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「ミュラ嬢、僕がプレゼントしたネックレスをつけてくれたんだね。嬉しいよ。とても似合ってる。さぁ、お茶が冷めてしまう前にどうぞ。」
「ミュラ、髪飾りもよく似合ってるぞ。今日はミュラの為にお菓子を沢山用意したのじゃ。このマカロンは我のお気に入りなのじゃ。ほら、あーん」
「あ…あの、手を…」
どうしよう。またこのパターンになってる。
あれから、アレス様に案内されたのは真っ赤な薔薇に囲まれた美しいガゼボだった。
「花が好きなミュラ嬢が、ここならリラックスできると思って」とアレス様が配慮してくださったのは有難いのだけれど、アレス様とキュアネ様の間に挟まれて、当然のように手を繋がれている。
アレス様がお茶を、キュアネ様がお菓子を勧めてくれるけど、両手がふさがっていて身動きがとれない。
「あぁ、ごめんね。カップからじゃ飲みにくいかな?では、口移ししようか?」
「くちうつし…??」
バコッ!!!
「おい、変態王子!ミューに変な事を教えるな!」
ああぁ!カイ兄様何てことを!!王子様を殴るなんて…。今凄い音がしたわよね。大丈夫かしら??
オロオロしている私に反し、「ざまぁないの」とケラケラ笑っているキュアネ様。
ところで『くちうつし』って何かしら?
どういう風にするのかイマイチ想像がつかない。
言い合いに発展したアレス様とカイ兄様に気付かれないよう、小声でキュアネ様に尋ねる。
「キュアネ様、あの『くちうつし』って何でしょうか?ごめんなさい、知らなくて…。」
キュアネ様は一瞬目を見開き驚いた顔をしたが、直ぐにいつもの笑顔に戻る。
「…ふむ。実際に試してみた方が早いの。」
キュアネ様は細く綺麗な指でマカロンを1つ取り、パクっと口に咥え、顔をグイッと寄せる。
「え?え?」
「ほら、早く」
このまま私が食べろって事?!
あ!それで『口移し』?!
「ん、ん」とキュアネ様が急かすので、私はパニックになりながらもパクっとマカロンを咥えた。
唇が触れるか触れないかの距離で、柔らかいマカロンはポロポロと崩れながらも半分ずつキュアネ様と私の口に入った。
「ミュラ、口元についておる」
「ひゃっ!!」
繋がれたままの手をグイッと引き寄せられ、キュアネ様は私の唇をペロリと舐める。
ボン!と音が鳴りそうなくらい一気に真っ赤になった私を見て、キュアネ様はニヤリと妖艶な笑みを浮かべた。
「あ!キュアネ!お前っ!!」
「ミュー、大丈夫か?!」
カイ兄様が慌てて私を抱き上げて、キュアネ様から引き離される。
「なんじゃ、もう喧嘩は終わったのか?せっかくミュラとお勉強中だったのに。」
「何が勉強だ、ミュラ嬢の唇を奪っただけじゃないか!」
「ミュラが『口移し』を教えて欲しいと言ったから教えたまでじゃ。」
アレス様とキュアネ様の兄妹喧嘩をよそに、カイ兄様は心配そうに声をかけてくれた。
「ミュー、無理やりされたんじゃない?大丈夫?」
「はい、びっくりしましたけれど大丈夫です。それに口移しって図鑑で見たのを思い出しました!」
「ず…図鑑…??」
「はい、動物図鑑で鳥のお母さんが雛鳥に餌を口移しであげてました。あれですよね。」
「あ、あぁ…まぁ、そう…かな?」
あれ?カイ兄様はなんだか微妙そうな顔してる。どうして?間違っていたのかしら??
「はっ!まさかこれがミュラ嬢のファーストキス?!」
アレス様が急に大きな声を出したからびっくりした。
口移しってキスなのかしら?
鳥のお母さんが餌をあげる行為をキスとは言わないわよね?人間だとキスになるのかな?んん?よくわからないわ。
「ふっ、残念だったなアレス。ミューの初めては俺だ。」
カイ兄様は勝ち誇ったような顔をしているけど、あれは親子のキスでファーストキスに入らないんじゃなかったのかしら?
