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本編
エリザベス王女の今後③
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王女様は相変わらずで、護送車に乗せられる直前まで「わたくしにこんなことをして、ただではすみませんからね!」とか、「ルシアン様はあの貧相な男に騙されているだけだから、わたくしの真実の愛で目覚めさせてあげますわ!」とか叫んでいたらしい。
凄まじい執着ぶりで、狙われたルシアンが心の底から気の毒に思えた。
『ルシアンゴメン……。ほんの一時でもお似合いとか思ってしまって……』
こっそり心の中で謝っておいた。
女性である王女様と結婚する方がルシアンにとっても良い事だろうと勝手に思って、二人の並んだ姿を見てお似合いだと思ったのは事実なのだから。
でも、それを本人に言ってしまえば傷つけることになってしまうから言えない。
というよりも、俺はルシアンへの自分の気持ちに気付けたから、謝罪でもそれを口にしたくないんだ。
王女様のキモイ世迷い事を、ポプラさんが物真似を交えて教えてくれたから、こんなに優秀で綺麗な騎士が何をしているんだろうと思うと少し笑えて来る。
そのポプラさんの物真似が、あまりにもそっくりで! 思わず吹き出してしまった。
きっと今頃、護送車の中でもまだ悪態をついてるんだろうなということが想像に難くない。
王女様はアルペンに着いても、お城には寄らずにそのまま女性用監獄に行くことになるらしいし、しっかりと反省して欲しい。
聞くところによるとその刑務所内での態度によって、幽閉される離島のレベルが変わるのだそうだ。
三年間の刑務所での勤労が明けても全然反省していなかったら、無人島に小さな小屋が一つだけの自給自足生活を送らされることになる。
――何にも出来ない王女様は、きっとすぐに命を落としてしまうだろうから実質死刑と言える……。
しかし反省の色が見られて、生活態度も改めらえていると判断された場合は、少人数ではあるけれど住民がいる離島で、住民の一員として作物を育てたりして暮らすことになるそうだ。
俺としては、どんな人間にも死んでもらいたくはないから、しっかり刑務所で反省して、有人島でそれなりに幸せに暮らして欲しいと思う。
あの高飛車で自己中な性格を直すのは難しいとは思うけど、どうか頑張ってと密かにエールを送った。
魔法使い二人に関しては、王女様からの依頼をどうしても断れなかった事情があったということと、雇い主の情報を話したことによって減刑された。
そして、今後はエメラルド国の監視下に置かれることになり、二年の奉仕活動をすることで話が着いたらしい。
彼らはアルペンの魔法使いであるが、今後はエメラルド国で奉仕活動をしながら王族に仕えることになるんだって。
依頼を引き受けなければ家族がどうなるか分からないと脅されたと聞けば同情してしまうよ。
ドアの前から退かないポワソン少年に痺れを切らして、ポワソン少年ごと壁を吹き飛ばしたり、のど元にナイフを突きつけたりしたのは許せないけど……。
本当は傷つけるつもりもなかったみたいだし。
瓦礫でケガはしちゃったけど、ポワソン少年に結界が張られていることに彼らは気づいていたから、一緒に吹き飛ばしたとしても大事には至らないだろうと思ったんだって。
何しろ、俺の誘拐が未遂で終わったから、この償い方で許されることになったらしい。
どうやら、結界に触れることなく気付くことが出来る魔法使いは、大変貴重らしくて、王族に仕える時に重宝されそうだということだ。
ちなみに、脅しの種に使われた彼らの家族は特に被害はなかったけれど、王女様が原因でエメラルド国にそのまま残ることになってしまったから、アルペン王から謝罪と慰謝料が贈られることになった。
凄まじい執着ぶりで、狙われたルシアンが心の底から気の毒に思えた。
『ルシアンゴメン……。ほんの一時でもお似合いとか思ってしまって……』
こっそり心の中で謝っておいた。
女性である王女様と結婚する方がルシアンにとっても良い事だろうと勝手に思って、二人の並んだ姿を見てお似合いだと思ったのは事実なのだから。
でも、それを本人に言ってしまえば傷つけることになってしまうから言えない。
というよりも、俺はルシアンへの自分の気持ちに気付けたから、謝罪でもそれを口にしたくないんだ。
王女様のキモイ世迷い事を、ポプラさんが物真似を交えて教えてくれたから、こんなに優秀で綺麗な騎士が何をしているんだろうと思うと少し笑えて来る。
そのポプラさんの物真似が、あまりにもそっくりで! 思わず吹き出してしまった。
きっと今頃、護送車の中でもまだ悪態をついてるんだろうなということが想像に難くない。
王女様はアルペンに着いても、お城には寄らずにそのまま女性用監獄に行くことになるらしいし、しっかりと反省して欲しい。
聞くところによるとその刑務所内での態度によって、幽閉される離島のレベルが変わるのだそうだ。
三年間の刑務所での勤労が明けても全然反省していなかったら、無人島に小さな小屋が一つだけの自給自足生活を送らされることになる。
――何にも出来ない王女様は、きっとすぐに命を落としてしまうだろうから実質死刑と言える……。
しかし反省の色が見られて、生活態度も改めらえていると判断された場合は、少人数ではあるけれど住民がいる離島で、住民の一員として作物を育てたりして暮らすことになるそうだ。
俺としては、どんな人間にも死んでもらいたくはないから、しっかり刑務所で反省して、有人島でそれなりに幸せに暮らして欲しいと思う。
あの高飛車で自己中な性格を直すのは難しいとは思うけど、どうか頑張ってと密かにエールを送った。
魔法使い二人に関しては、王女様からの依頼をどうしても断れなかった事情があったということと、雇い主の情報を話したことによって減刑された。
そして、今後はエメラルド国の監視下に置かれることになり、二年の奉仕活動をすることで話が着いたらしい。
彼らはアルペンの魔法使いであるが、今後はエメラルド国で奉仕活動をしながら王族に仕えることになるんだって。
依頼を引き受けなければ家族がどうなるか分からないと脅されたと聞けば同情してしまうよ。
ドアの前から退かないポワソン少年に痺れを切らして、ポワソン少年ごと壁を吹き飛ばしたり、のど元にナイフを突きつけたりしたのは許せないけど……。
本当は傷つけるつもりもなかったみたいだし。
瓦礫でケガはしちゃったけど、ポワソン少年に結界が張られていることに彼らは気づいていたから、一緒に吹き飛ばしたとしても大事には至らないだろうと思ったんだって。
何しろ、俺の誘拐が未遂で終わったから、この償い方で許されることになったらしい。
どうやら、結界に触れることなく気付くことが出来る魔法使いは、大変貴重らしくて、王族に仕える時に重宝されそうだということだ。
ちなみに、脅しの種に使われた彼らの家族は特に被害はなかったけれど、王女様が原因でエメラルド国にそのまま残ることになってしまったから、アルペン王から謝罪と慰謝料が贈られることになった。
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※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
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