「お前のような奴を聖女と認めない」と婚約破棄されましたが、侯爵令息に拾われました。

20

ある日のこと、私はリリアナ様に呼ばれて彼女の部屋に向かっていた。


（一体どんな用事だろう？）


疑問に思いながらも足を進めているとあっという間に部屋の前にたどり着いた。ドキドキしながらノックをすると中から明るい声が聞こえてくる。


「どうぞ入ってください！」


（よし、行こう！）


覚悟を決めると私は中に入った。そこには椅子に座りながら本を読んでいるリリアナ様がいた。私が部屋に入ると彼女は微笑みながら手招きをした。私は言われるままに隣に座ると彼女に問いかける。


「それで、どうしたんですか？」


するとリリアナ様は答えた。


「実は……フィーナさんにお願いがあるんです」


（えっ！？ 何だろう？）


聞き返すと彼女は少し恥ずかしそうにしながら言った。


「あの……膝枕をしてくれませんか？」


（膝枕だって！？ そんなのいくらでもやってあげるよ！）


心の中で叫びながら快諾する。するとリリアナ様は嬉しそうな表情を浮かべた。そんな彼女の頭を優しく撫でると気持ちよさそうに目を細める。しばらく続けていると彼女が話しかけてきた。


「どうして撫でてくれているんですか？」


（あぁ……幸せすぎるよぉ～！）


心の中で悶えながらも私は答える。


「リリアナ様が可愛いからです」


（もうダメぇ～！）


心の中で叫びながら悶えているとリリアナ様は顔を赤らめながら言った。


「フィーナさん、もっと撫でてください」


（あぁ……もうダメぇ～！）


そんな彼女のリクエストに応えるべく私はさらに撫でると彼女は嬉しそうな声を上げた。しばらくすると満足したような表情を浮かべるとリリアナは恥ずかしそうに笑いながら言った。


「ありがとうございます！とても癒されました！」


（あぁ……もう幸せすぎるよぉ～！）


心の中で悶えているとリリアナは立ち上がった。そして私に向かって手を差し伸べながら言う。


「今度は私がフィーナさんを癒してあげます！」


（えっ！？ そんなことされたら死んじゃうよぉ～！）


心の中で叫びながら悶えているとリリアナは私を立ち上がらせた。そして私の頭を撫でると優しく微笑んでくれる。


（あぁ……もうダメぇ～！）


もう幸せすぎておかしくなりそうだったので私は彼女に抱きついた。するとリリアナ様は少し驚いた表情を浮かべるがすぐに優しい微笑みを浮かべると私の頭を撫でてくれた。


「フィーナさん、甘えん坊ですね」


（もうダメぇ～！）


心の中で叫びながら悶えているとリリアナ様は私を抱きしめてくれる。その温もりを感じながら私は幸せを感じていたのだった……


「フィーナさん、何か欲しいものはないですか？」


（欲しいものかぁ……特に無いかな？）


首を傾げているとリリアナ様は困ったような表情を浮かべる。


「そうですよね……でも私はフィーナさんに贈り物をしたいんです！」


（うぅ……そんな優しい言葉をかけられたら困っちゃうよぉ～！）


心の中で悶えているとリリアナ様は少し考えるような仕草をしてから言った。


「何か思いつきませんか？」


（う～ん、やっぱり思いつかないな……あっ！）


そこで私は思い出した。


（そういえば最近お肌の乾燥が気になるんだよね……）


そう考えながら自分の唇に指を当てる。するとリリアナ様は何かを察したのか微笑んでくれた。


「分かりました、ではリップクリームをプレゼントしますね！」


（えっ！？ そんな物までもらえるなんて夢みたい！）


心の中で悶えているとリリアナ様は言った。


「私も冬は唇が乾燥してしまうのでいつも使ってるんです、フィーナさんもきっと気に入ってくれると思います」


（あぁ……もう幸せすぎるよぉ～！）


心の中で悶えているとリリアナ様は立ち上がると言った。

「それでは早速買いに行きましょう！」


（えぇっ！？ もう終わりなの！？）


内心で叫びながらも私は彼女と一緒に街へ出かけることにした。そして私たちは目的のお店にたどり着くと中に入る。様々な種類のリップクリームが並んでいる中、リリアナ様が手に取ったのは可愛らしいデザインをした物だった。


（わぁ……可愛い！）


目を輝かせているとリリアナ様は言う。


「このリップクリームは保湿力が高いんですよ、それに色も豊富ですし香りも選ぶことが出来ます」


（へぇ～、それは面白そうだね！）


リリアナ様が説明してくれるとますます興味が出てきた。


「フィーナさん、どの色にしますか？」


（うーん……どうしよう？）


しばらく悩んでいるとリリアナ様が話しかけてくる。


「フィーナさんが気に入ってくれるものが見つかるといいんですが……」


（うぅ……もうダメぇ～！）


もう幸せすぎて頭がおかしくなってしまいそうだった……するとリリアナ様は一つのリップクリームを手に取った。


「これが良いと思います！」


彼女が差し出したリップクリームを見ると可愛らしいデザインをしたものだった。


（わぁ……すごく可愛い！）


思わず見惚れているとリリアナ様が問いかけてくる。


「フィーナさん、試して見ますか？」


（試すってどうやって？）


不思議に思って聞き返すとリリアナ様は優しく微笑んだ。


「このリップクリームは唇に塗るのではなく直接つけるんです」


（えぇっ！？ 直接塗るの！？）


驚いているとリリアナ様は私の顎に手を添えた。そしてゆっくりと顔を近づけてくる。


（えっ！？ これってまさか……キ、キスするの！？）


心臓をドキドキさせながら待っていると彼女の唇が私の唇に重なった。


（あぁ……もうダメぇ～！）


もう幸せすぎて死んでしまいそうだった……やがて唇が離れるとリリアナ様は優しく微笑んで言った。


「どうですか？ 気に入ってもらえましたか？」


（うぅ……もうダメぇ～！）


もう幸せすぎておかしくなりそうだったので私は彼女に抱きついた。


「フィーナさん、苦しいです」


（あぁ……もう幸せすぎるよぉ～！）


心の中で悶えているとリリアナ様は私の頭を撫でながら言った。


「このリップクリームはフィーナさんへのプレゼントです、使ってみてくださいね！」


（嬉しい！ ありがとう！）


お礼を言うと彼女は微笑みながら言った。


「いえいえ、いつもお世話になっているお礼ですから！」


（あぁ……もう幸せすぎるよぉ～！）


心の中で悶えているとリリアナ様は立ち上がると私の手を引いた。


「次は服を買いに行きましょう！」


（えぇっ！？ もう終わりなの？）


もう幸せすぎて頭がおかしくなってしまいそうだった……するとリリアナ様は微笑みながら言った。


「私も冬は厚着をしてしまいますので、フィーナさんの意見を聞かせてください」


（うぅ……もうダメぇ～！）


そんな彼女のお願いに対して私は全力で応えることにした。結局その日は一日中リリアナ様と一緒に過ごすことができたのだった……