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④従順の牙
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リリス・ノーチェスは赤ん坊の頃、人間の家に捨てられたという過去を持っていた。実際のところ、彼女は吸血鬼の旧家、ノーチェス家当主と身分の低い吸血鬼の女性との間に生まれた子供であったそうだ。このゲームでの吸血鬼というのは、古くから続く名家の純血種が尊いものであり至高の存在であるとされる。また、吸血鬼の力を表すものが彼らの髪色で、黒髪が最も力ある者、それに続くのが灰、茶、銀髪、白髪となる。
ノーチェス家の力が段違いに強いため、リリスの髪色は漆黒の髪であるが、自分の出自に負い目を感じる彼女は、突然現れたヒロインに強く当たる。その原因は、ヒロインがリリスの知り合いと彼女以上に親密になり、それに嫉妬したためだ。それともう一つ、どこの馬の骨とも知れない同性のヒロインに、自分の出自を重ねてしまうのが気に入らなかったとゲーム内で語られていた。
という感じで、私リリスはそういう生い立ちであり、クロードは異母兄にあたるらしい。元々の設定でも、リリスは名家の庶子であることにコンプレックスを持っていたが、まさかその家系とお兄様がセットで登場するとは思わなかった。
なんと言っても、クロード・ノーチェスとは滅多に登場しない超絶レアな隠しキャラだったからだ。ゲームではクロードという名前だけしか分からない。その上、ノーチェス家の描写でも兄がいることは示唆されていたものの、その詳細は巧妙に伏せられていた。
前世で多くのファンを悩ませた張本人は、たった今、私との関係性について語り終え、一息ついたところだった。
「私はずっとお前を探していた…」
そう言ってクロードは長い腕をリリスの首に回したかと思えば、顔をリリスの首元に近づける。迫ってくる美貌に意識を奪われている間に、リリスの首元に冷たい何かが押し当てられた。
「…え…?」
それはリリスの動揺を気にすることなく、彼女の肌に突き立てられた。クロードの牙がプツリと刺さった箇所からは、血が一筋流れ落ちる。リリスがクロードの行為に気が付いたのは、首元から血を吸われるその音を聞いてのことだった。
「っ…、何して…!?」
「お前をひたすら甘やかしてやりたいと思う、と同時に泣かせてみたい」
ひぃぃぃー!どんな性格してんだ。えっ、これが飴と鞭なの?
自分の血を吸われるという慣れない行為に、リリスは目を白黒させるばかりだった。おまけに、吸血鬼に血を吸われる相手は、催淫効果によって理性を奪われる。
今のリリスも似たような状況というわけである。肌に牙を突き立てられて痛いはずなのに、不思議と痛みよりも気持ち良さの方が勝る。
「んんっ、あっ…!」
意図せず口からは嬌声が漏れ、リリスは自分の甘ったるい声に赤面して口を手で塞ぐ。
「可愛いリリス…私にお前の声をよく聞かせてくれないか」
血を吸う合間、吐息を漏らしながら囁くイケボに、リリスは目眩を起こしかけた。さらに、どういう訳かクロードがそう言った時から、リリスがいくら声を抑えようとしても、勝手に口が開いてしまう。
「やっ、何で声っ…?ああっ…!」
これは一体何の羞恥プレイなのよ!?だ、誰かヘルプミー、私に考える時間を下さい…!
ノーチェス家の力が段違いに強いため、リリスの髪色は漆黒の髪であるが、自分の出自に負い目を感じる彼女は、突然現れたヒロインに強く当たる。その原因は、ヒロインがリリスの知り合いと彼女以上に親密になり、それに嫉妬したためだ。それともう一つ、どこの馬の骨とも知れない同性のヒロインに、自分の出自を重ねてしまうのが気に入らなかったとゲーム内で語られていた。
という感じで、私リリスはそういう生い立ちであり、クロードは異母兄にあたるらしい。元々の設定でも、リリスは名家の庶子であることにコンプレックスを持っていたが、まさかその家系とお兄様がセットで登場するとは思わなかった。
なんと言っても、クロード・ノーチェスとは滅多に登場しない超絶レアな隠しキャラだったからだ。ゲームではクロードという名前だけしか分からない。その上、ノーチェス家の描写でも兄がいることは示唆されていたものの、その詳細は巧妙に伏せられていた。
前世で多くのファンを悩ませた張本人は、たった今、私との関係性について語り終え、一息ついたところだった。
「私はずっとお前を探していた…」
そう言ってクロードは長い腕をリリスの首に回したかと思えば、顔をリリスの首元に近づける。迫ってくる美貌に意識を奪われている間に、リリスの首元に冷たい何かが押し当てられた。
「…え…?」
それはリリスの動揺を気にすることなく、彼女の肌に突き立てられた。クロードの牙がプツリと刺さった箇所からは、血が一筋流れ落ちる。リリスがクロードの行為に気が付いたのは、首元から血を吸われるその音を聞いてのことだった。
「っ…、何して…!?」
「お前をひたすら甘やかしてやりたいと思う、と同時に泣かせてみたい」
ひぃぃぃー!どんな性格してんだ。えっ、これが飴と鞭なの?
自分の血を吸われるという慣れない行為に、リリスは目を白黒させるばかりだった。おまけに、吸血鬼に血を吸われる相手は、催淫効果によって理性を奪われる。
今のリリスも似たような状況というわけである。肌に牙を突き立てられて痛いはずなのに、不思議と痛みよりも気持ち良さの方が勝る。
「んんっ、あっ…!」
意図せず口からは嬌声が漏れ、リリスは自分の甘ったるい声に赤面して口を手で塞ぐ。
「可愛いリリス…私にお前の声をよく聞かせてくれないか」
血を吸う合間、吐息を漏らしながら囁くイケボに、リリスは目眩を起こしかけた。さらに、どういう訳かクロードがそう言った時から、リリスがいくら声を抑えようとしても、勝手に口が開いてしまう。
「やっ、何で声っ…?ああっ…!」
これは一体何の羞恥プレイなのよ!?だ、誰かヘルプミー、私に考える時間を下さい…!
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