「カイン!おぬし実の妹に何てことをしておるのじゃ!このシスコン!!」
カイ兄様はシスコンっていうより、お母さんよね、なんて心の中でツッコミを入れてみる。
それにしても、アレス様とキュアネ様とカイ兄様ってとても仲良しなのね。私もこんな風に話せる友達が欲しいな。
「ふふ、仲良しですね。」
「「「仲良くないっ!」」」
うーん、息ぴったりなんだけどな。
「ミュラ、髪飾りもよく似合ってるぞ。今日はミュラの為にお菓子を沢山用意したのじゃ。このマカロンは我のお気に入りなのじゃ。ほら、あーん」
「あ…あの、手を…」
どうしよう。またこのパターンになってる。
あれから、アレス様に案内されたのは真っ赤な薔薇に囲まれた美しいガゼボだった。
「花が好きなミュラ嬢が、ここならリラックスできると思って」とアレス様が配慮してくださったのは有難いのだけれど、アレス様とキュアネ様の間に挟まれて、当然のように手を繋がれている。
アレス様がお茶を、キュアネ様がお菓子を勧めてくれるけど、両手がふさがっていて身動きがとれない。
「あぁ、ごめんね。カップからじゃ飲みにくいかな?では、口移ししようか?」
「くちうつし…??」
バコッ!!!
「おい、変態王子!ミューに変な事を教えるな!」
ああぁ!カイ兄様何てことを!!王子様を殴るなんて…。今凄い音がしたわよね。大丈夫かしら??
オロオロしている私に反し、「ざまぁないの」とケラケラ笑っているキュアネ様。
ところで『くちうつし』って何かしら?
どういう風にするのかイマイチ想像がつかない。
言い合いに発展したアレス様とカイ兄様に気付かれないよう、小声でキュアネ様に尋ねる。
「キュアネ様、あの『くちうつし』って何でしょうか?ごめんなさい、知らなくて…。」
キュアネ様は一瞬目を見開き驚いた顔をしたが、直ぐにいつもの笑顔に戻る。
「…ふむ。実際に試してみた方が早いの。」
キュアネ様は細く綺麗な指でマカロンを1つ取り、パクっと口に咥え、顔をグイッと寄せる。
「え?え?」
「ほら、早く」
このまま私が食べろって事?!
あ!それで『口移し』?!
「ん、ん」とキュアネ様が急かすので、私はパニックになりながらもパクっとマカロンを咥えた。
唇が触れるか触れないかの距離で、柔らかいマカロンはポロポロと崩れながらも半分ずつキュアネ様と私の口に入った。
「ミュラ、口元についておる」
「ひゃっ!!」
繋がれたままの手をグイッと引き寄せられ、キュアネ様は私の唇をペロリと舐める。
ボン!と音が鳴りそうなくらい一気に真っ赤になった私を見て、キュアネ様はニヤリと妖艶な笑みを浮かべた。
「あ!キュアネ!お前っ!!」
「ミュー、大丈夫か?!」
カイ兄様が慌てて私を抱き上げて、キュアネ様から引き離される。
「なんじゃ、もう喧嘩は終わったのか?せっかくミュラとお勉強中だったのに。」
「何が勉強だ、ミュラ嬢の唇を奪っただけじゃないか!」
「ミュラが『口移し』を教えて欲しいと言ったから教えたまでじゃ。」
アレス様とキュアネ様の兄妹喧嘩をよそに、カイ兄様は心配そうに声をかけてくれた。
「ミュー、無理やりされたんじゃない?大丈夫?」
「はい、びっくりしましたけれど大丈夫です。それに口移しって図鑑で見たのを思い出しました!」
「ず…図鑑…??」
「はい、動物図鑑で鳥のお母さんが雛鳥に餌を口移しであげてました。あれですよね。」
「あ、あぁ…まぁ、そう…かな?」
あれ?カイ兄様はなんだか微妙そうな顔してる。どうして?間違っていたのかしら??
「はっ!まさかこれがミュラ嬢のファーストキス?!」
アレス様が急に大きな声を出したからびっくりした。
口移しってキスなのかしら?
鳥のお母さんが餌をあげる行為をキスとは言わないわよね?人間だとキスになるのかな?んん?よくわからないわ。
「ふっ、残念だったなアレス。ミューの初めては俺だ。」
カイ兄様は勝ち誇ったような顔をしているけど、あれは親子のキスでファーストキスに入らないんじゃなかったのかしら?
「カイン!おぬし実の妹に何てことをしておるのじゃ!このシスコン!!」
カイ兄様はシスコンっていうより、お母さんよね、なんて心の中でツッコミを入れてみる。
それにしても、アレス様とキュアネ様とカイ兄様ってとても仲良しなのね。私もこんな風に話せる友達が欲しいな。
「ふふ、仲良しですね。」
「「「仲良くないっ!」」」
うーん、息ぴったりなんだけどな。
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