魔王の霊魂を背負う少女
ある日、世界の中枢とも言われるグランディール国へと向かう一人の少女──ツルカ=ハーランがいた。ところが少女の正体は、約二百年前にこの世界──グランドシオルを滅ぼそうとした魔王マリアネの力を持つことになった、日本からの転生者だった。元は少女(ガイ)の『奥村健太(おくむらけんた)』は国に到着すると、ふしだらな生活がしたいという野望を叶えるために宿へと向う。しかし、お金を持っていないという重大な事態に気が付き、ツルカの固有能力──アイナに仕事をしろと提案される。
そんな時、街中で冒険者のとある揉み合いに遭遇。筋肉質の大男が青少年に殴りかかるところを目撃したその瞬間、ツルカは力を扱って大男の身体を吹き飛ばす。しばらくして青年──ジンのもとに、彼と同程度の年齢である女性──ナユと、幼い少女──マリナが走ってくる。一同、どうしてそれほどの力を持っているのかと謎が浮かび、ツルカは懐疑の目を向けられたが、魔王マリアネの力を保有しているなど答えられるはずもなく、お茶を濁して逃げ去った。
やがてツルカは冒険者になるが、最底辺のランク帯とは思えない功績を出し続けてしまい、ある時、騎士団に連行される。だが、それはもうじき一カ月間に渡って行われる冒険者昇格試験の臨時教官をしてほしいという申し出だった。そこでツルカが担当する事になったギルドが、ジンとナユ、マリナのギルドだったのだ。半ば乗り気でないツルカだったが、最後まで面倒を見て三人の冒険者ランクを昇格させる、と断固とした目標を掲げる。
ところが初日、クエストに赴いたツルカらが早速出会ったのが、国を滅ぼすほどの力を持つ危険種。ツルカらは逃げることなく立ち向かい、やっとの思いで討伐を成し遂げたが、最底ランクの冒険者が危険種を討伐するのは異様だとグランディール国が反発。ツルカは危険と判断されて処刑判決を受けたが、様々な事があって半強制的に潔白が証明。
そして、冒険者昇格試験の下旬に行われるギルド対抗試験が始まったが、同時に拮抗状態であった陰謀が二つ動き出す。一つは魔王マリアネを現世に顕現させるという陰謀、もう一つがグランディール国に眠る秘宝『禁魔崩書(きんまほうしょ)』を手に入れ、世界を征服しようというもの。結果、後者の陰謀が実現しかけたが、ツルカの働きによって悪は討伐される。尚、ギルド対抗試験は急遽中止となった。
最終的には勇者アイギスによってツルカの正体が一部の間で明かされるが、例え極悪な魔王マリアネの力を持とうとも世界を救ったことに変わりはない、と批判する者はいなかった。ツルカはまた、普段通りの生活をしようと決めたが、そこへジン達が会いに来る。
三人は、冒険者昇格試験の結果を満面の笑みでツルカに見せつける────
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