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「聖女様か…?」
「いや、神の愛し子では…」
花びらが舞い踊る中、歓声に混じりヒソヒソと聞こえる声。
あっ!そっか、ママがこのサプライズをしてくれたんだ!ママは聖女様って言ってたもんね。ママすごいっ!
勢いよくママの方を向けば、なぜか呆れ顔。
理由が解らずパパの方を向けば、口をあんぐり開けていた。
んん??
チラリとお兄様達を見れば、カイ兄様は蕩けるような眼差しで何か呟いていたけどよく聞こえない。ロイお兄様は「ミュラは規格外だからしょうがないか」と笑っており、ラナンお兄様は「ミュリィはやっぱり僕の女神様だね」と満面の笑みで…。
んんん???
状況が掴めずキョロキョロ家族を見回していると、スッと影が落ちた為、上を見上げると燃えるような真っ赤な髪の男の子が私を見下ろしていた。
うわぁ綺麗な人。
「初めまして…かな?ミュラ嬢。やっと会えたね。僕の名前はアレス。先日は体調を崩していたと聞いたが…すっかり良くなったようで安心したよ。カーネーションは気に入ってくれたかな?今日はこうしてミュラ嬢の誕生日を一緒に祝う事が出来て嬉しいよ。誕生日おめでとう。」
あ!この人がカーネーションを贈ってくれた人だったんだ。確かカイ兄様のお友達で…王子様だっけ?ど、どうしよう王子様に何て挨拶したらいいの!?っていうかまだ上手く喋れないし、マナーも解らないっ!!
「お手を拝借しても?」と聞かれ、アワアワしながら手を差し出そうとした所、視界を遮るようにスッとカイ兄様が間に入った。
「アレス王子、本日はわざわざお越しいただきありがとうございます。お忙しい身であると思いますので…もうお帰り下さって結構ですよ。」
「やあやあ、カイン。友達の大切な妹の誕生日だ、祝うのが当然だろう。さ、そこをどきたまえ、愛らしいミュラ嬢が見えないだろう。」
「わ ざ と 隠してるんです。お前に見せるとミューが減る。とっとと帰れ。」
「ふふ、馬鹿な事を。ミュラ嬢の愛らしさは無限大だ、そんな事で減る訳がなかろう。…あぁ、でもカインがそう言うなら、ミュラ嬢を我が城に閉じ込めて、誰にも会わせず、愛らしさが減らないようにしなければなるまいな。」
「こんの変態王子がっ!」
「はっ、カインには言われたくないわ。このシスコンがっ!」
二人とも笑顔を崩さないままだけど…。どうしよう、とカイ兄様の後ろでオロオロしていると、ぐいっと手を引っ張られた。
思わずよろけてしまい、手を引っ張った人物の胸に抱き止められてしまう。
そっと見上げると、アレス王子と同じ赤い髪の女の子が私を抱き締めていた。
「ミュラは我が貰う。」
「「はっ!?」」
アレス王子とカイ兄様の声が揃う。やっぱり仲良しだ。
「ミュラ、我の名はキュアネじゃ。よろしくの。」
にこりと上品に微笑む姿は美しく、胸がドキドキする。しかも凄くいい香りがするし。
ラナンお兄様と同い年くらいだろうか、抱き締められるとちょうど頭一つ分くらいの身長差で、すっぽり腕の中に包まれてしまう。初めて出会う同年代の美しい女の子に目を奪われ、腕の中からぽーっとキュアネ様を見つめていると「愛いやつじゃ」と耳元で囁かれ、私は更に顔を赤くする。
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いつもお読みくださりありがとうございます。
ここから一気に登場人物が増える為、人物紹介をトップページに追加いたしました。
現時点でまだ登場してない人物も多くいます。
また、作者の設定整理の為(汗)イラストもついています。イメージを崩されたくない場合はスルーしてください。
そして、本作品のタグに「百合」を追加いたしました。(18禁表現はまだまだ先の予定です。)
主人公が無双なのです。
すみません。
引き続き宜しくお願いいたします。
感謝を込めて
しろ
「いや、神の愛し子では…」
花びらが舞い踊る中、歓声に混じりヒソヒソと聞こえる声。
あっ!そっか、ママがこのサプライズをしてくれたんだ!ママは聖女様って言ってたもんね。ママすごいっ!
