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翌日、私はいつものように、エルナと昼食を食べている。


「フィーナは今日、ラインハルト王子と何をお話ししてたの?」


「普通に世間話とかだけど……それがどうかした?」


私が疑問に思っていると友人達が話しかけてきた。


「私、昨日の話を聞いて驚いたの」


「どういうこと?」


私が聞くと友人達は話し始めた。どうやら彼女達は、ラインハルト王子が私に気があると勘違いしたらしい。実際は私と彼はそんな関係ではなく、昔からの友人に過ぎないのだが……


(確かに世間的に見たらそう勘違いされても仕方がないのかな)


私は少し反省した。


「それにしてもフィーナって鈍感よね」


「ほんと、あんなイケメンに言い寄られてるのに全く動じないんだから」


友人達は口々に言う。するとエルナが口を開いた。


「でも私、フィーナが他の殿方と親しげにしているところは想像できないわ」


「そう? 結構あるわよ?」


私が言うと友人達は驚いたような顔をして言った。


「嘘!?」


(確かにキースや他の男子生徒の前ではあまり喋らないかも……)


私の言葉を聞いて友人達はさらに驚いていた。


「なんかフィーナらしいわね」


「そういうとこがフィーナの魅力なんでしょうけど」


(魅力か……そんなものかな?)


私は首をかしげるが、友人達は納得してしまっているようだった。するとエルナが言う。


「でもフィーナは素敵だと思うよ!」


「ありがとう……」


私はお礼を言うと食事を再開した。そして午後の授業が始まった。


「それでは今日はここまで」


授業が終わると私は、エルナと下校することになった。


「フィーナはこれからどうするの?」


「とりあえず帰るかな……やることもないし」


私はそう言って笑った。するとエルナが少し不安そうに聞いてくる。


「ねぇ、もし暇だったら私と一緒に出かけない?」


「どこに行きたいの?」


私が尋ねるとエルナは顔を赤らめた。そしてモジモジしながら答える。


「ちょっと服を買いに行きたいかなって……」


「良いよ。付き合う」


私が快諾すると彼女は嬉しそうな笑顔を浮かべる。そして私達は二人で街へと繰り出したのだった。


(相変わらずすごい人だ)


街は人で溢れかえっていた。大通りには様々な店が立ち並んでおり、人々が行き交っている。人混みをかき分けるようにして進むと、やがて目的の場所にたどり着いたようだ。そこは女性向けの洋服屋だった。中に入ると可愛らしい服がたくさん飾られている。私は興味深そうに店内を見回した。するとエルナが話しかけてくる。


「フィーナ、これ見て!」


「可愛いけどちょっと大胆なデザインね」


エルナが指差したのは露出度の高い服だった。胸元が大きく開いているワンピースタイプのもので、スカート丈も短いため下着が見えてしまいそうだ。


(こんな大胆な服着て外を歩くのは勇気がいるな……)


私が考えていると、エルナが試着室に入っていった。しばらくすると彼女が出てくる。


「どう? 似合う?」


エルナはそう言いながらクルリと回る。彼女の短いスカートがふわりと広がった。


「似合ってるよ」


私が褒めると彼女は嬉しそうに笑う。すると今度は私に勧めてきた。


「フィーナも着てみない?」


「えっ……」


(私には似合わないと思うけど……)


私は躊躇するが、エルナがキラキラした目で見つめてくるので断りづらくなった。結局、私はエルナに押し切られる形で試着室に入ったのだった。


「着てみたけど……」


私は試着室のカーテンを開けて姿を見せる。するとエルナが目を輝かせながら言った。


「わぁ……すごく似合ってる!」


「そう? ありがとう」


私が照れていると、別の店員さんも寄ってきた。そして私の姿を見ると、興奮した様子で話しかけてくる。


「素晴らしいです! お二人とも素敵ですよ! モデルになってくれませんか?」


店員さんの言葉に私たちは顔を見合わせる。そして少し考えた後で、お互いにコクリと頷いた。それから私はエルナと一緒に、様々な服を着ることになった。最初は抵抗があったが、次第に慣れていくうちに楽しくなっていった。


「ありがとうございました~」


店員さんの元気な声を聞きながら私たちは店を後にした。


「楽しかったね」


「ええ……」


(ちょっと恥ずかしいけど……)


私が答えるとエルナが私の目を見つめて言った。


「フィーナは普段あまりお洒落しないけど、今日みたいな服も似合うと思うよ」


「そうかしら? 私なんかよりエルナの方が似合いそうだけど」


私が言うと、彼女は首を横に振る。そして笑顔で言った。


「フィーナは可愛いんだから、もっと自信を持って良いと思うな」


(可愛いって……)


私は気恥ずかしくなりながらもお礼を言った。それからしばらく街を散策していると日が暮れ始めたので、私たちは寮に戻ることにした。帰り道も様々な店に立ち寄って買い物を楽しんだのだった。
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