。
そして襲撃者をバラバラにしたのだが、その勢いでその後ろにあった庭園の一部も破壊してしまった。
幸いにも被害者はいなかったが、その庭園の復旧には相当手間もお金もかかったのだと、後で耳にする。
(私がもう少し抑えていたらそんな事もなかったのに)
丹精込めてあの庭園を作り上げた庭師申し訳ない事をしたと後から反省したものだ。
襲い掛かってきた侍従は長年王家に仕えた者で、家族を人質に取られて止む無く……という話であったが、あの時は知り様もないし、避けることも出来なかった。仕方がなかったと割り切っている。
殺意を向けられて、そこまで考える余裕なんて今でも出来ないわね。
リヴィオを待ち過ぎてそんな過去にまで思いを馳せていると、見知らぬ青年が私達の前に来る。
「誰ですか、あなたは」
ポエットが警戒し、私の前に出て、問いかける。
見た事のない男性ね。
青い髪を束ねた男性で、見るに従者服を纏っている。しかしその側に主はいない。
「失礼いたします、私はタリフォル子爵家の従者ゲルドと申します」
深々と頭を下げる彼は真っすぐに私を見つめてくるわ。
とても不愉快な雰囲気を醸し出している。早くリヴィオ来ないかしら。
「実はエカテリーナ=ブルックリン侯爵令嬢様に子爵様からお話がありまして。今から一緒に来ていただけませんか?」
「行きません」
きっぱりとポエットが断ってくれる。
「約束もなく、ましてや話したこともない子爵家の、しかも従者の誘いなんて受けるはずがありません。出直しなさい」
依然として私を庇うように前に立ち塞がるポエットはとても頼もしい。
凛々しくて頼もしいわ、こんなカッコいい侍女は他にいないんじゃないかしら?
「それは困ります。どうか我が主の為に来ていただけませんか?」
「無理です」
取り付く島もない程早くポエットが返答してくれるので、口を開く必要もなく、とても楽ね。
(本当に面識がないのだけれど、何故このような遣いを寄こしたのかしら)
一体何の用なのか。少しだけ気になるがついていくつもりはない。
「困りましたね。我が主はあなたを是非に招待したいとおっしゃっていました。既にローシュ殿下も来ております」
その名を聞くと益々行きたくはなくなるけれど、どういう関りがあるのかしら。
「どういう事? ローシュ殿下は公務が忙しく、そのような外出を為されるはずがないわ」
ポエットの言う通り、あり得ない。
まだ以前の襲撃の全貌が見えていない為に、不要な外出はしないようにとお達しがいっているはずだ。もし出かけるとしても、王家を通してしっかりとした護衛の元に外出されるはず。
でもそんな兆候はなかったし、お父様からもそのような話は聞いていない。
ましてやただ商才があるだけでそこまで重要ではない子爵家に行くなんて、不安過ぎて急に行くことなど出来ないはずだ。
「実はタリフィル子爵の次男でありますラウド様と、ローシュ殿下は友人関係にあります。この度重大な話があるという事で来て頂いているのですが、ブルックリン侯爵令嬢様にも聞いて頂く必要がある事の為にお声掛けをしました。急な話で恐縮ですが、殿下の自由時間もあまりない事ですし、すぐに向かいましょう」
促されるが動く気にはならないわ。
それはポエットも同じで頑なに拒否を見せている。
それを見て、薄ら笑いを浮かべていた男は低い声で告げてきた。
「以前の襲撃のような事が起こる前に行きましょう。今度も殺し屋の襲撃に耐えられるとは限りませんからね。まぁまだ間に合うとは思いますが」
あの襲撃は表向きにはごろつきの仕業で、犯人は処刑し、既に解決したと公表されたはずだ。
だから殺し屋がどうのとかは出ていない。
私だってこの前聞いたばかりなのに。
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