勢いよくママの方を向けば、なぜか呆れ顔。
理由が解らずパパの方を向けば、口をあんぐり開けていた。
んん??
チラリとお兄様達を見れば、カイ兄様は蕩けるような眼差しで何か呟いていたけどよく聞こえない。ロイお兄様は「ミュラは規格外だからしょうがないか」と笑っており、ラナンお兄様は「ミュリィはやっぱり僕の女神様だね」と満面の笑みで…。
んんん???
状況が掴めずキョロキョロ家族を見回していると、スッと影が落ちた為、上を見上げると燃えるような真っ赤な髪の男の子が私を見下ろしていた。
うわぁ綺麗な人。
「初めまして…かな?ミュラ嬢。やっと会えたね。僕の名前はアレス。先日は体調を崩していたと聞いたが…すっかり良くなったようで安心したよ。カーネーションは気に入ってくれたかな?今日はこうしてミュラ嬢の誕生日を一緒に祝う事が出来て嬉しいよ。誕生日おめでとう。」
あ!この人がカーネーションを贈ってくれた人だったんだ。確かカイ兄様のお友達で…王子様だっけ?ど、どうしよう王子様に何て挨拶したらいいの!?っていうかまだ上手く喋れないし、マナーも解らないっ!!
「お手を拝借しても?」と聞かれ、アワアワしながら手を差し出そうとした所、視界を遮るようにスッとカイ兄様が間に入った。
「アレス王子、本日はわざわざお越しいただきありがとうございます。お忙しい身であると思いますので…もうお帰り下さって結構ですよ。」
「やあやあ、カイン。友達の大切な妹の誕生日だ、祝うのが当然だろう。さ、そこをどきたまえ、愛らしいミュラ嬢が見えないだろう。」
「わ ざ と 隠してるんです。お前に見せるとミューが減る。とっとと帰れ。」
「ふふ、馬鹿な事を。ミュラ嬢の愛らしさは無限大だ、そんな事で減る訳がなかろう。…あぁ、でもカインがそう言うなら、ミュラ嬢を我が城に閉じ込めて、誰にも会わせず、愛らしさが減らないようにしなければなるまいな。」
「こんの変態王子がっ!」
「はっ、カインには言われたくないわ。このシスコンがっ!」
二人とも笑顔を崩さないままだけど…。どうしよう、とカイ兄様の後ろでオロオロしていると、ぐいっと手を引っ張られた。
思わずよろけてしまい、手を引っ張った人物の胸に抱き止められてしまう。
そっと見上げると、アレス王子と同じ赤い髪の女の子が私を抱き締めていた。
「ミュラは我が貰う。」
「「はっ!?」」
アレス王子とカイ兄様の声が揃う。やっぱり仲良しだ。
「ミュラ、我の名はキュアネじゃ。よろしくの。」
にこりと上品に微笑む姿は美しく、胸がドキドキする。しかも凄くいい香りがするし。
ラナンお兄様と同い年くらいだろうか、抱き締められるとちょうど頭一つ分くらいの身長差で、すっぽり腕の中に包まれてしまう。初めて出会う同年代の美しい女の子に目を奪われ、腕の中からぽーっとキュアネ様を見つめていると「愛いやつじゃ」と耳元で囁かれ、私は更に顔を赤くする。
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いつもお読みくださりありがとうございます。
ここから一気に登場人物が増える為、人物紹介をトップページに追加いたしました。
現時点でまだ登場してない人物も多くいます。
また、作者の設定整理の為(汗)イラストもついています。イメージを崩されたくない場合はスルーしてください。
そして、本作品のタグに「百合」を追加いたしました。(18禁表現はまだまだ先の予定です。)
主人公が無双なのです。
すみません。
引き続き宜しくお願いいたします。
感謝を込めて
しろ
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