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翌日、俺たちはギルドに来ていた。


「さあ、今日も依頼を探すぞ!」


気合を入れて掲示板を眺めていると、エレナさんが話しかけてきた。


「ねえ、今日はどんな依頼を受けるつもりなの?」


「そうですね……手っ取り早く稼げそうな依頼があればいいなと思ってるんですけど……」


そう答えると、エレナさんは少し考えた後、一つの依頼書を手に取った。


「これなんかどうかしら?」


見てみるとそこには『家出娘の捜索』と書かれていた。


「えっと……どういうことです?」


困惑しながら尋ねると、エレナさんは説明してくれた。


「どうやら大富豪の娘さんが家出してしまったらしくてね。それで探して欲しいっていう依頼なのよ」


「なるほど……」


「報酬金額も悪くないし、引き受けてみるのもいいんじゃないかしら?」


確かに悪くない条件だとは思うのだが……俺は少し悩んだ末に決断を下すことにした。


「分かりました。この依頼受けます」


するとエレナさんはニッコリと笑った後、受付嬢にその旨を伝えた。

そして俺たちは依頼主の家へと向かうことになった──。


「ここみたいですね」


辿り着いたのは大きな屋敷だった。


「それじゃあ入りましょうか」


そう言うとエレナさんは門を開け、中に入っていった。俺もその後に続くと屋敷の中へと入った。すると一人の男性が出迎えてくれた。年齢は40代後半くらいだろうか?


「初めまして。私はこの屋敷の主人を務めておりますジョンと申します」


丁寧に挨拶をされたのでこちらも名乗ることにする。


「俺はカイトといいます」


「私はエレナと言います」


俺たちが自己紹介をすると、主人も自己紹介してくれた。


「今日はわざわざお越しいただきありがとうございます」


「いえ、こちらこそ依頼を受けていただいて感謝しています」


エレナさんが答えると、主人は早速本題に入った。


「それで捜索対象の娘なのですが……最近悪い仲間と付き合っているようでして……もしかしたらそちらの方にいるのではないかと考えているのです」


「なるほど……」


(確かにあり得そうな話だ)


「分かりました。それで娘さんの名前は何というのですか?」


エレナさんが尋ねると、主人は答えた。


「名前はエリーゼといいます」


「分かりました。それでは早速探しに行ってまいります」


そう言うとエレナさんは歩き始めた。俺もその後に続くと、屋敷を後にした──。

屋敷を出るとエレナさんは地図を取り出した。どうやらこの周辺の地図らしい。それを見ながら街を歩いていると、ガラの悪い連中に絡まれる。


「おう、姉ちゃんたち可愛いな! 俺たちと遊ぼうぜ!」


そう言って絡んでくる男たちをエレナさんは睨みつけた。


「邪魔よ。そこを退きなさい」


「なんだと? 女のくせに生意気なこと言いやがって……!」


男たちの怒りを買ってしまったらしく、彼らは一斉に殴りかかってきた。だが次の瞬間には全員地面に倒れていたのだった……。


「エリーゼって子知らない?」


男たちを撃退した後、エレナさんが尋ねたところ一人の女性が名乗り出てきた。どうやら彼女がエリーゼらしい。年齢は17歳くらいだろうか? 茶色の髪を肩まで伸ばしている可愛らしい女の子だ。


(良かった……無事だったみたいだ)


ホッと胸を撫で下ろすと、エレナさんは彼女に話しかけた。


「無事でよかったわ。さ、一緒に帰りましょう」


そう言って手を差し伸べるが、彼女は首を横に振った。


「嫌よ! なんで私が帰らなきゃいけないのよ!」


(まあ、家出したんだから当然の反応だよな……)


どうやって説得しようか悩んでいると、エレナさんは微笑みながら優しい口調で話しかけた。


「ねえ、どうして家出なんてしたのかしら?」


すると彼女は答えた。


「だって私……あの家嫌いなんだもん」


「どうして?」


「だってパパもママも私のことなんてどうでもいいって感じだし、いつも喧嘩ばっかりしてるし……」


(なるほど……そういうことか)


彼女が家出した理由を知った俺はエレナさんに提案した。


「やっぱり一度家に帰って話し合うべきじゃないかな?」


しかし彼女は首を縦に振らなかった。


「嫌よ! 今更帰るなんて絶対に嫌!」


頑なに拒否する彼女に俺は説得を続けた。


「でもさ、このまま家出したままだとずっと辛いままだよ? それにパパやママだって君のこと心配してると思うよ」


俺がそう言うと彼女は悲しそうな表情を浮かべた。そして静かに呟いた。


「……分かったわよ」


「よかった。それじゃあ早速帰ろう」


俺がそう言うと、彼女は小さく頷いた。


「エレナさんも一緒に来てもらえますか?」


エレナさんに尋ねると、彼女も笑顔で承諾してくれた。こうして俺たちは家に戻ることになった──。
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